一発逆転の作戦も振るわず厳しいレースとなった佐藤琢磨「やることがすべて裏目に出てしまった」

 NTTインディカー・シリーズの第4戦は、テキサス・モータースピードウェイでのダブルヘッダー2レース目。日曜が決勝レースとなったこの日は、土曜日と違いスッキリと晴れ渡った。気温も上がりレーススタート時間が2時間も早いことから、前日とはコンディションが大きく違い、このあたり各ドライバーとチームがどのように調整してくるかが見ものだ。

 前日の第3戦の結果によるシリーズポイントランキングが、第4戦のスターティンググリッドとなる。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は11番手のグリッドに着くことになった。

 前日のレースを9位で終えた琢磨は、「明日は他のマシンもレベルが上がって速くなってくるので、僕たちも変えていかないといけない。コンディションも変わるし、そこをうまく合わせてレースに臨みたい」と言っていたが、レース前にプラクティスセッションはないので、マシンの変更具合はグリーンフラッグが振られてからでないとわからない事になる。

 午後4時過ぎ、ポールポジションのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)がグリーンのコールに合わせてスタートをしようとした瞬間に、後続では追突の多重クラッシュが発生していた。

 ピエトロ・フィッティパルディ(デイル・コイン)がセバスチャン・ブルデー(AJ・フォイト)をプッシュする形で始まったチェーンリアクションで6台が巻き込まれる大アクシデントに。

 6列目でスタートを切った琢磨は、幸いにもこれに巻き込まれることなく、レースを続行できた。

スタート直後の佐藤琢磨
スタート直後の佐藤琢磨

 琢磨はスタートのアクシデントについて「スタートのタイミングはスコット(ディクソン)が決めることができるし、特に遅いとは感じなかったけど、僕もグリーンの直前にアクセルからちょっとブレーキを踏んだから、後はもっとその影響が大きかったんだと思う」と振り返る。

 このアクシンデントの処理に18周を要し、19周目からレースは再開。琢磨は前日のようにうまくポジションを上げて10番手となり、序盤を戦っていく。前を走るのはチームメイトのグラハム・レイホール。その背後につけて周回を重ねた。

 早くペースが落ち始めたのは琢磨の方で、後続のフェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレンSP)に前を譲ったところで、いちばん早くピットイン。昨日同様アンダーカットを狙う。

 しかしピットの作業時に右リヤのインパクトレンチにトラブルが発生。これで大きく時間をロスし、コースに戻った時にはラップダウンとなってしまう。

 幸か不幸か、コースに戻ったのはリーダーのディクソンの直後で、猛プッシュした琢磨はディクソンを交わして同一周回に自力で戻った。この時点で16番手だった。

 ただ前日のレースでも証明されたように、バンクの外側に黒々と残る舗装の箇所は、ほとんどグリップせず、せっかくのバンクも2ワイドで走ることがほとんどできない。ドライバーたちからもクレームがつけられていたが、限られた走行ラインでは琢磨もポジションアップを望むべくもなかった。

舗装の違いでバンクのアウト側は走られないテキサスのオーバル
舗装の違いでバンクのアウト側は走られないテキサスのオーバル

 117周目にはローゼンクヴィストの右リヤホイールが外れ、再びイエローコーションに。琢磨もこの時点ではライバルに合わせて一緒にピット作業を済ませていた。

 ひとつポジションを上げて15番手を走っていた琢磨が、ピットシークエンスを変えて
賭けに出たのは最後のピットだった。

 185周目を目処に各マシンがピットに入ったが、琢磨はここで入らずステイアウト。

 イエローコーションがタイミング良く190周目から6周の間出て、琢磨は一時的にトップに立った。もちろんチェッカーまでにはもう一度ピットに入らなくてはいけなかったが、もし複数台のクラッシュが発生しないとも限らない。

 チームと琢磨は僅かな可能性に賭けたが、奇跡は起こらず211周目に最後のピットに入った。コースに戻ると14番手となりウィル・パワー(チーム・ペンスキー)を追うことに。

 最後のプッシュも届かず、248周のレースを14位で終えた。レース終盤、琢磨の後ろにいてピットシークエンスを変えなかったライアン・ハンターレイは10位で終わっていることを思うと、レース戦略の違いが明暗を分けた。

 レース後の琢磨は苦悩の表情だった。

「今日はやることがすべて裏目に出てしまうようなレースだった。最初のピットで大きく遅れてしまったけど、なんとか同一周回まで戻したんだけど、その後もなかなか順位が上げられなかったし、ピットシークエンスを変えたのも賭けだったけど、イエローに阻まれてしまいました」

「クルマは昨日から良くなった部分もあったし、まだ良くなってないところもあった。まだ少しずれてるような感じがしました」

「開幕からの3連戦では、レースがうまくいったのはセント・ピータースバーグだけで、開幕のバーバーも、昨日も戦略のミスがあったり、イエローコーションで運が悪かったりで、レースらしいレースができてないのが残念」

「それでもレースは全部完走できているから、しっかり次へ繋げたいですね。このあとはちょっと休めるので、しっかりリフレッシュしてインディの2レースに臨みたいと思います」とコメントした琢磨。

 インディアナポリス・モータースピードウェイでのロードレース、そして連覇を狙うインディ500での活躍を期待したい。

ピット作業を行う佐藤琢磨
ピット作業を行う佐藤琢磨