MotoGP第6戦イタリアGP:クアルタラロが独走で今季3勝目。中上貴晶は15番手から追い上げるも転倒

 5月30日、MotoGP第6戦イタリアGPの決勝レースがムジェロ・サーキットで行われ、MotoGPクラスはファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が優勝。2021年シーズン3勝目を挙げた。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は15番グリッドから一時は8番手にまで浮上したが、転倒を喫してリタイアに終わった。

 MotoGPクラス前に行われたMoto2クラスの決勝レース前、ジェイソン・デュパスキエ(CarXpert PruestelGP)の訃報が伝えられた。デュパスキエは土曜日に行われたMoto3クラスの予選Q2中に転倒し、コース上で処置が行われた後に病院に搬送され、深刻な状態が続いていると伝えられていた。デュパスキエの死を悼み、MotoGPクラスの決勝レース前にライダーやチーム関係者などによって1分間の黙とうが捧げられた。

 決勝レースは気温23度、路面温度41度のドライコンディションで始まった。スタート前のウォームアップランを終えてグリッドに着く直前に、エネア・バスティアニーニ(アビンディア・エスポンソラーマ)が転倒を喫する。すぐ前を走っていたヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)に追突したためだった。

 こうしたアクシデントは進行に影響せず、そのままスタートとなった。好スタートを切ったのは、今大会からフロントにホールショット・デバイスを投入したヤマハYZR-M1を駆るファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)だったが、1コーナーに入る直前にフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が前に出てホールショットを奪う。

 2番手のクアルタラロに続き3番手にヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)、4番手にはミゲール・オリベイラ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)、5番手にジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)が続く。さらに15番手スタートの中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は好スタートを切って、1周目で10番手にまで浮上した。

 2周目の3コーナーではマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)がブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)に接触してクラッシュ。さらにはトップを走っていたバニャイアが9コーナーで転倒を喫し、優勝候補の一角であったバニャイアがここで姿を消す。

 バニャイアに代わってクアルタラロとトップ争いを演じたのは、3番手スタートのザルコだった。ザルコは3周目にはクアルタラロとオーバーテイクを繰り返し、激しい接戦を演じる。その約0.3秒後方には、KTMのオリベイラが3番手でつけ、4番手にはミラー、5番手にはアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)、6番手にはジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)が続く展開。

 5周目に入ると、トップを走るクアルタラロが少しずつ2番手のザルコとの差を広げ始める。ザルコはクアルタラロから遅れ、ザルコの後ろには3番手のオリベイラが続く。さらにその約1秒後方では、ミラー、リンス、ミルのが三つどもえの4番手争いを展開する。3人が争う間に、7番手のビンダー、さらには4番グリッドからスタートしたアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)が迫る。

 この集団の3秒後方には、中上を先頭とする集団が続いた。中上は序盤にはホルヘ・マルティン(プラマック・レーシング)の代役参戦のミケーレ・ピロとポジションを争っていたが、このころには9番手を維持しながら周回を重ねていた。

 10周目には、4番手を争っていたミラーが後退。4番手はリンスとミルによるチーム・スズキ・エクスターふたりによって激しく争われた。11周目、ミルがリンスを交わして4番手に浮上。3番手のオリベイラは約1秒前方を走っている。

 レース中盤の12周に入ってもクアルタラロのトップは変わらず、2番手のザルコに約3秒のアドバンテージを築いて独走状態。2番手のザルコと2番手のオリベイラは約0.2秒から0.3秒の差を保ったまま周回を重ねていた。このオリベイラに、次第に追い付きつつあったのが4番手に浮上したミル、そしてミルの後ろにつける5番手のリンスである。オリベイラとミルの差は約1秒あったが、ミルは周回ごとにその差を削っており、14周目には約0.8秒にまで縮め、15周目には2番手のザルコを筆頭に5番手のリンスまでが集団となった。

 16周目、ついにオリベイラがザルコをとらえ、2番手に浮上する。3番手に後退したザルコはオリベイラについていくことができず、17周目には11コーナーでミルに交わされ、さらにその翌周にはリンスにも交わされて5番手にポジションダウン。ミルが3番手、リンスが4番手に浮上した。

 残り5周、トップは依然としてクアルタラロ。序盤にトップを奪って以来、ひとり旅を続けている。2番手はオリベイラだったが3番手のミルが背後に迫る。ミルのすぐ後ろにはリンスが続いていたが、残り4周の15コーナーで、スリップダウン。イタリアGPのレースウイークは全体的に好調を維持していただけに痛恨のリタイアとなった。

 さらに残り3周、8番手を走っていた中上が14コーナーでクラッシュ。15番グリッドから序盤にポジションを上げ、粘りのレースを展開していたが、転倒によりリタイアでレースを終えることになった。

 こうしたなか、トップでチェッカーを受けたのはクアルタラロ。序盤にトップに立ってからは独走態勢を築き、2番手に3秒の差をつけて今季3勝目を挙げた。

 2番手でフィニッシュしたのはオリベイラ、3番手はミルだったが、当初はオリベイラが最終ラップの5コーナー立ち上がりでトラックリミットを超過したことで1ポジション降格と伝えられた。しかしその後、ミルも同じく最終ラップの5コーナー立ち上がりでトラックリミットを超過していたことから、最終結果はフィニッシュ順で変わらず、2位がオリベイラ、3位がミルとなった。

 ミルは今季2度目の表彰台獲得。オリベイラは今季初のポディウムで、KTMにとっても2021年シーズン初めてとなる表彰台獲得だった。

 4位はザルコ、5位はビンダーが入り、予選でQ1突破ならず13番手からスタートしたマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は8位。母国グランプリでスペシャルヘルメットを投入したバレンティーノ・ロッシ(ペトロナス・ヤマハSRT)は11位でレースを終えた。