チームから絶大な信頼を得た山下健太。闘争心剥き出しのブロックとSFでの屈辱【GT500決勝あと読み】

 2021年の開幕戦から超激しいトップ争いが展開されたスーパーGTのGT500クラス。坪井翔(au TOM’S GR Supra)との一騎打ちに競り勝った山下健太(ENEOS X PRIME GR Supra)は、パルクフェルメや表彰台で満面の笑みを見せた。

 前半スティントの大嶋和也からバトンを受け取り、トップでコースに復帰した山下。そのまま後続を振り切れるだろうと思っていたが、いざスティントが始まってみるとペースが上がらず苦戦。背後に迫ってきた坪井の36号車に何度も横に並ばれたが、山下は一歩も譲らなかった。

「どう考えても勝たなきゃいけないシチュエーションだったと思って走っていましたが、メンタル的にはけっこうキツかったです。周回数も全然減らない感じがして『ヤバイな……』と思っていました」

「(どう押さえるかを)考える余裕もないくらい速度差があって、こっちのペースが悪すぎたところがありました。走っていても“ズルズル”過ぎて、ミスをしそうな感じもありました。とにかく“ミスをしないこと”を心がけて走るので精一杯でした」

「抜かれるとしたらGT300に詰まっているときか、バックストレートエンドのときだと思っていたので、そこで抜かれないようにするために、1周1周を組み立てながら走っていたつもりでいました」

 坪井とのバトルをそう振り返った山下。実際には相手の方がペースが良い状況で、押さえ込むのは相当難しかったというが、それでも少々強引になりながらも36号車の先行を許さなかった。そこにはどうしても負けたくないという想いがあった。

2021スーパーGT第1戦岡山 レース後半に繰り広げられたENEOS X PRIME GR Supra山下健太とau TOM’S GR Supra坪井翔のバトル
2021スーパーGT第1戦岡山 レース後半に繰り広げられたENEOS X PRIME GR Supra山下健太とau TOM’S GR Supra坪井翔のバトル

 今季もスーパーGTに加えて全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦する山下だが、こちらに関しては昨年途中から不振が続いており、先日の第1戦富士では最後尾からのスタートとなった。特に2021年はかなり苦戦しており、パドックであってもフラストレーションが溜まっている表情が垣間見えていた。

 その鬱憤を、このスーパーGTでどうしても晴らしたいという強い気持ちが今回の激走につながった。

「スーパーフォーミュラがダメすぎて、本当にイライラしていたんです。それを(スーパーGTで)ぶつけてやるくらいの気持ちでいました」

「(2位で終わったら)単純にカッコ悪いなと思いました。スーパーフォーミュラでは全然ダメなので、ここで見返してやりたかったです。少し飛び込み過ぎたりとか、締めてしまう部分があったので、坪井選手には申し訳なかったなと思いますが……ここは負けたくないという気持ちで走っていました」

 まさに2019年スーパーGT最終戦での関口雄飛とのバトルを彷彿とさせるような、鬼気迫る走りをみせた山下。そのとき以来のパートナーとなる大嶋や、スーパーフォーミュラでも彼と組む阿部和也エンジニアも大きな信頼を寄せていた。

「走りに関しては、もともと才能を持っていましたし、バトルになったときの強さは、2019年から強さはずっと見せてくれていました。だから『山下で抑えられないなら、しょうがないだろう』と思って、信頼して見ていました。それでも、ちょっとドキドキしましたね」と大嶋。

「彼はやっぱりすごく気持ちが強いので。それは2019年の最終戦もそうでしたが、それは今も変わっていないです。最近はちょっとスーパーフォーミュラでストレスが溜まっているので、(スーパーGTの優勝は)良かったなという感じです」と阿部エンジニア。

 先週のスーパーフォーミュラでの不振を吹き飛ばすような快進撃で優勝を飾った山下。昨年はスポット参戦で、特に終盤はパートナーを組んだ平川亮とKeePer TOM’S GR Supraのチャンピオン獲得のために走っていた部分もあったが、今年は自分自身のチャンピオンのために再びGT500に挑戦することとなる。その決意が前面に現れた開幕戦の走りだった。

au TOM’S GR Supraの猛追を退けて勝利を掴んだENEOS X PRIME GR Supra
au TOM’S GR Supraの猛追を退けて勝利を掴んだENEOS X PRIME GR Supra