開発中のBMW M4 GT3、今夏ニュルブルクリンク耐久でレースデビューへ

 BMWが開発中の新型GT3マシン『BMW M4 GT3』が、2022年の正式投入に先立ち、今夏にNLSニュルブルクリンク耐久シリーズでレースデビューを飾る予定であることが分かった。さらにファナテックGTワールド・チャレンジ・ヨーロッパなど他のシリーズにおいて、年内に追加のテスト参戦も計画されている。

 昨年8月に先行披露されたM4 GT3は現在、広範なテストと開発プログラムを継続中であり、3月後半にはスペインのアルメリアにおいて、マーティン・トムチェク、イェンス・クリングマン、ニック・イェロリーの手によって30時間の耐久テストを終えたところだ。

 同じくBMWのファクトリードライバーであるアウグスト・ファーフスとフィリップ・エングもこれまでに多くの走行マイレージを稼いでおり、直列6気筒ツインターボエンジンを搭載するM4 GT3はすでに1万2000kmのテスト完了している。

 4月1日よりBMWの新たなモータースポーツ・ダイレクターとなるマイク・クラックによると、このマシンは開発の“最終段階”にあり、生産は「数カ月のうちに開始される」予定だという。

「エキサイティングで、本当に良いクルマだ」とクラックはSportscar365に対し語っている。

「我々は常に基準となるクルマであるM6 GT3を現場に持ち込んでいるので、誤った比較をしたり、間違った方向に進むことはない」

「まだ解決すべき問題があり、それこそがテストに行く理由だ」

「今回の耐久テストでは、これまでになかった問題が発見された。だが、我々はこれまでに多くのクルマを開発してきた。これは(新車の開発においては)通常のことであり、パニックになどなっていない」

2021年3月、スペインのアルメリアで開発テストを実施するBMW M4 GT3
2021年3月、スペインのアルメリアで開発テストを実施するBMW M4 GT3

 クラックによると、現在の計画ではニュルブルクリンク24時間レースのあと、6月26日に開催されるNLSニュルブルクリンク耐久シリーズ第4戦において、M4 GT3は実戦デビューを飾る予定だという。

 このテスト参戦により、2022年の24時間耐久に向けたタイヤ開発に取り組むための多くの時間がもたらされることになる。マシンはホモロゲーションされていない車両向けの、SPXクラスで参戦することとなりそうだ。

「ニュルブルクリンクは、タイヤレギュレーションのために重要なパートのひとつとなる」とクラックは説明する。

「2022年に競争力のあるタイヤを手にしたいのであれば、2021年のうちにニュルブルクリンクでタイヤテストを行なう必要がある。ノルドシュライフェを1週間、貸し切ることはできないからね」

「(ニュルでは)ラインを外しての走行が非常に多いため、マーブルやデブリに対する強さが必要だ。ニュルブルクリンクでレースをすることよりも優れたテストはない」

「計画では、(ニュルブルクリンク)24時間レースのあとに、そこへ行く」

 さらに年内には、GTWCヨーロッパへの出場を含む、追加のテスト参戦も計画されている。

「2022年のバサースト(12時間)に向けたBoPを手にするためには、SRO管轄のレースに参加する必要がある」とクラックは説明する。

「我々はGTワールドチャレンジのレース、おそらくはニュルブルクリンクへの参戦を目指しているが、まだ分からない」

「以前はバサーストへの参戦は2023年まで待たなければならなかったが、インターコンチネンタルGTチャレンジに参戦したいのなら、バサーストに出場する必要がある。新車をデビューさせる場合、最初からそのポテンシャルを示さなければいけないことになる」

風洞試験を行なうBMW M4 GT3
風洞試験を行なうBMW M4 GT3

 クラックは今年の秋にはカスタマーへのマシン供給を開始する予定であり、ドバイ24時間やデイトナ24時間、バサースト12時間といった年始のレースイベントに参戦するチームに対して優先供給すると明らかにした。

「GT4とGT3における我々の通常のカスタマーたちは、このクルマにとても興味を持っている。その他からの問い合わせも来ている」とクラック。

「M6 GT3よりも多くのマシンをデビューさせるよう挑戦できることはハッピーだ」

「(以前よりも増えた)このクルマへの関心は、新しいルールがあるという事実から来ている思う。M4 GT3は、新たなGT3規則に基づいて作られた最初のクルマのひとつだ。新しいものは、いつだってカスタマーの興味を集めるものだ」

 2021年の終わりにM6 GT3のホモロゲーション・サイクルが終了し、2022年から新たなルールがもたらされるタイミングでM4 GT3がデビューすることについて、「良い計画であった部分もあり、幸運だった部分もある」とクラックは語っている。

「FIAがもし、2023年に新規則を導入すると決定していたら、問題が発生していた」

「この判断は我々の戦略的傑作だった……と嘘をつくこともできるが、実際のところ(新規則導入が2022年からとなったことで)結果的にすべてがうまくいった」

 新しい規則がM4に適しているかどうかと尋ねると、量産車をGT3およびGTE規則に適合させた過去数年間にわたる豊富な経験がBMWにはあることを、クラックは引き合いに出した。

「BMWには、基本的にスーパースポーツカーがない」とクラックは述べている。

「そのため、我々がマシンに対して施さなければいけないモディファイの量はかなりのものになる。これはFIAとの対話によってのみ、可能となる」

「我々の持つベース車両から競争力のあるGTカーを作る方法は少し複雑だ。だが、我々はそれに慣れてもいる。M8は大きなクルマだった。M6もまた巨大なクルマだ」

「そういった観点からすると、(今回のM4 GT4開発も)うまく機能するだろう」

ベンチに載せられたBMW M4 GT3のエンジン
ベンチに載せられたBMW M4 GT3のエンジン