フェラーリSF21、リヤエンド改修とパワーユニットの進歩で競争力向上/F1開幕直前チーム分析(2)

 2016年以来となるシーズン未勝利となった2020年シーズンのフェラーリ。F1参戦1000レース超えとなった節目の年に、誇り高き名門はよもやのコンストラクターズ選手権6位に沈んだ。

 不振はどこか1点に原因があったということではなく、シャシーとパワーユニット(PU/エンジン)の双方に問題を抱えていたことは明らかだ。

 しかし、そのなかでシャルル・ルクレールのドライブは、セバスチャン・ベッテルを圧倒した。レッドブル時代にドライバーズチャンピオン獲得4回、実績と経験に優るチームメイトに対してだ。そのベッテルはチームを去った。

 前年型のシャシーはチームが認めるようにドラッグの大きさもマイナスだったが、ベッテルの低パフォーマンスぶりにもその病巣が垣間見える。それはリヤエンドの不安定さだ。ベッテルはリヤのスタビリティが高いクルマであるほど、本来のドライビングスキルを発揮する。レッドブルでの王座獲得時代は、まさにその権化のような設計コンセプトがシャシーに採用されていた。

 ルクレールはリヤが逃げる前年型をどうにか最小限で留め、ベッテルへの優位を保ったわけだが、それでもこの挙動は好ましいものではない。

 コロナ禍での特例措置として、2021年のシャシーは広範囲で前年型の継承だ。新開発の規模はトークン制によって管理され、著しく限られる。フェラーリはこの限られた2トークンをリヤエンドの改修に集中し、今季型『SF21』を完成させた。チーム代表のマッティア・ビノットは3日間のテストを終え、SF21について「昨年と較べると、多くのエリアで改善ができた」と振り返る。

 フェラーリはこのテスト期間中、公式にドライバーふたりのコメントを外に出すことがなかった。昨年の低迷から、ドライバーたちの言葉尻をとらえた不必要な論争や憶測を避けたいがためだろう。そのため、コクピットのなかで彼らが、クルマの挙動について何をどう感じ取ったは知る由もない。

 ただ、ドライビング映像をみる限り、それほど乗りづらさはなさそうだ。今季型でリヤエンドの挙動に問題を抱えたとされるメルセデスのドライバーたちと較べると、ステアリングの修正もさほどではなかった。

 走行データも、それを裏づける。初日、移籍加入したばかりのカルロス・サインツJr.は午後の走行の担当だったが、57周をこなし、全5種のドライコンパウンドで真ん中にあたるC3タイヤで同日5番手のタイムをマークした。前所属のマクラーレンと較べ、極端に扱いづらいクルマであればもっと苦戦していたはずだ。

2021年F1プレシーズンテスト2日目 コクピットに乗るカルロス・サインツJr.(フェラーリ)
2021年F1プレシーズンテスト2日目 コクピットに乗るカルロス・サインツJr.(フェラーリ)

 パワーユニットにも進歩がみられる。供給4社のなかでもっとも非力が伝えられた前年型からの大改造は必至だが、サインツは最終日の午後を走って軟らかいほうから2番目のC4タイヤで期間中の3番手にまでタイムを伸ばす。同じタイヤでサインツの前にいたのは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンのみとなる。

 さらに言えば、背後にはもっと軟らかいタイヤのC5タイヤ勢たち3台が控える。フェラーリPUチームのなかで新人ふたりのハース勢はともかく、アルファロメオは好タイムを連発。パワーユニットが劣勢であれば、こうはならない。

 信頼性についても初日午前にルクレールに燃料系のトラブルとみられるデータが出て終盤で走行をストップさせるひと幕があったが、午後は問題なくセッションに戻った。

 総合的にみていきなり優勝争いとはいくまいが、中団をリードするまでの位置の返り咲きはあるかもしれない。

2021年F1プレシーズンテスト2日目 シャルル・ルクレール(フェラーリ)
2021年F1プレシーズンテスト2日目 コクピットに乗り込むシャルル・ルクレール(フェラーリ)

2021年F1プレシーズンテスト3日目 カルロス・サインツJr.(フェラーリ)
2021年F1プレシーズンテスト3日目 カルロス・サインツJr.(フェラーリ)