「全日本ラリー仕様のハイエースがヤバすぎる!」各部のメイキングを徹底考察

「全日本ラリー仕様のハイエースがヤバすぎる!」各部のメイキングを徹底考察

ボディの作り込みは競技車両そのもの!

異色のラリー仕様ハイエースで戦うチーム代表を直撃

レース会場にあるハイエースといえば、サポート用の機材を運搬するトランスポーターというのが相場だが、今回紹介するのはなんと競技を戦うガチの参加車両。そんな前代未聞のハイエース(CAST RACINGハイエース)が登場したのは、佐賀県唐津市を舞台に開催された全日本ラリー選手権第3戦のツール・ド・九州2021 in 唐津(4月9日〜11日)。

「なぜハイエースで?」「仕様は?」「勝算はあるの?」など湧き出る疑問を解決すべく、WEB OPTIONはマシンメイクだけでなくドライバーとしても参戦するサンコーワークスの喜多見代表を直撃してみた。

元々は名門ラリーチームでメカドラとして活躍した喜多見氏が、1988年に独立してスタートさせたのがサンコーワークス(創業時社名はアドバンスサンコー)。その後、特許取得の純正ショックアブソーバーの改造・再生技術“Neo Tune”を開発したところ、全国のハイエース乗りから魔法のショックとして注目を集め、ハイエース用パフォーマンスパーツブランドの“CAST”を展開することになった。

そんなオリジナルパーツの開発とハイエースのイメージ向上のために、CAST製品の一次代理店を務める丸徳商会とタッグを組んで2021年から全日本ラリーJN3クラスへ2台のハイエースで挑むことになったのだ。

イエローのアクセントカラーが施されているのが、CASTレーシングサンコーハイエース。ピンクのアクセントカラーの方がCASTレーシングマルトクハイエース。どちらもベースはTRH200型の標準ボディに2.0Lガソリンエンジン、5速MTを搭載するDXグレードだが、5ドアのサンコー号よりも4ドア(右側のリヤドアレス)のマルトク号の方が、車重が20kg以上軽い。

車内に張り巡らされた20点式ロールケージはFIA基準を満たす溶接留めの堅牢なもので、もちろんワンオフのスペシャル品。タイヤはヨコハマでターマック用がアドバンA052、グラベル用がA035だが、LT規格のラリータイヤなどあるはずはないので、減トンと呼ばれる車検証の記載変更によりインプレッサ用を装着できるようにした。

そしてサスペンション。形式はフロントがウィッシュボーン+トーションバースプリングでリヤがリーフリジッドだ。そこに、純正改のNeoTuneを投入してハイエースらしからぬ旋回性能と操安性を確保。次戦からはサブタンク付きの新型ダンパーを投入予定とのこと。

アーム類にも手が入り、フロントはワイドトレッド化を狙って延長ロアアームを投入。リヤにはリーフエンドブッシュをCASTのベアリングタイプに変更している。ブレーキはパッド&シューをBRIG製のスポーツタイプに交換している程度だ。

ブリッドのフルバケットシートが装着されたインテリアは競技車らしい雰囲気。サイドブレーキは、規則に合わせてステッキ型の純正を加工延長したものだ。ちなみにエンジン系の変更点は触媒のみ。駆動系はデフを2ウェイ機械式LSDに変更済みだ。次戦からは5速フルクロスミッションの投入も予定されている。

ヒール&トゥや左足ブレーキ操作にも対応できるよう加工されたペダル周りは、完全に競技車のそれだ。

初戦となった唐津での結果は、サンコー号(ドライバー喜多見/コ・ドライバー木原)が最終のSS10でパワステトラブルでリタイヤ。マルトク号(ドライバー国沢/コ・ドライバー大西)がクラス9位で完走。ゼロから手探りの挑戦には苦労がつきものだが、次戦に向けてのデータ取得など多くの成果が得られたというから、全日本ラリーの台風の目として今後も注目していきたい。

PHOTO:小竹 充

●取材協力:サンコーワークス 千葉県いすみ市行川242-1 TEL:0470-86-5190