16番グリッドから6位の山本尚貴、本番での“エンジン差”を痛感した平川亮。タイトル候補たちの開幕戦

 2020年シーズンの最終戦、富士スピードウェイで激しいチャンピオン争いを繰り広げた山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)と平川亮(carenex TEAM IMPUL)。今年もシーズン前から大きな注目を集めていた2人の2021年の初戦を振り返る。

 まずは開幕前のテストから苦戦が続いていた山本。予選ではQ1ノックアウトとなり、16番手からのスタートとなったが、決勝日になると朝のフリー走行と決勝前の8分間ウォームアップでトップタイムを記録。それでも確実な手応えがない状態で、不安を抱えながらのスタートとなったが、序盤からオーバーテイクシステムも駆使して一気に8番手まで浮上。周りの状況もみて、10周目にピットストップを敢行した。

 しかし、左リアタイヤの交換に手間取ってしまい、大きくタイムロスを喫した山本だが、そこから諦めずに挽回を開始。最終的に6位でチェッカーを受け、5ポイントを獲得した。

「(タイヤ交換が手間取ったことについては)人的なミスではなくて、ちょっと機械的な部分の問題で、そこは見直しが必要なんですが……。逆に言えば、メカニックさんたちは連日とも日付が変わるまで徹底的にクルマを見直して、チェックしてくれていました。そうしてクルマの不具合の対応に時間を割くことになってしまい、週末の流れをうまく組み立てられていませんでした。それもあって、そういうハードウェアの部分まで目が行き届かなかったところもあったのかなと思います。そういう意味では、チームのミスというよりは、自分で招いた部分もありますね」

 前日の予選日も日付が変わるまでマシンのメンテナンスに追われていたメカニック。そこまで負担をかけさせてしまっていたという申し訳なさが、後半スティントでの山本の原動力となった。

「ピットアウトしたときは意外と冷静でした。ここまで調子が悪い時にずっと頑張ってくれていたのがチームのみんなです。そこでチームがミスをしたとしても、自分が言う立場ではないです。だから『ミスをして、何をやってくれているんだ!』という気持ちは全くなくて、むしろクルマの調子が良さそうだったので『頑張っていけるところまでいって、絶対にポイントを獲って帰ってきます』と無線で言って、後半スティントに臨みました」

 終わってみれば、ピットでのタイムロスをカバーする快進撃を見せた山本。チャンピオン争いのことを考えても、最低限の結果を残すことに成功した。

「レースは楽しかったです。トップグループと比較してもラップタイムはけっこう良かったと思いますし、オーバーテイクも何度かできました。16番手スタートだったことを考えると、6位で終えられたというのは、傷口を最小限に抑えられたのかなと思います。また色々と見直して、予選からパフォーマンスを出せる用意していきたいと思います。でも、このチームなら絶対に勝てるなという確信めいたものは得られて、レースを終えられたので良かったです」

「レース後、連日連夜がんばってくれたチームのみんなに感謝の気持ちを伝えましたが、逆にメカニックさんからピットストップのことについて申し訳ないと言われたのと同時に『絶対に頑張って、次はさらに良くします!』と言ってもらえたのは……すごい嬉しかったですね。その言葉が聞けただけでも、本当にこのチームに移籍して良かったなと思いました。このメンバーと勝って、チャンピオンを獲りたいなと改めて強く感じました」

2021スーパーフォーミュラ第1戦富士 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)
2021スーパーフォーミュラ第1戦富士 山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)

 一方、7番グリッドからスタートした平川。スタートでポジションを下げてしまい、いきなり後手を踏む展開となってしまったが、着実に追い上げていき、一時は2番手まで浮上。ピットストップを終えて4番手で復帰し、そのままチェッカーを受けた。

「スタートで失敗をして、10番手くらいまで落ちてしまいましたが、そこから順位を上げられたのは良かったです。その後もペースは良かったですけど、青旗がなかなか振られなくて、周回遅れにずっと引っかかってしまいました。それだけでリズムが狂ってしまった部分もありました」

「最後はP.MU/CERUMO・INGINGの1台(坪井)がコースオフして、あそこでセーフティカーが出たら2番手もいけるかなと思ったんですが……まぁしょうがないですね。(開幕戦の結果に対しては)悔しさはないです。個人的に最善は尽くせたので良かったですし、4位という結果には満足しています」

 開幕前のテストでは好調で、ライバルからもかなり警戒されていた平川だが、いざフタを開けてみるとホンダ/M-TECエンジン勢が上位を占める結果となった。そのなかで孤軍奮闘の走りでトヨタ/TRDエンジン勢の最上位となったのだが、レース後に彼から聞こえてきたのは“苦しい”という言葉だった。

「正直、ホンダとのエンジン差が酷すぎるな……と言わざるを得ない状況です。ストレートでは全然ついていけないですし、抜けないです」

「(感覚としてホンダとの差は)昨年の最終戦と似ています。結局トップを争っている人は昨年と変わっていないし、その差も変わっていません。OTS(オーバーテイクシステム)も使える時間が2倍に増えましたが、そのときのパワーも向こうの方が有利になっている気もします」

「(気温が上がってくれば)多少差は減る方向になると思いますが、そこは実際比べてみないと分からないので、なんとも言えないです」

「正直、苦しいですね。だからと言って、エンジン面で何かができる訳でもないし、できないというルールになっています。そこは仕方がなくて、これで戦うしかないです」

 それぞれが様々なことを感じた富士スピードウェイでの開幕戦だが、すぐに今月24〜25日には第2戦鈴鹿が控えている。昨年王者争いをした2人が、ここからどんなレース運びを見せていのか、次戦以降も目が離せない。

2021スーパーフォーミュラ第1戦富士 平川亮(carenex TEAM IMPUL)
2021スーパーフォーミュラ第1戦富士 平川亮(carenex TEAM IMPUL)
2021スーパーフォーミュラ第1戦富士 平川亮(carenex TEAM IMPUL)
2021スーパーフォーミュラ第1戦富士 平川亮(carenex TEAM IMPUL)