フェラーリのミュージアムを自宅で鑑賞! ワンオフの166MMからF40まで、ジャンニ・アニェッリ珠玉のコレクションを巡る

フェラーリのミュージアムを自宅で鑑賞! ワンオフの166MMからF40まで、ジャンニ・アニェッリ珠玉のコレクションを巡る

約30分のバーチャルツアーに無料で参加可能

イタリア・モデナにあるフェラーリのミュージアム「ムゼオ エンツォ フェラーリ」は、2021年4月1日までの期間、オンラインで参加できるバーチャルツアーを実施している。1回約30分のツアーを日に2回行っており、専用サイトで予約すれば誰でも無料で参加できる。

ジャンニ・アニェッリの特別展を実施中の「ムゼオ エンツォ フェラーリ」

現在「ムゼオ エンツォ フェラーリ」では、特設展『ジャンニ・アニェッリとフェラーリ。レジェンドならではのエレガンス(Gianni Agnelli and Ferrari. The Elegance of the Legend)』を公開中だ。アヴォカート(弁護士)の愛称で知られ、稀代の伊達者であり、本質を見抜く鋭い美意識をもっていたジョヴァンニ“ジャンニ”アニェッリ。氏の生誕100周年を迎えた2021年3月に、彼が愛したフェラーリの、貴重なワンオフモデルやカスタマイズモデルを展示中している。

ジャンニ・アニェッリの特別展を実施中の「ムゼオ エンツォ フェラーリ」。1948年製166MMのリヤビュー

“アヴォカート”の特別なフェラーリを展示

若い頃から跳ね馬の愛好家であったジャンニ・アニェッリは、カスタマイズモデルのオーダーについても常に一貫して敬意と礼儀を欠かさなかった。エンツォ・フェラーリもまた、アニェッリの影響力や美的感性についてよく理解していた。そんな2人の深い繋がりが、比べようもなく美しい、魅惑的なフェラーリ・コレクションを生み出したのである。そんな特別なフェラーリの運転を、衒い無く、ごく控え目に楽しんだのも、いかにもアニェッリらしい振る舞いであった。

1948年のトリノ・ショーで166MMに魅了されたアニェッリは、その流れるような姿を表現するために新しい言葉をひとつ造りだした。「バルケッタ」──小舟を意味するイタリア語は、以来オープントップのレーシングカーを表す単語として使われ続けている。グリーン&ブルーという2トーンの車体に完全ビスポーク仕様のキャビンを組み合わせた166MMは、アニェッリに納車した最初のワンオフ・フェラーリとして知られている。

ジャンニ・アニェッリの特別展を実施中の「ムゼオ エンツォ フェラーリ」。1952年製212インテル

212インテルと375アメリカに見るアニェッリ流の洗練

1952年製の212インテルにも、アニェッリの個性が存分に反映されている。ブルーのボディにマグノリアホワイトのルーフを組み合わせ、深夜にも思う存分ハイスピード・ドライビングを楽しめるようにと、正面には印象的な2つのヘッドランプを配置。当時としてはまったく新しいスタイリングを見事に作り上げていた。

1955年の375アメリカは、バッティスタ“ピニン”ファリーナとの共同作業で誕生した傑作クーペだ。ひと目で心惹かれたアニェッリは、その素晴らしく魅力的で、永遠に色褪せないクーペのために、洗練を極めたインテリアトリムを特別にあつらえている。センタートンネルに据えられたクロックひとつに至るまで、慎重に美しく仕立てられた。

ジャンニ・アニェッリの特別展を実施中の「ムゼオ エンツォ フェラーリ」。1959年製400スーパーアメリカのサイドビュー

たった2台だけ作られた幻の365P

アニェッリとエンツォ・フェラーリの結びつきは強固なものになっていた。1959年には、400スーパーアメリカのワンオフモデルを製作。ピニンファリーナ製のボディをまとった1台は、フェラーリのグランドツーリングのスタイルに新しい章を加えたといえる。

今回の特設展には、1966年製の365P ベルリネッタ スペチアーレも展示されている。ピニンファリーナがデザインした3シーター(運転席をフロント中央に据え、後方左右にパッセンジャーシートを配置)レイアウトのプロトタイプは、たった2台のみ製作された。アニェッリが手に入れた1台はエレガントなシルバーボディが特徴で、ベルトラインにブラックのアクセントラインが細く引かれている。

ジャンニ・アニェッリの特別展を実施中の「ムゼオ エンツォ フェラーリ」。2000年製360バルケッタ

“アニェッリ特注”のテスタロッサ スパイダー

1984年、フェラーリはテスタロッサをアンベール。当初オープントップ仕様は計画されていなかったのだが、発表の2年後にアニェッリはスパイダー版をオーダーした。ピニンファリーナが手掛けたスパイダーは、新しくデザインされたエンジンリッドをはじめ、素晴らしいディテールが見る者の視線を奪う。ボディはニュルブルクリンクグレーでキャビンはネイビー、そして、ソフトトップはアニェッリを象徴するようにマグノリアホワイトに染められていた。

F40も、アニェッリのコレクションから外すことのできない1台だろう。1989年にオーダーした“アニェッリ仕様”は、通常にないブラックのファブリックシートと、Valeo製のエレクトロニッククラッチを採用していた。

ジャンニ・アニェッリの特別展を実施中の「ムゼオ エンツォ フェラーリ」。2003年のF1用に開発したF2003-GA

モンテゼーモロの結婚を祝う360バルケッタ

2000年、アニェッリはピニンファリーナに、360スパイダーをベースにしたワンオフモデルを注文。世界に1台しかない「360バルケッタ」を仕立てた。シルバーグレーのボディに優雅なブルーのインテリアを組み合わせた特別なバルケッタは、当時フェラーリの会長であったルカ・ディ・モンテゼーモロの結婚のお祝いとして用意されたものだった。

特設展のフィナーレを飾るのは、2003年シーズンのF1マシン、F2003-GA。2003年2月7日にスクーデリア フェラーリがアンベールしたこのマシンは、その年の1月27日にこの世を去っていたジャンニ・アニェッリに捧げられた。長い旅路を共に歩んできた忘れがたきパートナー、そして顧客であった比類なき人物に送る、フェラーリの心からの感謝の表出であったろう。

2003年のF1用に開発したF2003-GA

エンツォ・フェラーリとジャンニ・アニェッリの強固な絆

現在のフェラーリ会長であるジョン・エルカンは次のようにコメントしている。

「ドライブをこよなく愛する人々の感情を揺さぶる、世界で最も美しいクルマたち。そして私の祖父がマラネッロ製のクルマに注いだ限りない尊敬の念と、真の情熱。今回の特設展はその2つが出合う場所です」

フェラーリ副会長のピエロ・フェラーリも、偉大な2人の企業家について述懐する。

「私の父は、アヴォカートのビジネスにおけるパワーと洞察力、そして才能に感銘を受けていました。彼らは直感的に互いを理解し、長年にわたって深く繋がりあっていたのです。その関係は、1969年に交わされた自動車業界における最も強固なパートナーシップという形で昇華しました。その歴史的な日、私は父とともに、アニェッリにお会いすることができました。それ以来、フィアット側にいる彼とともに、我々の会社を継続的な発展が待ち受けていると感じていました」

ムゼオ エンツォ フェラーリのバーチャルツアー予約は、下記の専用サイトから申し込むことができる。