ファストナイン進出を目指す佐藤琢磨「予選と決勝を見据えて準備してきたデータが活かせている」

 コロナ禍で短縮されたとはいえ、インディ500はプラクティスから決勝終了まで2週間にわたるスケジュールで、1日6時間のプラクティスが4日間行われ、その後ようやく予選となる。ドライバーとチームが日々刻々ラップを重ね、その集大成となる予選が4ラップに集約される醍醐味はインディ500ならではだ。

 2017年はアンドレッティ・オートスポートで、2020年はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングで2度のインディ500制覇を成し遂げた佐藤琢磨だが、優勝している年はこのプラクティスから予選までの流れをうまくまとめ上げていた。

 裏を返せば、そこまでクルマを仕上げられていなかったら、優勝の可能性はかなり低くなるのだろう。

 ひとつだけ例を挙げれば、3位でフィニッシュした2019年、琢磨は予選14番手で終えていた。レースにあたり中断を抜け出して走れるようなセッティグを施し2ラップダウンから前を抜いて3番手まで浮上したものの、トップのシモン・パジェノー、アレクサンダー・ロッシは抜くことができず3位に甘んじていた。

 予選で前方グリッドを獲得し首位争いを想定するマシンのセッティングと、中団以降のクルマはそれほどにセッティングに差があるということだ。

 2021年のプラクティスまでの仕上がりは、2017年、2020年と比べても遜色のないものと言えるだろう。プラクティス初日は前のマシンの気流の影響を受けるトウの中に入ったとはいえ3番手のタイムをマークできた。

走行を重ねるレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨
走行を重ねるレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨

 4月上旬ではこなせなかったライドハイト(車高)やウイングの角度など基礎的メニューをしっかり消化することができた。

 プラクティス2日目は総合で20番手と落胆しそうな順位だが、実はレースと予選に向けてのセッティング模索をしており、花を捨て実を取るような1日だったと言える。

 プラクティス3日目は、レースのセッティングと予選のセッティング、両方に焦点を合わせた忙しい1日だったが、93周をこなして総合で9番手となった。

 パック(集団)走行の中でも前を走るだけでなく、後に下がってはどんどん前をパスしてたり、ロングランをしてタイヤのデグラデーションを見ながらの走行で、タイムを追いデータを集めることの出来た充実した一日だったと言えるだろう。

 プラクティス4日目はファストフライデイ。この日から予選までターボのブーストが上げられる。プラクティスでは平均時速224~6マイルが最高だったものが、230マイル台での争いとなる。

 レイホール・レターマン・ラニガンの琢磨、グラハム・レイホール。ステファーノ・フェルッチの3台は前日のプラクティスでプロモーション撮影のため、3台で並走したのだが、これが後続のマシンの安全を妨げたとして、プラクティス開始30分出走禁止のペナルティを食らった。

だが、ファストフライデイは完全に予選をシミュレーションした日となるため、大勢に影響はなかった。

 琢磨は最初のランでダウンフォースが足りずマシンが滑り始めたので、走行を中団しピットに戻ったが、2度目の走行からはペースを取り戻した。いずれにランでも231マイルから走り始め、平均230マイル台を維持して見せた。

 走るたびに修正を重ねて、プラクティスの最後のランでは、ラップ1/231.598mph、ラップ2/231.054mph、 ラップ3/230.441mph、ラップ4/230.120mph、4周平均230.803mphとまとめ上げた。

 単純に1周ベストラップでは8番手となるが、4周平均アベレージでは6番手であった。

 昨年は予選で一発の速さが足りず、4周平均の速さを求めて3番手となって日本人初のフロントロウスタートを獲得した琢磨。ベテランらしい戦術でフロントロウを獲得したが、今年の予選はどんな戦い方を見せてくれるのだろうか?

ミーティングを行うレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング
ミーティングを行うレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング

 プラクティスを終えた琢磨は「今日は8回くらい走る予定でしたけど、ちゃんと走れたのは4回でした。それでもランをするたびに、細かい修正をしてうまく走れたと思います」

「昨年は一発のスピードが足りませんでしたけど、今年はそのスピードも見えてきているし、一昨日のプラクティスくらいから、予選と決勝を見据えていろいろ準備してきたデータがあって、それを活かせたと思います」

「ライバルはやっぱりチップ・ガナッシとアンドレッティ勢が速そうだし、デイル・コインも侮れないですね。まず明日の予選はファストナインに残って、その先はそれからですね」

「ここまで仕上がってきたのにファストナインに入れないと意味がありませんから。あとは予選のドロー(くじ引き)の運次第かな(笑)」と琢磨。

 金曜日までの仕上がりは上々の琢磨。この後に行われたドローでは、12番目の順となった。そして1番のくじを引き当てたのはスコット・ディクソンだった。

記者会見に出席した佐藤琢磨
記者会見に出席した佐藤琢磨

走行準備を行う佐藤琢磨
走行準備を行う佐藤琢磨