まさに十人十色! SFドライバーたちに聞く、テストでの感触と開幕戦富士に向けた展望

 いよいよ今週末に開幕を迎える2021年の全日本スーパーフォーミュラ選手権。これまで鈴鹿サーキットと富士スピードウェイで2度の公式テストが行われたが、そこでの印象はドライバーによって様々だ。

 調子の良さそうな人、苦戦していそうな人、復調方向に向かっている人、いきなり迷路に迷い込んだ人など、聞こえて来た感想はまさに“十人十色”といった感じだが、どのドライバーも「改善しなければいけないことは山ほどある」と考えているようだ。

 鈴鹿と富士のテストを振り返る上で、常に上位にいたのが福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。鈴鹿テストでは体調不良のため、2日目の走行を見合わせたが、残る3日間は順調にテストメニューをこなしていた。「いろいろなテストをやって、細かなセットアップの変化を見ていましたけど、その中でもデータ取りもできましたし、ロングランのテストもできました。その点は良かったのかなと思います」と、結果に対してかなり前向きに捉えていた。

 しかし、富士テストの2日目最後のセッションでは、路面コンディションが変わった影響もあってか、思わぬ苦戦を強いられ、シーズンオフのテストでは珍しく10番手となった。

「(富士テストの)2日目の最後のセッションは路面とか風向きが変わっていて、僕たちとしてはなかなかタイムが伸びないなという状況に陥ってしまっていました。ここから、どう改善して、本番の予選にいけるかを考えているところです」

「あのセッションは、本番の予選と同じような時間帯や気温だったと思います。そこであまり調子が良くないということは、まだまだ課題はあるのかなと思います。開幕戦まで時間がないですけど、とにかく、今よりももっと良い状態でできるかということを考えていきたいですね」

 それまでの調子の良さから一転して、最後の最後で課題が見つかってしまった感のある福住。自分たちが苦戦する状況下でしっかりと速さをみせていた平川亮(carenex TEAM IMPUL)と山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)を警戒する。

「平川選手はクルマを仕上げるのがすごく上手なと思いますし、最後のセッションでは山本尚貴選手も上位に来ていました。やっぱり、さすがだなと思いました。でも、僕も3年目で負けられないという思いもあります。もっと努力して万全の準備をして臨みたいです」

福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

 福住とは対称的に、公式テストの最後のセッションで手応えを掴み始めたのが山下健太(KONDO RACING)だ。

 公式テストでは下位に沈み続け、パドックで会っても「ダメですね……」とかなり元気がなかった山下。昨年の中盤戦からトンネルに入っている状態だったというが、富士テストの2日目に出口が見え始めてきたという。

「昨年のSUGOあたりから、ずっと闇の中にいた感じでした。いろいろと試行錯誤してきたのですが、何をやっても良くならなかったです。今までのデータを全部見直して、フロントとリアの良いところを組み合わせて、現状でできるベストなことをやりました。そうしたら、最後のセッションはトップ10にはいられるようになりました」

「今まではトップ10にいられず、14~15番手の状態が続いていましたが、ちょっと光が見えた感じはありました。最後のセッションだけ、路面コンディションが違った部分もあるので、そこにたまたま合った可能性もあるので何とも言えませんが、久しぶりにトップが届きそうな位置に来たかなと思います」

 しかし、スーパーフォーミュラ5年目を迎え、このカテゴリーで勝つことの難しさを人一倍経験している山下。ここで油断をしたら、また逆戻りになると、気を引き締めていた。

「光が見えたと思って安心していたら、すぐに裏切られてしまうのが、スーパーフォーミュラの難しいところ。そんなに甘くないのは良くわかっています。自分でも断言できるほど散々苦労していると思うし、嫌になるくらい結果が出ていないんですが……富士のテストで、ちょっとだけ向上したのかなと思います」

「でも、トップだった平川選手と比べるとコンマ5秒あるので、まだまだ足りないなと思っています。その点で平川選手はどのセッションでも速いので、あれは何なんだろうという感じです」

山下健太(KONDO RACING)
山下健太(KONDO RACING)
山下健太(KONDO RACING)
山下健太(KONDO RACING)

 そして、福住、山下をはじめ、大半のドライバーが“調子が良さそう”と注目していたのが平川だ。鈴鹿テスト、富士テストともに総合トップタイムをマークし、何人かのドライバーが苦戦したと語っていた富士テストの最終セッションでも、最後にトップタイムを塗り替えてみせた。

 テストを終えた平川に話を聞くと、興味深いことに彼も「課題はまだある」と答えた。

「手応え自体は悪くはないと思うんですけど、他にも大湯選手とか福住選手も速かったですし、他にも好調そうな人はいます。その中でも安定して速かったというのはあるんですけど、実際には(シーズンが)始まってみないとわからないのかなと思います」

「テストでいろいろやってきて、だいぶ仕上がっては来ていると思いますけど、まだ理解できていないところもあります。そこを(データを見直すなど)ちゃんと理解をした上で、開幕戦に臨みたいです」

 今年こそ、悲願のシリーズチャンピオンを狙う平川は、昨年のような開幕ダッシュを決めたいという意気込みはあるものの、レースウイークのコンディションにどこまで合わせ込めるかが重要な要素になると、冷静に現状を分析していた。

「(開幕戦に向けて)モチベーションはいつもより高いです。昨年の富士での最終戦はうまくレースができなかったので、まずはしっかりと予選・決勝をこなして、良い順位でシーズンのスタートを切ることができればと思っています」

「ただ、テストではぶっちぎりで速いという感じではないです。またコンディションの変化に対しても臨機応変に対応できるようにしたいなと思っています。その点で、夏場のもっと気温が上がった状況のことを意識しながらテストをしていました」

「とにかく、視野を広く持って、変なリズムにならないようにしたいです。昨年も序盤戦の調子が良かったので、ああいう感じのシーズンスタートを切りたいですね」

 テストでの結果の良し悪しはあるにせよ、実際のところは、この時点で大きなアドバンテージを持っているチームやドライバーはいないというのが現状だろう。また、最近のスーパーフォーミュラはレベルが上がっている分、ちょっとしたコンディションの変化で勢力図がガラリと変わってしまう。開幕戦のレースウイークという限られた時間の中で、そのときのコンディションに合わせられたチーム・ドライバーが、主導権を握ることになりそうだ。

2021年スーパーフォーミュラ富士公式テスト 平川亮(carenex TEAM IMPUL)
2021年スーパーフォーミュラ富士公式テスト 平川亮(carenex TEAM IMPUL)
平川亮(carenex TEAM IMPUL)
平川亮(carenex TEAM IMPUL)