新フォーマット導入で勢力図変化のFIA-F2。ドライバーには冷静さと図太い神経が必要に

 FIA-F2選手権の開幕戦が行われた週末、2021年シーズンに頭角を現すためには、物事に動じない冷静さが必要であることが実証された。今季F2は、週末に3レースを実施する新フォーマットを採用。その最初のラウンドでは、今季のタイトル候補のひとりに挙げられていた周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)が好結果を残した。

 ユニ・ヴィルトゥオーシとともに参戦3年目を迎えた周は、予選でトップタイムをマークし、フィーチャーレースのポールポジションを獲得。1回目のスプリントレースで7位、2回目のスプリントレースで3位につけただけでなく、フィーチャーレースを見事に制した。

 サクヒールでは非常に重要な要素とされるタイヤマネジメントでライバルとの違いを見せつけ、ミスを犯すことなく、周囲の状況をうまく利用しながら強さを発揮した。

 周の活躍は開幕前から予想されていたが、リアム・ローソン(ハイテックGP)については“想定外”と言える。ハイテックGPのルーキーがシーズン最初のレースで優勝したことで、今年の勢力図は予想とは違ったものとなると思わせた。

 予選8番手につけたローソンは、予選上位10名がリバースグリッドとなるレースで3番グリッドから発進し、すぐにポールシッターのテオ・プルシェール(ARTグランプリ)をかわしてトップに浮上。その後は23周にわたってトップの座を守り切った。

 ローソン以外には、ルーキーがもうひとり、F2デビューの週末に勝利を飾った。2回目のスプリントレースを制したオスカー・ピアストリ(プレマ・レーシング)だ。強豪プレマの新人は、ローソンとフェリペ・ドルゴヴィッチ(ユニ・ヴィルトゥオーシ)の接触によるセーフティカー導入をうまく利用し、新品のタイヤに交換。

 2020年のFIA-F3王者は、昨シーズン見せた素晴らしいパフォーマンスをF2デビューの週末に再現してみせた。予選での走りはまだ完璧とはいえないものの、与えられたチャンスを確実にものにした。

レース2を制したピアストリはオーストラリア出身の19歳。2017年にUAE-F4選手権で四輪デビューを飾ると、これまで英国F4などに参戦。2019年はFIA-F3にプレマから参戦すると、初年度ながらチャンピオンに輝いた
レース2を制したピアストリはオーストラリア出身の19歳。2017年にUAE-F4選手権で四輪デビューを飾ると、これまで英国F4などに参戦。2019年はFIA-F3にプレマから参戦すると、初年度ながらチャンピオンに輝いた

 サクヒールでの3日間で、開幕前から活躍が期待されていたドライバーたちのなかには、好調なスタートを切った者がいる一方、ミスや予想外の出来事によって、波に乗れなかった者もいた。ダニエル・ティクトゥム(カーリン)はフィーチャーレースで2位になったが、最初の2レースでアグレッシブすぎ、表彰台フィニッシュの機会を逸した。

 また、ロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)も、ミスや正確さに欠けたために表彰台に立つことができず、当初の予想にまったく及ばない結果に。クリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)も浮き沈みが激しかった。一発の速さは充分だったが、レースの組み立てがうまくいかなかった。予選でARTのドライバーは、わずか0.003秒差で周に届かなかった。それでも、2レース目で2位表彰台に立つことができたが、最終的には貴重なポイントを稼いで、サクヒールを後にするチャンスを不意にしてしまった。

 2021年のスタートとなるバーレーンでのレースを終えてわかったのは、週末3レースという新たなフォーマットの導入によって、間違いなく、チャンピオンシップを狙うドライバーたちのアプローチは、これまでとは大きく変わるということだった。

 カレンダーに含まれる24レースのうち16レースがリバースグリッドになる。サクヒールのレースを見る限り、毎レース、着実にポイントを稼ぐためには、冷静さと図太い神経が必要とされる。“地に足がついている”こと、つまり成熟していることが求められるということだ。

 つまり、バーレーンで周が見せたように、決定的な瞬間には速さを発揮し、優勝争いに絡めないときには分別のある行動を採るという判断が重要だ。そう考えると、現段階で彼がランキングトップに立っているのは、当然のことだといえる。

開幕戦のフィーチャーレースを制した周は3年目の今季もユニ・ヴィルトゥオーシから参戦。昨季は1勝を含む6度の表彰台を獲得しランキング6位につけた
開幕戦のフィーチャーレースを制した周は3年目の今季もユニ・ヴィルトゥオーシから参戦。昨季は1勝を含む6度の表彰台を獲得しランキング6位につけた
スプリントレース2で粘り強い走りを見せて8位に入賞し、1ポイントを獲得した佐藤万璃音(トライデント)
スプリントレース2で粘り強い走りを見せて8位に入賞し、1ポイントを獲得した佐藤万璃音(トライデント)