絶版を迎えたロータス3兄弟を今こそ語ろう。エリーゼ/エキシージ/エヴォーラの偉大なる功績:後編

絶版を迎えたロータス3兄弟を今こそ語ろう。エリーゼ/エキシージ/エヴォーラの偉大なる功績:後編

Lotus Elise Sport 220II × Exige Sport 410 × Evora GT 410 Sport

ロータス エリーゼ 220II × エキシージ スポーツ410 × エヴォーラ GT410 スポーツ

高まる期待感

ロータスを知り尽くしていると言っても過言ではないジャーナリストが吉田拓生と山田弘樹だ。年内に生産終了する3モデルへの想い出を語りつつ、次モデルへの期待感を語ってもらった。(前編はこちら

ロータス エリーゼ スポーツ220IIとエキシージ スポーツ410、エヴォーラ GT410スポーツのリヤスタイル

ロータス通のモータージャーナリスト、惜別の想いを語る

吉田 ロータス エリーゼが終わっちゃう。アルミニウム接着のバスタブシャシーを1995年にデビューした当初からずっと使い続けてきたわけだから、代替わりするのは当然という見方もあるけれど。

山田 そう考えるともう25年目? でもエリーゼは生産され続けていることが当たり前みたいな意識でいたから、ちょっと驚いた。後継モデルは今はタイプ131って呼ばれているけれど、エリーゼの名前を継承しないことが決まっているらしい。(編注:後継モデルの名称は「エミーラ」と発表された)

吉田 今度の車名も伝統に則って頭文字が「E」で、全体で5文字と言われている。あとエヴォーラが使用しているいわゆるラージシャシーを使ったミッドシップ2シーターになるという話もある。

山田 エリーゼは僕らが業界に入ったと同時くらいに始まったモデルだから、特別な感情があるよね。僕が就職する頃、ティーポの表紙がエリーゼで「コレに乗りたい!」って思って編集部に潜り込んだから。

吉田 僕は当時在籍していたカー・マガジン編集部にレポート車として最初期のエリーゼが納車されたの。担当者に立候補したんだけれど年功序列で敗れてエリーゼと同じパワートレインを積んだMGFをあてがわれることになった。

山田 エリーゼとMGFじゃけっこうな差だね(笑)。

吉田 当時も差を感じたけれど、四半世紀が経った今になると差なんてもんじゃなかった。MGFはクルマどころか親会社(ローバー)も消滅しているのに、エリーゼは今まで現役で名車として認知されている。

山田 ちょうどバブルが終わって、日本の面白いクルマがどんどん減っていくっていう頃にエリーゼが出てきてくれた。カタチはちょっとレトロな感じがしたけど、実車を見てカッコイイって思った。

モータージャーナリスト、吉田拓生氏のドライブシーン

吉田拓生「3台を比較試乗してみて、エリーゼすごいなって再確認することができた」

吉田 今まで色々なクルマに乗ったけれど、最初にエリーゼをドライブした時の驚きというか感動を超えたクルマはないな。軽いだけじゃなくて、ドライブフィールもフワフワッって羽が生えたように軽かった。あの感触は今でもちゃんと覚えてる。

山田 最初に試乗した時、オーバーヒートしたからいいイメージないな〜(笑)。エリーゼは今の代(フェイズ3)になってから本当にいいって思えるようになった。カートみたいな感じじゃなくて、ちゃんとアシが伸びながら方向を変えていく。速いんだけれどフレンドリー。

吉田 フェイズ1の良さって700kg台前半の軽さが生んだ絶対的なもの。だからそれ以降のモデルとは単純比較は難しいと思う。でもさすがだなと思ったのは、フェイズ2や3になっても、ドライブフィールはちゃんと整えられていた。例えば最初と最後のエリーゼだと150kgくらいの重量差があるのに、今日試乗した最終モデルもちゃんとライトウェイトスポーツカーしているし、進化の跡が感じられる。

山田 そう、未だにエリーゼは「なんか面白いクルマない?」って聞かれたら必ず勧めている。昔はシャシーをカーボンにして、エンジンも縦に置いて、徹底的にやってほしいと思っていたけれど、今はあのスペックに留めるあたりがロータスの上手さなんだと思う。高いけれど、なんとか手が届くくらいの価格で造り続けてきたわけだから。

吉田 エリーゼが売れてくれないと、ロータス社も苦しいし、このクルマでライトウェイトスポーツカーの楽しみに触れる人も多いわけだから、エリーゼは偉大だよね。

山田 エヴォーラも派生モデルのエキシージもエリーゼの成功があったから誕生した、それは確かでしょう。

吉田 そうだね。今回あらためて3台を比較試乗してみて、エリーゼすごいなって再確認することができた。やっぱり軽い。自由自在になる。でも山田君はやっぱりエキシージが気になる? エキシージSでロータス・カップに出ていたから。

山田 いやエリーゼがやっぱりすごいと思う。ミッドシップレイアウトって昔のクーパーみたいに小さなモデルの方が純度が高いというか、本筋だから。エキシージSのレースは楽しいけれど簡単じゃなかった。リヤを微かに流しながら、狭い領域でコントロールする感じ。その点今日のエキシージ スポーツ410は、音とか加速だけでも十分楽しめる。小さなF40みたい。

吉田 エキシージもエヴォーラも、最近のモデルは重心を下げるためにかなり薄くて上質なカーボンのルーフとかフードを使っている。僕はデビュー当初からエヴォーラが気に入っているけれど、最初の計画通りにいっていないことは確かだと思う。

モータージャーナリスト、山田弘樹氏のドライブシーン

山田弘樹「次期モデルもロータス特有のフワフワ感だけはちゃんと残してほしいな」

山田 最初のコンセプトはラグジュアリーな路線で良かった。でも途中からいつものロータスと同じでスピードを追求しはじめちゃった。

吉田 ハンドリングの質感はこれぞブリティッシュ・ミッドシップっていう仕上がりで素晴らしいと思う。けれどモデルライフを通して迷いが感じられたかな。そうそう、エリーゼと一緒にエキシージやエヴォーラの生産も終わってしまう。これは残念というか不思議というか。

山田 最近ロータスが発表したティーザー写真にエヴァイヤと、それ以外に新たなモデルが3台出ている。エヴァイヤは花火みたいなものなんじゃないかと思う(笑)。新しいロータスを印象付けるための。

吉田 3台の中で最初に登場するのはエリーゼの後継で決まりでしょう。エヴォーラのラージシャシーを2シーターに切り詰めて使って、エンジンは直4とV6の両方が選べるという噂話も出ていた。

山田 そうなると車重は確実に1トン以上になるはず。でもアルファロメオ 4Cもアルピーヌ A110も1.1トン超えているから重さは問題じゃないかも。そんなことより衝突安全とか、排ガスの問題とか色々あるから。

吉田 北米に輸出できるかっていう部分も気になるね。エリーゼは北米の基準に合致しないから純粋なライトウェイトスポーツでいられたわけだけれど、メーカーとしては北米に輸出できないと成長していけない。アルピーヌとEVを共同開発するっていう発表もあったから、タイプ131はパワートレインの選択肢も増えることになると思う。

山田 どんなスペックになってもいいから、ロータス特有のフワフワ感だけはちゃんと残してほしいな。

吉田 一番期待したいのはそこだね。

TEXT/吉田拓生(Takuo YOSHIDA)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)

掲載誌/GENROQ 2021年 6月号