インディカー第4戦:若き才器オワードがホームのテキサスで初優勝。琢磨は厳しいレースに

 テキサス・モータースピードウェイを舞台にダブルヘッダーで開催されたインディカー・シリーズ。2日に行われた第4戦は、パト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)がインディカー初優勝を挙げた。

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、作戦が振るわず14位でレースを終えている。

 21歳のパト・オワードがインディカー第4戦エクスペル375でキャリア初優勝を飾った。メキシコのモンテレー出身、育ちはテキサス州のサンアントニオという彼にとって、記念すべき初優勝はホームコースと呼べるテキサス・モータースピードウェイで達成された。

 インディライツでチャンピオンになった直後、ご褒美として出場させてもらった2018年の最終戦ソノマで、オワードは初めて乗るインディカーながら予選5番手に食い込み、レースも完走9位してみせた。

 一緒に同じチームから出場したインディライツ2位のコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)は予選でも決勝でもほとんどパフォーマンスできなかった。

 翌2019年、ハータとオワードはそのチームでインディカーに出場するはずだった。ところが、スポンサーがつかず、フル参戦できたのはハータの方だけ。

 オワードの参戦話は開幕直前に霧消した。「この才能を放っておいていいのか?」と多くの関係者が思い、「ハータより素材として上」とも映っていた。しかし、資金持ち込みのないドライバーは雇ってもらいにくい。

 オワードはレッドブルの育成ドライバーを経て、マクラーレンと契約しインディカーに戻ってきた。ちゃんと見ていてくれたオーナーはいたのだ。

 昨シーズン、シュミット・ピーターソン・モータースポーツからアロウ・マクラーレンSPへと体制変更。大量の資金投下も行われた。エンジアリングの拡充もなされた。

 オワードは幾つものレースで速さを見せた。初ポールはシリーズ第3戦ロードアメリカで早々に獲得した。しかし、勝利に手は届かなかった。

 2021年シーズンに向け、チームはさらにエンジニアリングを強化。F1チームとも連携してマシン開発を進めている。

 開幕戦でオーワードはキャリア2個目となるポールポジションをゲット。しかし、チームの作戦ミスで優勝のチャンスを逃し、4位でのゴールとなった。ストリートの第2戦は予選6番手から決勝19位という無惨な結果。

 第3戦は予選なしでランキングの11番手からスタートし3位でフィニッシュ。そして今日、第4戦で序盤にウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、中盤以降にスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)、グラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)という強豪たちを相手に戦い、彼らを打ち負かしての堂々たるキャリア初勝利を記録した。

 序盤からディクソンが独走していたが、レースがもう終盤に入ってからはレイホールのリードに変わった。暑いコンディションの中で、ディクソンはハイペースを保ち続けることができなかったのだ。

スコット・ディクソンを交わすグラハム・レイホール
スコット・ディクソンを交わすグラハム・レイホール

 レイホールはゴールを前にいちばんスピードが出せていた。ディクソンを抜くのにも大きな苦労はせず、トップに躍り出る。しかし、最終スティントでの優勝争いは、レイホールとディクソンの一騎打ちにはならなかった。

 最後のピットストップで見事な逆転劇を見せたのがニューガーデンとオーワード。サードスティントでの燃費セーブに力を入れていた彼らは、レイホールとディクソンより1周長く走り、給油とタイヤ交換を終えるとホンダ勢ふたりより遥か前方でコースに戻ってみせた。

 意外だったのは、ゴールまで50周を切った時点でトップに立ったのがニューガーデンだったことだ。ずっとトップ6を走り続けてはいたが、優勝を争えるところまでペースを上げられそうにはない雰囲気が漂っていた。

 一方で、オーワードはスタート直後からスピードを見せ続けており、優勝争いの中心になるだろうと見えていた。

ジョセフ・ニューガーデンと競るパト・オワード
ジョセフ・ニューガーデンと競るパト・オワード

 ホンダ勢ふたりを置き去りにしたシボレー勢2台の戦い。オーワードは果敢なアタックを続け、225周目のターン3でインからトップへと躍り出る。そして、そこからはリードを広げてゴールへと逃げ切った。

「やっと勝つことができた。本当に、やっと、という感じだ。僕も、チームも勝つためにレースを戦っている。今日、こうして勝つことができた。初勝利はやっぱり特別だ。凄く特別なものだと感じている」

「自分の家の近く、故郷に近いところで初優勝っていうのも嬉しい。テキサス・モータースピードウェイは難しいコース。それだけに初優勝の場所としては最高だよ。今日は僕の家族がたくさん来てくれていた。初めての勝利の瞬間を彼らと一緒にシェアできた」

「ついに優勝できた。もう初勝利のことを考えて過ごさなくていいね。残りのシーズンはまだ長い。できる限り多くのレースで勝ちたい。勝てないなら2位、2位も無理なら3位と、ひとつでも上の順位でゴールできるよう全力で戦い続けるよ」

「まだまだシーズンは長い。チャンピオンシップを狙いたい。カリフォルニアでの最終戦を迎えた時、自分たちはどんな位置につけているのか、楽しみだね」とオーワードは語った。

 このまま複数勝利を挙げてチャンピオン争い……とトントン拍子で進んで行けるだろうか?

チームクルーからの祝福を受けるパト・オワード
チームクルーからの祝福を受けるパト・オワード

 オーワード、ニューガーデンの順でゴールしてシボレーがワン・ツーフィニッシュの今季初勝利。3位はレイホール。4位はディクソンで、開幕4戦全部でトップ5フィニッシュとなり、5位はハータが入った。

 佐藤琢磨は、1回目のピットストップで右リヤホイールが装着できないトラブルが発生。周回遅れに陥り、その後の奮闘も虚しく14位フィニッシュとなった。

 ランキングはトップがディクソンの153点。2位がオーワードで131点、3位がパロウが127点で開幕からの3週連続開催を終えた。