「この初代オデッセイは異次元すぎる!」400馬力+5速MT仕様の鬼速ファミリーワゴン

「この初代オデッセイは異次元すぎる!」400馬力+5速MT仕様の鬼速ファミリーワゴン

名将ビシモト謹製ブロックとターボで武装!

家族と出かけられるミニバンに拘り続ける男の愛機

学生時代はGA2シティやEG6シビックでジムカーナに興じていたというオーナー。社会人になって2年目の年に、「海でも山でも普通に乗っていけるクルマが欲しい」と思って新車で購入したのが、98年式の初代オデッセイである。

当初は目的通りノーマルのまま日常的に乗っていたが、走り重視のミニバンチームに参加したことをきっかけに、チューニング熱が上昇。USDMやターボにも興味を持つようになっていったそうだ。

ある時、オデッセイと同じプラットフォームを採用したCB9型アコードワゴンに搭載されたF22A型エンジンは、ヘッドのポート形状が直線的で調子が良いことを知る。そこで、F22A型への載せ替えとターボ化、そして外装の前期化を図りたいと青写真を描いたのだが、いざはじめてみると物事はよりディープな方向へと進んでいったのである。

オーナーがF22Aの可能性を探求する過程で知ったのが、カリフォルニアのトップチューナー”bisimoto”(ビシモトエンジニアリング)だ。ビシモトは以前にF22Aを搭載したドラッグマシンのホンダ・インサイトを製作しており、それはVTECなしのシングルカム、しかも自然吸気でFFという条件ながら、1/8マイルを最速5秒83で走るモンスターマシンだったのである。

そんなビシモトに刺激を受けたオーナーは、国内でのノウハウや実績をあまり見聞きしないスリーブ加工を、ビシモトに依頼できないかと直接コンタクトを取ってみた。それを受けたビシモトもオーナーのプロジェクトに賛同。作業を快諾するとともに、シリンダーブロックに関してはF22B2型が頑丈でベターだと推奨してくれた。

そうしてアメリカから送られてきたスリーブ加工済みのF22B2ブロックと各種部品は、オーナーのメインビルダーであり、よき理解者でもある熊谷市の中村車輌製作所に到着し、ポート加工を施したF22A型シリンダーヘッドと合体。なお、腰下のピストンを始めとするムービングパーツも強化が施された。

 

ビシモトとターボネティクスのダブルネームとなるTNX4564タービンは、中村車輌製作所でワンオフ製作されたEXマニを介してトップマウントされる。

ゴールデンイーグルのインマニやKチューンドのスロットルボディ、ビシモトの1000ccインジェクター、AEMのEPMとD型用ダイレクトイグニッションなどで、燃焼性能の向上と安定化も実現している。

ちなみに、ホンダのマークが付いていないヘッドカバーはいすゞオアシスの純正品で、奇跡的に新品在庫を国内で発見したそう。

重要なエンジンマネージメントは、リンクのG4+モンスーンが担当。

タイヤ・ホイールはボルクレーシングCE28N(FR8.5J+30)とプロクセスR888R(FR235/40-17)の組み合わせ。ビッグキャリパーはアルコン製だ。ホイールスピンを抑えるため、アメリカのESPがリリースしているトラクションバーシステム(フロントサブフレーム)もインストールしてある。車高は日正タイヤの車高調、ハードレースのフロントキャンバーキット、シルクロードのリヤアームなどで適正化。

一方のドライブトレインは、インセイン・シャフトの強化ドライブシャフトと、LSDを備えるCF4型アコードSiRの5速MTを採用。インタークーラーの配管を通すため純正パワステポンプは外されているが、トヨタ純正の電動ポンプを使って油圧パワステを生かしてある。

ステアリングはモモのプロトティーポ、シフトノブはバトルクラフトのハイパーティアドロップを装着。運転席と助手席にはレカロのセミバケットシートが備わり、なんとなく普通のミニバンじゃないことが家族にも伝わる雰囲気が醸し出されている。

ボディカラーのセブリングシルバーが、北米仕様ではいすゞオアシスの前期型にしか設定されていなかったということで、「USDM=オアシス前期型化」を忠実に実行。灯火類やエンブレムの他、サイドモールディングやアンテナなどもオアシス純正品に交換されている。

オーナーは毎週お店に足繁く通い、部品の写真や資料を用意しては情報を共有。理想と熱意を伝え続けた。そうして着想から数年を経て、2018年にシェイクダウンを迎えたオデッセイ。パワーは最初のセッティングで400psは出ていたそう。

「まさかここまで長く乗るとは思っていませんでした」とオーナーは言うが、まさか400psを発揮するターボミニバンに化けるとは、もっと思っていなかったことだろう。コロナ騒ぎが終息したら、家族とオデッセイとの思い出をもっともっと増やしていきたいと笑顔で語ってくれた。

PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI