富士24時間の木曜専有走行で大破のWAIMARAMA EBI Cayman。復活劇とレースを楽しむアレジ

 5月22日、富士スピードウェイでスタートしたスーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第3戦NAPAC富士SUPER TEC 24時間レース。ST-Zクラスでは第1戦もてぎで優勝を飾り、現在ランキング2位につけているPorsche Team EBI WAIMARAMAだが、走行初日の専有走行でウエットのなかクラッシュを喫してしまっていた。決勝ではピットスタートで追い上げているが、ふたたびコースインするまでは多くの苦労があったようだ。

 2020年までST-TCRに参戦していたWAIMARAMA KIZUNA RACINGと、スーパーGTやブランパンGTシリーズ・アジアなどに挑戦してきたExcellence/Brightがタッグを組み、ポルシェ718ケイマンGT4 クラブスポーツを走らせているPorsche Team EBI WAIMARAMA。富士24時間ではKIZUNA、千代勝正、山野直也、ポルシェジュニアドライバーである大草りきというレギュラーメンバーに加え、山野哲也、そして前週のスーパーフォーミュラで優勝を飾ったジュリアーノ・アレジを起用していた。

 そんなチームが走らせるWAIMARAMA EBI Cayman GT4だが、走行初日の5月20日、ウエットの夜間走行でクラッシュを喫してしまっていた。2コーナーからコカ・コーラ・コーナーの間の水に乗るかたちでガードレールにクラッシュし、右フロントを大破してしまった。

 幸いにも右フロントが衝撃を吸収し、ドライバーに怪我はなかったが、フレームまでダメージが及んでおり、ボディ交換、もしくは車体交換が必要な状況となっていた。

 そこで、ポルシェのディーラーチームであるExcellence/Brightを率いる立場でもある山野直也がポルシェジャパンに問い合わせたところ、たまたまポルシェジャパンで一台、2019年モデルの718ケイマンGT4 クラブスポーツの最後の車両が残っていたと連絡がついた。すでに時間は木曜の20時ごろ。山野は早急にポルシェジャパンの協力をあおぎながら、車両の手配を開始した。

 718ケイマンGT4 クラブスポーツがあったのは、千葉県印西市のモータープール。金曜の朝一番でポルシェジャパンに社内協力を取り付け、手続きを踏みながら、11時ごろにモータープールから陸送業者に引き渡された。富士スピードウェイには14時ごろに白いボディの718ケイマンGT4 クラブスポーツが到着した。

 幸いというべきか、5月21日の公式予選は、雨のため中止となってしまった。予選がなかったことで、車検スタッフが対応できるようになっていたのだ。金曜日の間に車両を整備し、さらにラッピングまで完了させ車検を受け、出走することができた。

「とはいえ、まだ暫定的なものが多く、エンジンやミッションは新品でオイル交換も必要だったりします。まだまだ心配な部分が多いです」と山野は語った。決勝では、カーナンバーが光らないトラブル等もあるものの、これまでは順調に周回を重ねている。

土曜午前のWAIMARAMA EBI Cayman GT4。パーティションの裏側には、大破したマシンが置かれている。
土曜午前のWAIMARAMA EBI Cayman GT4。パーティションの裏側には、大破したマシンが置かれている。

■チームの一員としてレースをエンジョイ中のアレジ

 一方、そんなWAIMARAMA EBI Cayman GT4だが、その一員として富士SUPER TEC 24時間レースに挑んでいるのがジュリアーノ・アレジ。オートポリスではダブルエントリーでスーパーフォーミュラの優勝を飾りタイトな週末を送っていたが、「忙しかったけど、楽しかったよ。忙しいのは好きだからね!」と振り返った。

 ジュリアーノにとっては、初めてのポルシェのレーシングカーだ。市販車では「オフシーズンにフィンランドやスウェーデンに行って、氷上でポルシェを運転したりしていたんだ。だからレーシングカーは経験はないけど、ポルシェは性格が多くが似ているから、少し知っていたんだよ」という。

 チームには公式テストから加わり、そこまで多くの時間をドライブできていたわけではないが、718ケイマンGT4 クラブスポーツについては「本当に楽しかったよ! 今回は24時間レースでドライブする時間がいっぱいあるからね。すごく嬉しいし興奮しているんだ」とジュリアーノ。またスーパー耐久についても、「コンセプトは素晴らしいと思うよ。ジェントルマンドライバーもチャンスがあるし、いろんなカテゴリー、クルマが走っていて、最高な選手権だよ」と大いにエンジョイしている様子だ。

 今回のスーパー耐久を含め、来日してからは毎週のようにレースウイークを送っているジュリアーノ。「もともと日本をすごくエンジョイしているし、ご飯もよく食べるし、みんな優しいし、いっぱい走れているからね。今のところすごく幸せ(笑)」と笑顔をみせる。

「日本に来てから今までで、F2を12シーズン分くらい走っているような感じだよ(笑)! 今まではトレーニングジムばっかりで、たまにシミュレーターをやってサーキットにいるような感じだったけれど、日本ではサーキットばかりで、たまにジムに行く感じ。僕はレーシングドライバーだから、こうしてたくさん走ることができて、いつも新しい経験を積めているからね。日本は最高だよ!」

 すっかりチームにも溶けこみ、富士SUPER TEC 24時間レースを戦っているジュリアーノ。GT4、そしてポルシェと、今回はまさに新しい経験となっているはずだ。