マゼピン、ロシアの兵役義務にF1キャリアが危機「お父さんどうすればいい?」

 2021年からF1デビューしたロシア人ドライバー、ニキータ・マゼピン(ハース)。マシンのポテンシャル不足もあり、これまでは全戦ノーポイントの苦しいシーズンを送っている彼に、さらなる問題が生じている。

 ロシアのイタル・タス通信によると、マゼピンの父でハースのタイトルスポンサー、ウラルカリ社の共同オーナーでもあるドミトリー氏は、出席した経済フォーラムで「ニキータ(・マゼピン)は年に23レースを抱えているのに、軍隊に参加するように言われている」と明かした。

 ロシアでは18歳から27歳の男性に1年間の兵役の義務が課せられており、著名なスポーツ選手であっても例外ではない。徴兵を逃れることはロシアでは重罪で、最長2年間の懲役を受けることになる。

 ロシア軍には軍務中のトレーニングが認められた『スポーツ中隊』が存在し、他の競技ではこれに所属することで競技と兵役の両立を可能にしてきた選手もいるが、世界中を転戦するマゼピンには厳しい。兵役を民間での奉仕活動により代替することも認められているものの、こちらも多忙なスポーツ選手には難しいと言わざるを得ない。

 マゼピンに残された現実的な手段は、大学での軍事教練課程を修了し、予備役に就きながら平時はレーシングドライバーとしての生活を送ることだ。現在そのカリキュラムの中にいるというマゼピンだが、ドミトリー氏によると彼は「定期的に訓練合宿に来ないとカリキュラムから外れることになる」と告げられたようだ。

 軍部による厳しい勧告を受け、ドミトリー氏に「お父さんどうすればいい?僕は2週間に一度はレースがあるんだ」と語ったというマゼピン。開催スケジュールの増加により多忙を極める近年のF1ドライバーにとって、定期的に母国に戻って訓練を受けることは難しい。しかし訓練に参加できなければ1年間の兵役に就くことが求められ、彼のF1ドライバーとしてのキャリアは間違いなく危機に瀕するだろう。F1の世界の外でもマゼピンにとって厳しい状況が続いている。