クラッシュによるパーツのダメージを発見できなかったフェラーリF1、点検の手順見直しへ

 フェラーリは、2021年F1第5戦モナコGPで、シャルル・ルクレールをスタート直前に発覚したトラブルによってリタイアさせなければならなかったことを受け、事故などの際のパーツ点検の手順を見直すことを決めた。

 ルクレールは予選Q3終盤にクラッシュ、予選結果ではトップに立ったものの、マシンのダメージの状況によっては、パーツの交換によるグリッド降格あるいはピットレーンからのスタートになるため、フェラーリの判断に注目が集まった。

 フェラーリは調査の結果、ギヤボックスには深刻なダメージは発見されなかったとして、ルクレールをポールポジションからスタートさせることを決めた。

 しかし、決勝スタート直前、ルクレールがグリッドへの最初のラップで数コーナー走った時に、マシンに問題が発生。フェラーリは、左ドライブシャフトに問題が見つかり、修理は間に合わないため、ルクレールはスタートできないと発表した。

2021年F1第5戦モナコGP フェラーリ、シャルル・ルクレールのリタイアを決定

 土曜午後、フェラーリは目視による検査を行い、FIAの監視のもとで、内視鏡検査に用いるようなミニチュアカメラを使用して、内部のチェックを行っている。その結果、ギヤボックスは78周のレースで使用できる状態であるという結論を出し、交換を行わなかった。フェラーリは、メカニカルパーツのほとんどを交換せず、交換したのは衝撃によって破損した部分のみだった。

 トラブル発生直後、フェラーリは、降格ペナルティを受けずにポールポジションからスタートしたいがために、リスクを取ってギヤボックスを交換しなかったのではないかという推測が持ち上がった。しかし、チーム代表マッティア・ビノットは、ルクレールのギヤボックスには問題はなかったと説明。また、トラブルが発生したのはガードレールと衝突した側とは反対の左側のドライブシャフトであり、このトラブルはクラッシュとは無関係との見解も示した。

 しかし、アクシデントと完全に無関係だと保証できるのかと強く聞かれたビノット代表は、少しニュアンスを変えて、「いや、保証することはできないし、そうするつもりもない。アクシデントと関連している可能性もある」と答えた。

「だが、ギヤボックスのトラブルでないことは確かだ。従って、(あえて交換しないという)ギャンブルをしたわけではない。他のトラブルだったのだ。それが事故の影響で起きたものだったのかどうか? 正直言って、今の時点では分からない。だが、(トラブルが起きたのは衝突した側とは)完全に反対側だった。事故と関係あるかどうかは、今後分析する」

2021年F1第5戦モナコGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)が予選でクラッシュ
2021年F1第5戦モナコGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)が予選でクラッシュ

 交換した部品についてビノットは「損傷したパーツしか交換はできない。フロントウイング、サスペンション、右リヤ部はダメージを受けていたので、(FIAの)許可を得て交換した」と答えた。

 しかし他チームは、FIAはドライブシャフトとデファレンシャルの交換も認めたはずだとして、フェラーリがこれらを交換しなかったことを不思議がっていた。イタリアメディアのなかには、チームは、ルクレール車が完走することは難しいと知りながら、フェラーリ社のジョン・エルカーン会長の目の前で、ポールポジションにマシンをつけるところを見せたかったのだと言う者すらいる。

 ファクトリーに戻ってから調査を行ったフェラーリは、左リヤのホイールハブに亀裂が入っていたことを明らかにした。フェラーリは、予選のクラッシュでマシン右側がガードレールに衝突した際の衝撃によって、左側のハブが損傷を受けたと結論づけている。ルクレールが走り出したところ、ラップ半ばでハブが壊れ、ドライブシャフトにダメージが及んだという。

 ビノット代表は、決勝直後、「土曜午後や日曜朝のパルクフェルメにおいて問題を検出することは可能だったのかについて、理解する必要がある」と述べていた。フェラーリは今後、インシデント後のマシンダメージ点検の手順の見直しを行い、点検範囲を拡大するということだ。