青木拓磨、手だけで操縦可能なマシンでELMS完走「あとはル・マンの本戦を迎えるのみ」

 2021年のル・マン24時間レースに、特別枠“ガレージ56”からの参戦を予定しているアソシエーションSRT41。四肢切断の障害者オーナーと、下半身に障害をもつドライバーで構成されたこのチームが6月4~6、南フランスのポール・リカール・サーキットで開催されたELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ第3戦ル・カステレに参戦し、決勝の4時間レースで完走を果たした。

“世界三大レース”のひとつに数えられるル・マン24時間レースで、2016年に四肢切断ドライバーとして史上初めて同レースでの完走を果たしたフレデリック・ソーセ率いるSRT41は、2021年にふたたびル・マンにカムバックする予定だ。

 SRT41はそのための準備として、今シーズンのELMS序盤戦にスポット参戦することを決定。2018年に同チームに加わった元GPライダーの青木拓磨と、チームメイトで青木と同じく事故で下半身不随となったナイジェル・ベイリー、健常者のピエール・サンシネナという3名が今年4月、スペインのカタロニア・サーキットで行われた開幕戦バルセロナで、モディファイされたオレカ製LMP2マシンをドライブした。

 そのレースで完走を果たした青木らは、先週末の6月4~6日に開催されたシリーズ第3戦ル・カステレにも同じ体制でエントリーし、ふたたび4時間レースを完走してみせた。

 彼らが操る84号車オレカ07・ギブソンは、SRT41の活動に合わせて特別仕様の手動装置が取り付けられているのが特徴だ。アクセル操作はステアリングに備え付けられたパドルで、ブレーキはシートの右側に設けられたレバーで行えるようになっており、足を使ったペダル操作が不要となっている。

 バルセロナに続き今戦もスタートドライバーを務めた青木はレース後、「首の筋肉痛になったみたいですが、無事に完走できてよかった」と語り、「あとはル・マンでのテスト、そして本戦を迎えるのみです」と続けた。

 チームオーナーであるソーセも、8月に延期されたル・マン前最後のレースでの完走という結果に概ね満足している。

「LMP2マシンにスイッチしたことでチームの体制ががらりと変わった」と述べたソーセ氏。

「2020年は新型コロナウイルスの影響で事前にレースを走れなかったことで、『チーム内での意思疎通ができない』と判断して参戦を断念した。だが、今年は予定どおりにふたつのレースを戦うことができた」

「まだ課題はあるが、今日のレースは全体的には満足している」

 例年の6月開催から約2カ月延期されることがアナウンスされている2021年のル・マン24時間レースは8月21~22日にWEC世界耐久選手権の第4戦として行われる予定だ。

レースの戦況を見つめる青木拓磨(右)
レースの戦況を見つめる青木拓磨(右)
足を使わずにドライブができるように改造されたアソシエーションSRT41の84号車オレカ07・ギブソン
足を使わずにドライブができるように改造されたアソシエーションSRT41の84号車オレカ07・ギブソン