どんなツールや機材を使ってる? D1GPチームのピット装備を探索【D1GP OKUIBUKI DRIFT】

■発電機は定番。控室の充実度が勝敗を左右する!?

2021年シーズンのD1GPが開幕戦・奥伊吹モーターパークでスタートしました。

会場の奥伊吹モーターパーク、本来はスキー場の駐車場です。ということは、ピットといっても屋根も電気もなく、ただの平地に各チームは設営をしなければいけません。

では、各チームはどんな装備を調えているのでしょうか? 全部はお見せできませんが、基本的なものをご紹介しましょう。

D1GP奥伊吹ピットエリア
各チーム、基本的にスポンサーカラーでロゴの入ったテントを使用しています。

まず、基本となるのがテントを使ったピットです。イベント用などのテントを2棟使うのが標準的で、ピットレーン側の1棟はクルマ用、その奥の1棟を控え室用として使います。

チームによっては、この間に幕を張ったり、パネルを立てたりして、ピットレーンから控え室が見えないようにしています。複数台で参戦しているチームは使うテントの数も多くなりますが、今回は雨の心配がなかったこともあって、クルマ用のテントを建てていないチームもありました。

レースデッキ
上野選手の会社でも扱っているレースデッキ。数十センチ四方のマットを組み合わせて使います。

最近非常に多いのが、タイルのように組み合わせて使うマットをカースペースに敷くスタイルです。

これは『レースデッキ』などとよばれる製品ですが、なにしろ路面ムキ出しよりだんぜんカッコいい。膝をついたり、寝転がって作業をするときにもあまりゴツゴツしなくてよさそうです。

ジャッキアップにはいわゆる『ガレージジャッキ』と呼ばれる油圧式のジャッキを使うのが定番です。補助的にカヤバのシザーズジャッキや一般のパンタジャッキなどが使われることもあります。

ちなみに、クルマの下に人が入って作業をする場合、ジャッキでは不安定で危ないので、リジッドラック(『ウマ』ともいう)にクルマを乗せます。これは一般ユーザーのDIYでも同じなので守ってくださいね。また、D1GPではホイールナットの脱着にはコードレスのインパクトレンチを使うのが定番です。

ガレージジャッキ
整備工場などでもよく使われるガレージジャッキ。これをフレームやデフなどにかけてジャッキアップします。
インパクトレンチ
ホイールナットの脱着は電動インパクトレンチが定番。後ろではメカニックがリジッドラックに乗せられたクルマの下にもぐって作業をしています。

車両のフロントを持ち上げる場合はスロープを使うことが多いようです。車高が低い競技車両では、エアロと地面とのあいだにガレージジャッキを入れる隙間がないために、フロントタイヤをスロープの上に乗せることで、高さを稼ぐのです。

クルマ用スロープ
車高が低い車両のフロントにジャッキを入れるために使われるスロープ。アストロプロダクツのものが人気です。

発電機も多くのチームが持参しています。最近ではタイヤウォーマーに使うことも多いのですが、そのほかにも電動工具の駆動、電動工具のバッテリー充電や控え室の照明、電子レンジなど、電気があると便利だからです。

一部のチームでは、コンプレッサーも持参しています。コンプレッサーがあると、工場で使っているような切ったり削ったりするエアツールがそのまま使えるほか、対応しているガレージジャッキなら、エアでジャッキを動かすこともできます。

発電機とコンプレッサー
手前が発電機。奥にはコンプレッサーを置いています。コンプレッサーを動かすのにも発電機が必要です。
送風ファンとウマ
エンジン等を冷ますために送風ファンを持ってきているチームも多いです。右はリジッドラック。
タイヤ削り
タイヤ表面にできた火ぶくれみたいなものを削る作業も、電動工具を使うと便利です。

近年は、クイックジャッキと呼ばれる左右1セットで4輪ともいっぺんに上げることができる電動の油圧式ジャッキも人気です。

クイックジャッキ
クイックジャッキは4輪ともいっぺんに上げられます。

数は少ないですが、液体窒素のボンベを持ってきているチームもあります。

コンプレッサーがなくてもエアツールが使えるのが大きなメリットだそうです。なお、液体窒素のボンベを持参していたRE雨宮チームの場合、ピットでタイヤにエアを入れることはあまりないそうで、タイヤサービスで組んだときに入れてもらったエアを抜くことで調整するのが普通なので、この液体窒素をタイヤに使うことはほぼないそうです。

液体窒素
RE雨宮チームの液体窒素のボンベ。窒素としてというより、圧縮エアとして使うことが多いようです。

●控え室の充実度も重要?

各チーム、カースペースの背後には必ず控え室用のスペースを設けています。

ここは本当に「控え室」という感じで生活感まる出しなのが普通なので、あまり紹介しませんが、チームによってはIH調理器や炊飯器、ホットプレートなどを持ち込んで、食事を作ったりもしています。

ユニークな装備としては、田所選手のピットではこだわりの(?)アウトドアチェアを発見。スポーツシートで有名なブリッドの生地を使った椅子なのです! 生地を持っていたので、知り合いに縫製してもらって作ったそうです。

ブリッドの折り畳みチェア
ブリッドでは生地だけの販売もしているのですが、その生地を使ったオリジナルの折り畳み椅子です。

そして、斎藤太吾選手の控え室は、なんと数々の花で彩られていました。ピットが黒基調のため、なにもしないと暗くなりがちということで、リラックスできる空間にしているそうです。

斎藤選手のピット
斎藤選手のチームの控え室。なんと斎藤選手自身が花を生けているそうです。

もちろん、ピット装備を充実させようと思うと運搬や設営、撤収が大変になりますが、モータースポーツでは雰囲気や競技の合間の利便性も重要。各チームともピットにはそれなりに工夫をこらしているようです。

●藤野選手がランキング首位で第3戦へ

この開幕戦は、土曜日と日曜日に第1戦、第2戦が連続開催されましたが、2日間とも単走優勝はFAT FIVE RACINGの松山北斗選手。

松山選手の単走
松山選手は、角度に強いGRスープラの特性を生かして単走2連勝を果たしました。
松山選手
表彰式後の松山選手。これでGRスープラ投入後3回の単走優勝を果たしました。

第1戦のラウンド優勝は同じくFAT FIVE RACINGの斎藤太吾選手でした。

第1戦の決勝
第1戦は現行車種同士の決勝を制して、斎藤選手が優勝しました。
表彰式後の斎藤選手
斎藤選手はGRスープラ投入後初めてのラウンド優勝です。

そして第2戦のラウンド優勝はNANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAXの横井昌志選手でした。

第2戦決勝
第2戦の決勝は、横井選手(右)vs中村選手という10年以上前からのライバル対決でした。
表彰式後の横井選手
横井選手は2年ぶりの優勝となりました。

なお、ポイント順位では第1戦で準優勝し、第2戦で7位に入った藤野選手がトップに立っています。

次のラウンドは2021年6月26日〜27日の茨城県・筑波サーキットで行われます。

(文:まめ蔵/写真提供:サンプロス/まめ蔵D1GP)