タブロイド紙が流したシート喪失の噂を一蹴したボッタス。僚友ハミルトン、メルセデスF1代表も擁護

 メルセデスのバルテリ・ボッタスは、イギリスのタブロイド紙が始めた大ネガティブキャンペーンから身を守らざるを得なくなっている。そのキャンペーンはジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)をボッタスのマシンに乗せて新たな“イギリス人ヒーロー”とし、ルイス・ハミルトンが引退した後もイギリス国内でのF1人気を高く維持することに固執している。

 バルセロナでボッタスは、ある記事の見出しに直面した。タブロイド紙のひとつのもので、ボッタスはシーズン中にラッセルと交代させられることになると書かれていた。普段は物静かなボッタスだが、そうした記事へのコメントを求められると、控えめな話し方はしなかった。

「自分がシーズン半ばで交代させられることはないと分かっている。チームとして僕たちはそうしたことはしない。僕は今年の契約があるし、F1でその手のことをするチームはたったひとつしかない。そして僕たちはそのチームではない。だから僕の側にはなんのプレッシャーもないよ。物事がどんなものか僕たちは分かっている。周りにはばかげたことがあるが、それもこのスポーツの一部だ」

バルテリ・ボッタス(メルセデス)
2021年F1第4戦スペインGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)

 数日後、ボッタスはスペインに留まり、ガールフレンドでオーストラリア出身サイクリストのティファニー・クロムウェルが3つのレースに出場するのをサポートしていたが、大きなニュースが報じられた。ボッタスはこの3年間フィンランドに保管していたメルセデスAMG GTを売りに出すというのだ。「ボッタスは彼のクルマを売ることで、メルセデス離脱に備えている」といったような見出しがイギリスのタブロイドメディアや一部の小規模ウェブサイトを喜ばせた。

 だがボッタスがクルマを売るために出した広告には、彼がめったにフィンランドに戻れないことからほんの数回しか乗っていないクルマを売ることで得ようとしている19万ユーロ(約2500万円)の使い道が明確に書かれていた。彼はそのお金をフィンランドのラハティに新たに建設される新しいゴーカートサーキットに出資するつもりなのだ。そこは彼がカートで初めて走った場所だ。

 バルテリ・ボッタス・レースパークのクラウドファンディングのページでは、新しいパドックと周辺設備を建設するために10万ユーロ(約1300万円)を集めることを目指している。ボッタスは『IS』通信社に次のように説明した。

「契約によって僕は新しいメルセデスAMGを手に入れることになっていて、それは僕が住んでいるモナコに届けられる予定だ。だから他のクルマを売ることについて隠された計画などないんだよ」

 反ボッタスキャンペーンにより、この数週間でメルセデスのトト・ウォルフ代表やハミルトンまでもがボッタスの擁護に乗り出した。7度の世界チャンピオンであるハミルトンはスペインで次のように話した。

「バルテリは僕のこれまでのなかで最高のチームメイトだ。非常に速いし、競争力がある。僕をいつも激しくプッシュしてくるけれど、全体的にフェアで素晴らしいチームプレイヤーだ」

 またウォルフも、ボッタスには速さがあり、活躍を確信していると主張した。

「バルテリのスピードは非常に速いし、ポルトガルではポールポジション、スペインではポールポジションからコンマ1秒差だった。彼がとてつもなく速いことは間違いない。そして彼はメンタル面も非常に強靭だ。だから不運や批判から彼は影響を受けない。非常に強力な精神を持っているからだ。彼は良い位置にいる。我々にとって重要なポイントを獲得してきたし、これからもそうし続けることを私は確信している」

 こうしたことから、アンチ・ボッタスキャンペーンが目標を達成することはなさそうだ。ボッタスは確実にメルセデスとともにシーズンを終えるはずだ。ボッタスの将来は、イギリスのタブロイド紙の計略よりも、ハミルトンの長期計画次第となるだろう。

バルテリ・ボッタス(メルセデス)
2021年F1第4戦スペインGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)
バルテリ・ボッタス(メルセデス)
2021年F1第3戦ポルトガルGP 今季初のポールポジションを獲得したバルテリ・ボッタス(メルセデス)