大トルクと大重量との格闘!ジープラングラーと、真逆の軽さが楽しめるフィアットパンダ・クロス、どっちも超絶楽しい!

■持て余す大トルクと重い重量と格闘することになるラングラー

北海道の星野リゾートトマムで行われたFCAの試乗会ではジープレネゲード4×eを中心に試乗を行いましたが、そのほかのモデルにも試乗しています。

ラングラー フロントスタイル
堂々としたスタイルを誇るラングラールビコン

もっともジープらしいジープであるラングラーに試乗しました。

試乗したラングラーは4ドアのアンリミテッドの3.6リットルV6エンジンを搭載するモデルです。装着されていたタイヤは、グッドイヤーのアイスナビSUVです。

エンジンの最高出力は284馬力、最大トルクは400Nmと強力です。グレードはサハラとルビコンで、ルビコンは最終減速比が下げられているので、よりトルクフルなモデルということになります。

ラングラールビコン 走り後ろ
力強く大地を蹴って走るラングラールビコン

レネゲード4×eと比べるとボディも大きく、車重も150kgほど重いラングラー、しかもトルクは絶大なので雪道ではちょっと持て余すほどのポテンシャルです。

もちろん、普通に走っている分に何の問題もありませんし、安心感にあふれた走りができます。それだけに、いい気になって走っているとどんどんスピードが出てしまい、ブレーキで冷や汗をかくことになります。

また、レネゲードが4輪独立懸架なのに対し、ラングラーは前後コイルリジッドなので、雪道のような路面では接地不足を起こす部分もあるでしょう。

ラングラーサファリ走り
クラシカルなラングラーのスタイリングと北海道の風景はじつにマッチする

大トルクで重量級のクロカン4WDは、スタッドレスタイヤでは力量不足の場合もあります。やはり、ラングラー本来のクロスカントリー的な力を引き出すなら、4輪にチェーンを巻いて深い雪をラッセルしたいところ。

高い限界値を使わないのであれば安心感にあふれ、そこを使おうと思うとものすごくマニアック。これぞ、ジープという魅力にあふれた1台がラングラーなのです。

●軽さを生かした走りがおもしろいパンダ

今回の試乗会はジープが主体でしたが、フィアットのパンダ・クロス4×4というコンパクトハッチも用意されていました。

最近は国産車も多くが幅広の3ナンバー車となっていますが、このパンダ・クロス4×4は全長3705mm、全幅1665mmのまさにコンパクトハッチです。搭載されるエンジンは880ccの直列2気筒ターボで、最高出力は85馬力・最大トルクは145Nm。ミッションはクラッチペダル付きの6速MTで、駆動方式は4WDとなります。

パンダ・クロス4×4走り
小さいなボディで軽快に走るパンダ・クロス

正直、かなりマニアックなクルマです。それもラングラーとは真逆にあるような1台がパンダです。

一般的な価値観で言ったら、おそらく日本の軽自動車のほうが優れています。かなりの好き者でないとおすすめできないクルマですが、好き者ならたまらない魅力があります。

2気筒エンジンはそれなりに振動を伴いますが、すんなり回転が上昇するタイプでキビキビ感があります。あっという間に吹け上がるエンジンとは双璧をなす、ゆるーい踏み心地のクラッチペダル、ダルっとしたシフトも、いいじゃないという気分になります。

パンダ・クロスMT
MTならではのクラッチを断続したりというワザが使えるのも楽しみのひとつ

なにしろ、こんなフィールを持つクルマを今の時代に新車で買えるというのはなかなかない機会と言えます。ジープブランドのクルマがガシガシ路面を削りながら走るのに対し、1150kgの車重は圧雪路に対しても優しく接地しながら走ります。

なによりも楽なのがブレーキ。ラングラーのような「止まる? 止まるの? 大丈夫?」というような減速ではなく、スーッと速度を落としてくれるのは非常に安心感のあるフィールでした。

■FCAとPSAの統合は新たな世界の幕開けとなる

ステランティスイメージ
これから先の動向から目が離せないステランティス

日本のFCAは今回試乗した「ジープ」、「フィアット」に加え「アルファロメオ」、「アバルト」の4ブランドを日本で展開。グローバルだと、「ランチャ」や「マセラティ」、「クライスラー」、「ラム」などのブランドも持っています。

そして、すでにPSAと経営統合し、ステランティスという新しい企業としてスタートすることも発表されていいます。PSAは「プジョー」、「シトロエン」、「DS」といった日本でもおなじみのブランドをはじめとして、「オペル」や「ヴォクスホール」というブランドも所有しています。

フィアット500とジープ・レネゲードが兄弟車であるように、今後は多数のブランドのクルマが相互に作用し、進化する電動化に対してもさまざまな技術が絡み合いながら、興味深いクルマが多数登場することになるのは間違いないことでしょう。

(文:諸星 陽一/写真:井上 誠)