【角田裕毅F1第6戦密着】トップ3を目指したQ3。マシンへの自信は深まるも無念のクラッシュに「少し悔いがある」

 2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP初日、50周を走り込んだ角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)。初めて走るバクー市街地サーキットにも慣れただけでなく、走行データをしっかり採り、金曜日の夜のセットアップも順調に進んだ。

 それは土曜日に結果となって表れた。フリー走行3回目は、走り始めから好調で、1セット目のソフトタイヤで一時トップタイムをマークした。その後、チームメートのピエール・ガスリーに抜かれるも、赤旗が出るまで2番手だった。赤旗後、2セット目のソフトタイヤで自己ベストを更新する1分43秒244を記録し、8番手でフリー走行を終えた。角田が予選直前のフリー走行3回目をトップ10圏内で終えたのは、今シーズン初めてのことだった。

 つまり、この日の角田は今シーズン最も乗れていた。

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

 そしてその好調の波は、予選に入っても収まることはなかった。

 今年のアゼルバイジャンGPの予選はQ1から赤旗が2度も出される波乱の展開となった。その2回とも、角田の新品のソフトタイヤを投入しながらも、赤旗によってタイムを計測できないままピットインを余儀なくされていた。リズムを狂わされ、集中力が切れてもおかしくない状況となったが、この日の角田は冷静だった。それはクルマに対する自信だった。

「ブレーキングの自信が深まりました」という角田が、2回目の赤旗中断後に装着したタイヤは、2セット目のソフトタイヤのユーズドだった。残り時間は9分22秒。まだタイムを刻んでいない角田は、このタイヤで15番手以上のタイムを記録しなければならなかった。

 そして、それを角田は見事にやってのけた。

 最初のアタックで1分42秒877でトップ10内に入った角田は、1周クールダウンラップを挟んだ後のアタックラップで自己ベストを更新。1分42秒521をマークして、11番手でQ1を突破した。角田にとってQ2進出は、第3戦ポルトガルGP以来、シーズン3回目だった。

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

 Q2に進出した過去2回、角田はいずれもここで失速したが、アゼルバイジャンGPの角田の勢いはこのQ2に入っても衰えることはなかった。

 ニュータイヤを履いた最初のアタックは、1分42秒502で11番手どまりに終わったが、1周クールダウンラップを挟んだ後のアタックラップで、周囲をあっと言わせる走りを披露した。なんとQ2トップのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)からわずか1000分の29秒遅れの1分41秒654を叩き出し、4番手でQ2を突破したのだ。Q2で3番手だったルイス・ハミルトン(メルセデス)との差はわずか100分の2秒だった。

 フリー走行からQ1にかけて抱いていた自信は確信となり、F1ドライバーとして初めてQ3に進出した角田は、勝負に出た。

「3番手以内を目指そう」と臨んだQ3も、1セットのタイヤで2回の計測を行う予定だった。1回目に1分42秒211を記録した角田はQ2の自己ベストである1分41秒654を更新できると手応えを感じながら、1周クールダウンラップを挟んで、最後のアタックに入った。

 しかし、3コーナーのブレーキングで止まりきれずに、衝撃吸収剤のテックプロバリアに吸い込まれるようにクラッシュした。

「(クラッシュしていなければ、自己ベスト更新は)いけていたと思います。Q2でトップと僅差だったので、3番手以内を目指しました。僕の昔からの個性というか、いいところでもあり、悪いところでもあるんですけど……。そこまで悔いはないですが、少しは悔いがあります」

 F1にデビューしてから、何度かクラッシュしてきた角田だが、今回のクラッシュはこれまでとは違う、F1ドライバーとしての成長を感じさせるクラッシュだったと言ってもいいだろう。

 角田の中で何かが変わった予選だった。

角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)