F1 Topic:厳しい制限下で行われるグランプリ。コロナ禍で日本GP開催に向け乗り越えるべきハードルは

 今シーズンのF1はここまで予定通り2戦が行われてきたが、それは2019年と同じでなく、2020年と同様、コロナ禍のなかいくつか制限のある状況で開催されている。

 その制限には大きく分けて3つある。

 ひとつ目は、特別入国許可証の発行と入国にあたっての自己申告書の準備だ。これは入国制限をしている国でグランプリを開催するときに、レース関係者の入国制限を除外して特別に入国させる措置だ。たとえば、第2戦エミリア・ロマーニャGPが行われたイタリアはイモラがあるエミリア・ロマーニャ州をはじめ、多くの州が国外からの入国者に対して2週間の自主隔離を義務付けていた。そのため、F1側は主催者(イモラ・サーキット)とイタリア自動車連盟から特別入国許可証を発行してもらい、レース関係者やメディアをスムーズに入国させていた。

 また自己申告書は海外から日本へ入国する飛行機に搭乗するために必要となる(今年の10月に日本がどうような入国制限を行っているかにもよる)。

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イモラ・サーキットとイタリア自動車連盟が発行した特別入国許可証(見本)
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自己申告書は、海外から日本へ入国する飛行機に搭乗するために必要となる

 この準備は、日本GPの場合、モビリティランドまたは鈴鹿サーキットと日本自動車連盟が担うことになる。もちろん、これを発行するには鈴鹿サーキットがある三重県、そして関係各省庁と国への働きかけが必要となることは言うまでもない。

 ふたつ目が、PCR検査体制の構築だ。コロナ禍が続くなか、各国から特別入国許可証を発行してもらっている最大の理由は、F1がグランプリ開催期間中にレース関係者に行動制限を強い(レストランなどでの会食を自粛するなど)、さらに自ら定期的にPCR検査を行っているからだ。ヨーロッパラウンドでは『ユーロフィン』という世界50ヵ国以上に800を超えるグループラボがあり、医薬品等に関する分析・検査を行うグローバル企業と提携して全レース関係者の検査を行ってきたが、日本でレースを行う場合は開幕戦バーレーンGPにおいてバーレーン側がPCR検査を行ったように、鈴鹿側が準備しなければならないだろう。

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F1バーレーンGPのPCR検査場
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F1バーレーンGPのPCR検査場
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F1バーレーンGPのPCR検査場
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F1バーレーンGPではソーシャルバブルごと15カ所の検査場を設けていた(10チーム+FIA+F1+サプライヤー+サポートレース+メディア)

 レース関係者は1チーム約100名として10チームで1000名。それに国際映像を担当するスタッフやマーシャル、メディアを含めると全員で2000名にも及ぶ。日本のPCR検査数は1日5万件前後なので、鈴鹿だけで2000件というのはかなりの数となる。果たして、これを三重県または鈴鹿市はできるのか。

 3つ目が、地元の理解だ。現時点で今年の日本GPの観客の有無は決定していないが、もし無観客となれば、地元の観光産業を活性化させることができず、コロナ禍のなか海外のレース関係者を迎え入れてレースを行うという大義名分が地元にはなくなる。

 ただし、たとえ無観客となっても、今年日本GPを鈴鹿で行うメリットは十分ある。それはチケットを一般販売して観客を入れるのではなく、地元の子供たち(親同伴)や医療従事者や救急業務に携わる人たち、あるいは普段は接客で忙しい地元の観光産業に携わっている人たちに感謝の意を込めて、サーキットへ招待するという方法だ。

 もちろん、感染予防の観点から、レース関係者との接触はなく、マスク着用などその時点での鈴鹿市の感染対策を守ってもらうことになるが、無観客よりは地元の人々にも開催する意義を伝えやすいはず。

 いずれにしても、2年連続での中止だけは避けたいところだ。

2018年のF1日本グランプリ。ホンダのロゴが大きく掲出されていた。
2018年のF1日本グランプリ。ホンダのロゴが大きく掲出されていた。