【RQインタビュー】後輩から先輩へ……相沢菜々子が迎える“心機一転”の2021年と“あの時の想い”

 岡山国際サーキットで開幕を迎えた2021年のスーパーGTシリーズ。今年は開幕戦からレースクイーンもサーキットに登場し、スポンサーステージやドライバーアピアランス、さらにはスタート進行でのグリッドボード担当と大活躍していた。

 その中で、今シーズン心機一転の気持ちで臨むのが、1号車STANLEY NSX-GTを応援するSTANLEYレースクイーンを務める相沢菜々子さんだ。

 相沢さんといえば、多くの人の記憶に残っているのが昨年の最終戦。トップを快走する37号車KeePer TOM’S GR Supraの平川亮を、100号車RAYBRIG NSX-GTを駆る山本尚貴が猛追。当初は16秒近い差が、残り15周を切ったあたりから、両車の差はみるみるうちに縮まっていった。

 その時、ちょうど目に大粒の涙をため、無線を力強く握りしめて100号車を応援する相沢さんが公式映像に映し出され、シーズンのハイライトシーンのひとつとして取り上げられるほど注目される。

 あの時、何を考えていたのか? 相沢さんに思い切って質問してみた。

「TEAM KUNIMITSUでは、私たちも無線を持たせていただいて、レース中は無線の内容を聞きながら応援しています。あの時は、スーパーGTで26年間続いてきたRAYBRIGのカラーリングが最後になるということで、やっぱり有終の美を飾りたいという思いがチームの中でありました」

 ちょうど公式映像に彼女が映し出されたのは、山本尚貴が無線で「このまま2位で終わるなら、(ガス欠で)リタイアしちゃった方がいいから、勝ちにいかせてほしい!!」とチームにお願いしているところだったという。

「普段、山本選手は淡々と話されていらっしゃる感じで、レース中も冷静な印象だったんです。けど、あの時は、すごく熱くなっているというか、いつもとは違う雰囲気でした」

「タイム差もどんどん縮まっている状況でしたし、TEAM KUNIMITSUが初タイトルを獲得した2018年は、他チームのレースクイーンでしたけど、100号車が1号車になって、さらに100号車に戻った過程を知っているので……あの時は、どうしても勝ってほしい!!という思いになっていました」

「本当に勝って欲しかったんです。でも、あの時は自分には何もできない無力さもあったし、その気持ちがすごく出てしまって……人って祈る時って、すごく手を握るんですね(苦笑)」

 当時のことを思い出し、目頭を熱くさせながら語り始めた相沢さん。ゴールまで500mのところで37号車がガス欠でスローダウンし、100号車が逆転した瞬間は、時が止まったような感覚を覚えたという。

「最初は本当に理解ができなかったです。37号車がスローダウンしたというのが聞こえてきたんですけど、(逆転の瞬間は)一瞬、立てなくなっちゃいました」

「頑張ってプラットホームに行くと牧野選手が崩れ落ちていて、小島監督も嬉しそうな顔をしていましたし、国光総監督のホッとした表情とか……。時が止まったような感じでした!」

「レースクイーンになって(応援しているチームが)1位になるのを見たことがなかったし、あの時は私がグリッドボード担当だったんですよね……本当に熱い思いをさせてもらいました」

 そんな相沢さんだが、今季もチームは変わずTEAM KUNIMITSUを応援するのだが、スポンサーロゴの変更に伴い、これまでは白と青が基調だったコスチュームから、白とオレンジ色のコスチュームでサーキットに登場となった。

STANLEYレースクイーン/相沢菜々子
STANLEYレースクイーン/相沢菜々子

「コスチュームの色が変わると、やっぱり気分も変わりますね。寒色系から暖色系に変わるということで、だいぶ印象が変わります。私はレースクイーン1年目の時は別のチームだったんですけど、青系のコスチュームでした」と、自身が纏っている新しいコスチュームを見ながら語る相沢さん。

 ただ、これまでチームクニミツといえば、RAYBRIGのカラーリングで26年にわたって親しまれ、レースクイーン界でも「RAYBRIG レースクイーン」というのは憧れの存在となるほどのポジションだった。

 スポンサードする会社は変わらないものの、ロゴや色が変わるということで、新しいコスチュームをお披露目する時は、緊張したとのこと。

「STANLEYレースクイーンとしての初年度を務めさせていただけるというのは本当に光栄なことではありますし、同時に背負うものもあります」と、気持ちを新たにして、岡山大会でのひとつひとつの業務に臨んでいたのが印象的だった。

 さらに昨年までと違うことがもうひとつあると語る。

 今年は原あゆみさんが新しい相方として加わることになった。チームクニミツの在籍年数だけでなく、レースクイーンのキャリアでみても相沢さんの方が上ということで、“先輩”として相方を引っ張って行かなければいけない立場になるのだが、そこの自覚も開幕前の段階からしっかりと芽生えていた。

「これまでの2年間は、パートナーの沢(すみれ)ちゃんがしっかりしていて、そこに私は“おんぶに抱っこ”じゃないですけど、後輩感丸出しでやっていました。その分、沢ちゃんはすごく頼り甲斐がある先輩だったので、私もすごく安心していました」

「今年は私が先輩になるということで、沢ちゃんに教えてもらったことだったりとか、自分で得たこととかを教えていきたいなと思っています。伝えていけることはしっかりと伝えていきたいですね」

 また、相沢さんはレースクイーンの活動以外にも“RIZINガール”や舞台の出演など、様々なフィールドで活躍中なのだが、モータースポーツの世界での経験は他の仕事でも大いに役立っているようだ。

「いろいろな現場を経験させていただいて、こういうやり方をモータースポーツやレースクイーンの仕事で取り入れたら、もっと観てくれる人が増えるかなと思うところもあって、他のお仕事で勉強になることも多いです」

「でも、スーパーGTのレースクイーンさんたちは、皆さん鍛えられているなと思います。やっぱり企業ロゴやマシンの見せ方など、(仕事をする上で)わかっていなきゃいけないベースのところがしっかりしているから、他の現場とかでレースクイーンの方と一緒にお仕事をするときは安心感が違います」

「またレースクイーンのお仕事で経験したり勉強したことが、他のお仕事で役に立てていることが多いですね」

「臨場感とか、言葉にできない感情とかはモータースポーツの現場でたくさん経験させてもらっています。それは大切にしていきたいですし、他のお仕事でも活かしていければなと思っています」

 今年は、さらなる飛躍を目指している相沢さん。今季の意気込みについて、このように力強く語ってくれた。

「2020シーズンはできないことの方が多くて、皆さんもすごい悔しい思いをされたと思います。でも、そんな中でレースに携わる方々が工夫をして、レースをもっと盛り上げようとする一体感が素敵だと思いました。そこを引き継いでいきつつ、2021年はもっとできることを増やしていきたいなと思います」

「自分自身としてはレースクイーン4年目ということで、もっとレースの魅了を多くの人にお伝えできるように、伝え方とかも工夫して頑張っていきたいなと思います!」

 今シーズンもコロナ禍の影響で、彼女たちの勇姿をすぐ近くで見るというのは難しいかもしれないが、グランドスタンドにいるファンにも届くようパワフルに振舞う相沢さん。今後の活躍から目が離せない。

STANLEYレースクイーン/相沢菜々子
STANLEYレースクイーン/相沢菜々子