LMHでル・マン復帰予定のフェラーリ、車両開発プログラムにF1のノウハウを利用へ

 フェラーリのスポーツカーレース部門の責任者は、2023年のレースデビューに向けて来春コースデビューが予定されているLMHル・マン・ハイパーカーの開発のために、F1チームの専門知識を活用する「機会」があると考えている。

 イタリアのブランドは最近、半世紀ぶりにプロトタイプレースのトップカテゴリーにワークスとして参加するためのプログラムとして、LMHフォーミュラへのコミットメントを宣言した。

 同社のスポーツカーレース部門“コンペティツィオーネGT”のディレクターであるアントネッロ・コレッタによれば、このプロジェクトにはフェラーリ・グループのさまざまな分野のスタッフが参加する予定であるという。

 現在、フェラーリのGTレーシングプロジェクトに取り組んでいるスタッフはもちろん、グランプリチームやロードカー部門のメンバーも彼らのスキルを提供し、3つのハイブリッド・パワートレイン・プログラム間のリンクが形成されるように設定されている。

 F1が2021年シーズンからバジェット・キャップ(予算上限)を導入したことで、フェラーリはスタッフの一部を新しいフラッグシップ・スポーツカーレースベンチャーに移すことが可能となった。

 しかしコレッタは、今年のF1チームの予算が1億4500万ドル(約155億円)に削減されたことは、LMHプログラムを承認したフェラーリの取締役会レベルの決定には影響しないと強調した。

「私たちがF1と(ノウハウを)共有するのなら、それは我々にとってよいことだ」とコレッタは述べた。「もし、F1部門から何人かのスタッフを迎えることを考えることができるのなら、それもよいだろう」

「しかし、(LMHプログラムを行うという)決定はフェラーリの戦略的な問題であり、新しいF1ルールの結果ではない」

「もちろん、F1部門の専門知識は一貫しており、我々にとってはチャンスとなるだろう。フェラーリはひとつの会社であり、私たちのファクトリーで経験したことをすべて共有するのは普通のことだ」

 彼はフェラーリのLMHチームの構成について「進行中の作業」であり、プロジェクトの技術面をリードする予定の人物を明かす準備はまだできていないと説明した。

 一方、他のスタッフについてはGTプログラムから多くの人材が集められ、他の部門から「良い経験」をもたらす人員との組み合わせでLMHプログラムに取り組むことになるだろうと述べている。

「F1の新しいルールでは、F1部門の何人かの人材を考慮することになるはずだ。だが、いずれにせよ我々の決定はその結果ではない」

 むしろ、プロトタイプレースにふたたび参加するというフェラーリの決定は、ル・マン24時間レースのようなイベントで、ロードカーとのつながりを明確にした車両で勝利を競うことができるという「戦略的」ベースがあって行われた。

 それはイタリアのメーカーがLMDhではなくLMHプラットフォームを選択させた。LMDhプラットフォームを選べば安価でプログラムを実施することができるが、シャシーを指定された4つのLMP2メーカーから選ばなければならず、彼ら独自のクルマを作り上げることの妨げとなる。

「私にとってリンクを持つことは、たとえばエンジンやハイブリッドのパーツを持つことだ」とコレッタは語った。

「これらは私たちが将来のロードカーに装着できるものだ。なぜか? 今日の体験を明日のロードカーに載せることができるからだ」

 LMHを財政的に実行可能にした要因について尋ねられたとき、コレッタはF1予算の上限が設定されたのは「偶然」であり、他の理由が優先された答えた。

「年々(上昇するにしても)、それは多くてもGTEと同じか、それ以上にはならないだろう」と彼は述べた。

「先に進むことを決定するとき、私たちは実際のエコノミクスと将来のエコノミクスを考慮する」

「もっとも重要な違いは、コストがLMP1よりも明らかに低いことだ。いずれにせよ、決定は経済性のためではありません。決定は戦略的なものだ」