F1 Topic:まさかのチケット販売に驚き。華やかさに欠けるも、人々の優しさが沁みたモナコGP

 2021年F1第5戦モナコGPは、今年これまで開催されたバーレーンGP、エミリア・ロマーニャGP、ポルトガルGP、スペインGPと違って、昨年予定されていながらもコロナ禍で中止を余儀なくされ、今年2年ぶりに復活した最初のグランプリだった。

 ただし、伝統の1戦はさまざまな規制が敷かれるなかで開催された。主催者によって、チケットは1日7500枚までしか販売されず、街には観戦者よりも警官の姿の方が目立ち、例年のような華やかさはなかった。

F1 Topic
モナコGP期間中のモンテカルロ市内
F1 Topic
警官の姿が目立ち、例年のような華やかさはなかったという

 そんなコロナ禍のモナコで、今年はいつもと違った経験もした。それは、モナコの人たちの優しさだ。

 例年のモナコGPは、1年で最も賑わう国をあげてのお祭りとなる。多くの観光客や世界中からセレブたちがやってくるため、庶民に対するサービスがややおろそかになっていたように思う。

 ところが今年はあちこちで親切に対応された。そのひとつが、チケット売りだ。1コーナー付近のお土産屋さんを探索していたら、『チケットあります』というボードを掲げた方に遭遇した。なんでも、この方、1コーナーに面したマンションの一室のオーナーで、自宅のバルコニーからレースを観戦するチケットをプライベートで売っていた。

F1 Topic
ターン1に面したマンションのバルコニーからレースを観戦するチケットを販売

 20年以上モナコGPを取材しているが、こんな人に出会ったのは初めてだ。おそらく、毎年セレブたちだけで完売となっていて、私たち庶民には回らないチケットなのだろう。それでも日曜日は700ユーロ(約9万3000円)と庶民には簡単には手が出せない料金なのだが、土曜日だったら300ユーロ(約4万円)と頑張れば買える値段設定となっていた。

F1 Topic
“バルコニー席”のチケット

 メディアセンターのスタッフも今年は親切だった。今年、特に助かったのは出前の注文だ。コロナ禍だったため、週末のモナコには、モナコ国外の居住者が22時以降のモナコで外出することを禁止した規制が敷かれていた。ただし、モナコGPで仕事をするレース関係者とメディアは主催者からの許可証を持っていれば、22時以降に外出してもかまわないが、それは仕事場からホテルに帰る場合に限った話で、途中レストランなどに立ち寄ることはできない。

 そうなると、夕食は22時までに食べなければならず、そのためには21時にはメディアセンターを出なければならないのだが、それは筆者にとっては現実的に不可能だった。そこでメディアセンターのスタッフに出前をお願いしたのである。21時ごろに出前を頼んで、22時ごろにメディアセンターでご飯を食べて、その後仕事の続きをして、メディアセンターが閉まる23時に出て、フランスにあるホテルに帰るというパターンだ。これなら、モナコの警官に取り締まられることはない。

 通常であれば、この手のお願いはモナコに限らずどこの国のメディアセンターのスタッフもやらないのだが、今年のモナコGPのメディアセンターのスタッフは、快く引き受けてくれた。それは筆者が注文しようとしているレストランのスタッフが英語がほとんど通じないため、フランス語で注文だけでなく、出前を受け取る場所も説明しなければならなかったからだ。

 さらに日曜日にはウイリアムズの750戦記念のノートも配っていた。昨年から続いているソーシャルバブルは今年も引き続き守られており、チーム関係者とメディアは異なるバブルに分けられているため、メディアがウイリアムズのモーターホームへ行くことはできず、またウイリアムズの広報がメディアセンターに入ることもできないため、この記念のノートを配ることができない。そこで、メディアセンターのスタッフが代わりにノートを引き取り、ウイリアムズの広報に代わって私たちに配布していた。

 本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

F1 Topic
ウイリアムズのF1参戦750戦目を記念したノート。メディアセンターのスタッフが配布してくれた