【F1分析】レッドブル・ホンダはいかにしてメルセデスに追いついたのか(1)風洞データの問題解決とリヤサス改良

 開幕戦では惜しくも敗れたものの、2021年のレッドブル・ホンダがメルセデス以上の戦闘力を有していることは間違いない。F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが、その成功要因を4つに分けて分析した(全2回)。

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1)風洞データとの相関関係を改善し、空力的不安定さを解消

 2020年のRB16は開幕当初からマシンリヤの挙動不安定さが顕著で、マックス・フェルスタッペンでさえ突然スピンを喫するほどだった。この年のレッドブル開発陣は、メルセデスが2017年から投入していた細身のノーズと複雑な形状のフロアスカートを採用。前方からの空気をより多く取り入れ、それを効率よくフロア下を通し、ディフューザーへと流すことで、いっそうのダウンフォース増大を狙ったのだった。

 ところがサーキットでの実走では、リヤのグリップが唐突に抜けてしまう事態に見舞われた。主な原因は「シミュレーションで出た数値と、風洞で計測されたデータとの相関関係が間違っていたことだ」と、クリスチャン・ホーナー代表は語っている。

 今季はその誤りを完全に修正できたということなのだろう。開幕直前のバーレーンテストから群を抜く速さを発揮し、初戦は惜しくも敗れたとはいえ、メルセデスをしのぐ戦闘力があることを証明した。

 今季の車体変更には限られたトークンを使用する方式が採用されたが、レッドブルは弱点だったマシン後部の改良に集中、それが見事に功を奏したのだった。

2)リヤサスペンション変更でメカニカルグリップが改善

 レッドブルの車体というと、空力的な部分に目が行きがちだ。しかし「空力とメカニカルグリップ、その両方が協調しながら機能することが、何よりも重要だ。去年のRB16は、そこにも問題があった」と、ホーナー代表は述懐している。

 去年型の改良版であるRB16Bは、リヤサスペンションに大幅な変更を施された。基本的には昨年10月のアイフェルGPで投入された新仕様のリヤサスをさらに発展させたものだ。

 アッパーアームのリヤタイヤ側取り付け位置をさらに高くし、ロワーアームやプルロッドなどサスペンション下部の構成パーツを並行に揃えることで、気流がより整い、より多く流れるようになった。昨年のRB16やメルセデスのW11、W12と写真比較すると、その違いは一目瞭然だ。かなりコンパクトになったホンダの新世代パワーユニット(PU/エンジン)も、これらの空力性能向上に大きく貢献している。

レッドブル(2020年、2021年)、メルセデス(2020年、2021年)のサスペンション比較
レッドブル(2020年、2021年)、メルセデス(2020年、2021年)のサスペンション比較

 それでも実際にサーキットを走行すると、路面の凹凸や縁石に乗り上げた際の挙動変化、あるいは開幕戦で顕著だった突然の風向きの変化などで、マシンバランスは簡単に乱されがちだ。しかしRB16Bの改良版リヤサスは、どんな状況でもしなやかに路面を捉え続ける性能を獲得したようだ。

(第2回に続く)