アウディ RS 4 アバント、450psのパフォーマンスと実用性を兼ね備えたスーパーワゴンを試す 【Playback GENROQ 2019】

アウディ RS 4 アバント、450psのパフォーマンスと実用性を兼ね備えたスーパーワゴンを試す 【Playback GENROQ 2019】

Audi RS 4 Avant

アウディ RS 4 アバント

最強の最適解

アウディが精力的に推し進めるスポーツモデルの充実。クワトロ社時代から連綿と受け継がれてきたRSモデルは、その象徴ともいえる存在だが、このRS 4こそ、その中核である。上陸したばかりの最新RSシリーズでアウディスポーツの今を分析する。

アウディ RS 4 アバントのフロントスタイル

「元祖たるRS 2を彷彿させる佇まい。潜在能力は当然現在形に置き換えられている」

アウディにおけるRSとSの立ち位置というのは、BMWでいえばMとMパフォーマンス、メルセデスAMGでいえば63ラインと53ラインになぞらえればわかりやすいだろう。つまりはサーキット走行も視野に入れた究極のパフォーマンス指向と、日常性とのバランスを重視したスポーティ指向の2グレードで、走りにこだわるユーザーを囲い込むという算段である。

そこに標準車と合わせての三段構えのラインナップ構成に先鞭をつけたのはアウディだ。2003年に登場したRS 6は2000年に登場していたS 6に110psのパワーを上積み、450ps&560Nmという当時としては破格の火力をワイドトレッドで支えるという過激な仕立てとなっていた。その別物感は1994年に80 アバントをベースにポルシェが開発を担当したRS 2を思い起こさせるが、RS 6を開発したのはアウディが100%出資するクワトロGmbH。アウディのレース活動全般を支える傍らで市販車のRSシリーズの開発から生産までを手掛け、ラインナップをコツコツと拡張してきたこの会社は、2016年にアウディスポーツGmbHと社名を変更。初代のマネージング・ディレクターにランボルギーニから移籍したステファン・ヴィンケルマンが就いたことで、スーパーカー愛好家には知られるところとなった。

アウディ RS 4 アバントのエンジン

「アウディの設計開発となる2.9リッターV6直噴ツインターボを搭載」

アウディスポーツGmbHが手がけるモデルはR8を筆頭に、RSのエンブレムをいただく9バリエーションに及ぶが、中でも最も新しい日本導入モデルとなるのがRS 4 アバントだ。2000年には初代RS 4が登場しており、この新型は4代目のモデルということになる。さらに車格的にルーツを遡ればRS 2との関係も濃いわけで、最も精神的源流にあるRS銘柄といっても過言ではない。

新型RS 4 アバントはB9系アウディ A4 アバントをベースとしており、サイズ的には全長が45mm、全幅が25mm拡大している。標準車との違いは一目瞭然というエクステリアを目の当たりにすると、その程度のサイズアップで収まっているのかというのが正直な印象だ。もちろん高性能化に起因する、荷室容量や居室空間の変化はない。

搭載されるエンジンはアウディの設計開発となる2.9リッターV6直噴ツインターボで、タービンはVバンク内に2つ収められるホットVレイアウトを採用。アウディではRS 5に搭載されるほか、ポルシェでもカイエンやマカンなどが採用するそれは450ps&600Nmを発揮する。このパワースペックは件の4.2リッターV8ツインターボの初代RS 6をも上回るものと聞けば、時代の変化を感じることになるだろう。

アウディ RS 4 アバントのインテリア

「プレミアムモデルにとって悪目立ちをしないというアンダーステートメント性は重要」

パワーもさることながら強大なトルクを受け止めるべく、組み合わせられるトランスミッションは8速ティプトロニック、つまりトルコンATとなる。クワトロシステムは基本的に40対60の前後駆動配分を持つフルタイム式となるが、ドライブモードやグリップ状況に応じて最大でフロントに70%、リヤに85%まで駆動配分を調整可能だ。加えて後軸側にはメカニカルな増速制御も行うスポーツデフを日本仕様では標準装備。足まわりについても電子制御可変レートダンパー=DRC付スポーツサスペンションプラスが装着されるなど、走りの性能にまつわるものはほぼフルスペックとなっている。唯一のオプション扱いはカーボンセラミックブレーキくらいなものだろうか。

アウディのRSと聞けば身構えるほどの狂気がクルマに宿っていても当然だが、ワイド感を強調するルックスを除けば、過剰な演出はそれほど多いわけではない。始動音も必要以上の威嚇はなく、この手のモデルとしては常識的な範疇だ。しかし、この手のプレミアムモデルにとって悪目立ちをしないというアンダーステートメント性は重要な項目でもある。言い換えればRS 4 アバントは双方の意を汲む際のキワ的なところにいるのではないだろうか。

アウディ RS 4 アバントのシート

「タウンスピード領域での乗り心地はイージーで快適性は担保されている」

低回転域を多用するタウンスピード領域では、2000rpmも回れば十分というほどにATが素早く高いギヤを捕まえて600Nmのトルクに任せたイージードライブが可能だ。ギヤの刻みの多いがゆえのビジー感を覚えることはまずないだろう。また、この域での乗り心地は引き締まったがゆえの突き上げや横揺すり感は若干残るものの、エンジンやドライブトレインの音もほとんど気にならず、快適性は担保されている。

踏めば速いことは当たり前だが、その速さの質に小排気量のエンジンが無理繰りパワーを絞り出しているような必死さは皆無だ。どこからでも力が湧き上がるという低回転域からの感覚のまま、6000rpmオーバーまで山谷感もなく達してしまうという加速の質は、古からのRSモデルのイメージにほど近い。

アウディ RS 4 アバントのリヤスタイル

「RSが歩んできた進化の到達点は、機械における悟り的な境地なのかもしれない」

一方で、古とは大きく異なるのはその馬鹿力を受け止める脚さばきや実際の路面伝達感が、より柔らかく綿密に変貌しているということだろう。かつては路面を掻きむしるようにトラクションを全面に押し出し、乗り心地を泣かせてでも足を路面に押し付けていたRS流の必死なセットアップは洗練され続け、今では強烈な速度域に至るまで、路面に染み入り同化するようなフィードバックをドライバーに伝えてくる。

標準車と等しく変わらぬとっつきやすさをもって、上側の性能をどこまで高められるのか。RSが歩んできた進化の到達点は、走る曲がる止まるの全能をどこまでシームレスな肌触りにするのかという、機械における悟り的な境地なのかもしれない。

REPORT/渡辺敏史(Toshifumi WATANABE)
PHOTO/平野 陽(Akio HIRANO)

【SPECIFICATIONS】

アウディ RS 4 アバント

ボディサイズ:全長4780 全幅1865 全高1435mm
ホイールベース:2825mm
車両重量:1840kg
エンジン:V型6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2893cc
最高出力:331kW(450ps)/5700-6700rpm
最大トルク:600Nm(61.2kgm)/1900-5000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後275/30ZR20
最高速度:280km/h(リミッター作動)
0-100km/h加速:4.1秒
環境性能(JC08モード):11.2km/L
車両本体価格:1196万円

※GENROQ 2019年 4月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。