STANLEY牧野任祐、ついに復帰か。富士500km決戦で雪辱を果たしたいMOTUL GT-R【第2戦プレビュー】

 GRスープラのトップ4独占というワンサイドゲームとなった、スーパーGT開幕戦に続き、5月3日〜4日にはGWの富士開催、第2戦富士500kmが開催される。新型コロナ禍の影響で当日券の販売はなく、人数制限された前売り券のみでの開催と異例のGW富士500km開催となるが、今回はGT500の優勝を予想するのは非常に難しい状況だ。言い換えれば、この第2戦を制するチーム、メーカーは今シーズンの主役になる可能性が高そうだ。

 開幕戦岡山でトップ4をGRスープラ陣営が占めたことで、通例ならサクセスウエイト(SW/旧名ウエイトハンデ)の関係から、今回はGRスープラ陣営のSW軽量チーム、そしてホンダNSXとニッサンGT-Rの数台が優勝候補に挙がる。

 特に開幕戦でGRスープラ勢とがっぷり四つの戦いを見せるはずだったホンダNSX陣営としては、この富士で名誉挽回を果たしたいところ。ブリヂストン勢の1号車STANLEY NSX-GT、8号車ARTA NSX-GT、17号車Astemo NSX-GTが今回の優勝候補に挙げられるなか、特に今回注目したいのが1号車STANLEYだ。昨年チャンピオン獲得しながら体調不良で開幕戦を欠席していたSTANLEYは今回、牧野任祐がサーキットに姿を見せており、第2戦での復帰が濃厚。今回のキーパーソンになりそうな牧野に搬入日の日曜、話を聞いた。

「まだ今後のことはわからないですけど、僕なりにトレーニングもしてきましたし、体調はかなり良くなっていて今のところは問題ありません。普通に生活ができています。スーパーGTでは開幕戦、スーパーフォーミュラでは開幕から2戦出れなかったですけど、もちろん、家でレースを見ていて複雑な心境で不思議な感覚でした。まずは今回、サーキットに戻って来ることができて純粋に嬉しい気持ちですし、走りたい気持ちも高まって来ると思いますが、そこはチームとしっかり相談しながら進めていければいいなと思います」と、しっかりとした口調で話す牧野。

 すでに鈴鹿で開催されたスーパーGTの鈴鹿タイヤテストでステアリングを握って実践復帰は果たしており、周囲の評価も上々とのことだが、牧野は慎重だ。

「感覚的な面では、昨年の緊急事態宣言でレースが延期された時とはワケが違って、しばらく寝たきりの状況だったので全然違う状況でしたけど、これまでの感覚を戻すために、それなりにいろいろなことに取り組んできました。レースになれば言い訳はできないので、もし走れたらしっかりと頑張りたいと思います」

 これまでチームを支えた武藤英紀もサーキットに姿を見せており、山本尚貴、そして牧野と3名が揃ったことで、今回のSTANLEYがどのような戦略でセッションに臨むのか、注目される。

2021年スーパーGT第2戦富士搬入日
昨年のチャンピオンコンビ、山本尚貴&牧野任祐がいよいよ富士で復活か

 また、ホンダ陣営とともにニッサン陣営にとっても今回の富士は大きな勝負どころになる。開幕戦岡山では23号車MOTUL AUTECH GT-Rが予選12番手からオープニングラップで6番手まで上がりながら、ピット作業に手間取り、さらにその後8号車ARTAと接触して、GT300マシンとクラッシュしてリタイアしてしまうという、悔しい結果に終わった。GWの富士500kmはこれまでニスモにとっては相性のいいレース。MOTUL GT-Rの鈴木豊監督に手応えを聞く。

「前回はウチのチームのミスでああいう結果になってしまった。(SC前の)ピット作業でのミスがすべてです。(ピットロードで)前のピット準備の影響でクルマが止まる位置が50cmほどズレたとはいえ、あと20〜30cm給油ホースに余裕を持たせて対応できていれば問題はなかった。あのミスがなければ(松田)次生の接触もなかったと思いますし、あの接触もドライブスルー相当のペナルティが出ましたけど、個人的には次生のミスだとは思っていませんので責めることはありません」と、前回の岡山を振り返る鈴木監督。

「この富士ではテストの結果もよかったですし、今回はしっかりと獲りに行くレースだと思っています。タイヤ、クルマのパフォーマンスはそこそこのところに行けると思いますので、あとはチームのみんながもう一度、自分の仕事を振り返って作業できればと思います。この富士の結果である程度ウエイトを積んでも、次の鈴鹿も狙える手応えがあるので、この2戦でしっかりポイントを獲るというのは今シーズンのウチの大きな分岐点になると思います」と鈴木監督。

 ちなみに開幕戦のMOTUL AUTECH GT-Rにはドライブスルー相当のペナルティが課され、正式リザルトに『執行を保留する』という表現が追加されていたが、リタイアとなったことで消化扱いとなり、この富士へのペナルティの持ち越しはない。

2021年スーパーGT第2戦富士搬入日
マクドナルドとのコラボでフロントフェンダーにマクドナルドのロゴが入った第2戦のMOTUL AUTECH GT-R

 いずれにしても、ホンダのSTANLEY NSX-GT、そしてニッサンのMOTUL AUTECH GT-Rと、それぞれのメーカーを代表するエース車両が今回の富士でどんな結果を残すことができるのか。お互い、第3戦の鈴鹿も得意サーキットになるだけにこの第2戦の結果が気になる。

 そして、前回圧倒的な速さと強さを見せたGRスープラ陣営のなかでは、通例ならSWが軽めの39号車DENSO KOBELCO SARD GRスープラ、38号車ZENT GRスープラが優勝候補に挙げられるが、岡山での上位チームにもまだまだ可能性は残っている様子だ。

 GRスープラ陣営内のチーム関係者からは「20kgくらいのウエイトなら影響は小さい。40kgでも表彰台には行けるのでは」との声も聞こえ、得意の富士という背景からも14号車ENEOS X PRIME GR Supra 、そしてトムスの2台、36号車au TOM’S GRスープラ、37号車KeePer TOM’S GRスープラも候補から外すことができない状況だ。

 もし岡山で表彰台を獲得したGRスープラ勢が第2戦富士でも連続して表彰台を獲得したならば、それはもちろん、今シーズンのチャンピオン大本命になることは間違いない。そして1号車STANLEY、23号車MOTULがこの富士で結果を残すことができれば、次の鈴鹿でも好結果が期待でき、タイトル争いでGRスープラ勢を上回る展開になってくる。

 3メーカー、それぞれの思惑が絡んでくる第2戦富士500km。今回のレースではスーパーGTとしては初となるFCY(フルコースイエロー)の導入も予定されており、今シーズンのチャンピオン争いのゆくえとともに、見逃せない1戦になる。