ホンダF1田辺TD会見:開幕に向けた最大の懸念は“信頼性の確保”「見極めたい部分に焦点を絞ってやっていく」

 バーレーン・インターナショナル・サーキットで始まった開幕直前テスト。ギヤボックストラブルなどで満足に周回できず、タイム的にも下位に沈んだメルセデスを尻目に、レッドブル・ホンダはマックス・フェルスタッペンが最速、そしてひとりで139周の最多周回をこなした。

「何でこんなトラブルが? というようなマイナートラブルもなく、順調にデータ収集ができた」と、ホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターは一定の手応えを感じていたようだった。一方でアルファタウリから初めての合同テストに臨んだ角田裕毅は、燃料系トラブルで早めにセッションを切り上げた。しかし田辺TDは、「徐々にペースを上げながら、着実に走れている」と評価していた。

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──テスト初日は全般的に順調だったのでは?

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):ホンダ最後のシーズンということでもあり、チームと一丸となって、悔いのない1年を戦いたいと思っています。テスト初日が終わったわけですが、例年はバルセロナでウィンターテストが行われますよね。あそこだと雨が降ったり、時には大雪に見舞われたりと、天候に振り回される。それに比べてバーレーンは、基本的に雨の心配はほとんどない。3日間フルに走るのを目的に来たわけですが、予想以上に風が強く、雨の代わりに砂が降ってました。そのため午後は特に、路面コンディションは決して良くなかった。雨よりははるかにマシでしたが、気温は34度を超え、ドライバーにとってはなかなか厳しい1日だったと思います。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト1日目 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

──角田選手は、トラブルに見舞われました。

田辺TD:燃料系に不具合が出て、早めに走行を切り上げないといけなかった。それを除けばトラブルフリーで、空力の確認や車体のセットアップ、パワーユニット(PU)側は各部の作動確認やベースデータ取りが順調にできましたね。

──フェルスタッペンからはホンダの新しいPUについて、どんな言及がありましたか。

田辺TD:特に問題ないとのことでした。

──レッドブルは最多周回でもあり、初日としては順調だったということですか。

田辺TD:車体、PUともに予定通りのメニューをこなせました。もちろん欲を言えばいくらでもありますが、基本的にノートラブルでした。

──今年は3日間しかテストがないわけですが、開幕に向けて一番心配しているのはどんなところでしょう。

田辺TD:テストが例年の半分に削られたことに加えて、(開催地が)バルセロナからバーレーンに移った。一番の心配はやはり信頼性の確保ですね。そのためにはできるだけの走り込みが最良の方法なわけです。ただ与えられた3日間という条件は全チーム同じですし、3日間を有効に使って、トラブルなく走り切って、知恵を絞って最適化をしていくしかないです。

 ただし中身はそうやって濃くできるにしても、3日間という期限は伸ばせない。レースに向けて6000km走れる信頼性を確認したいと思っても、1日2000kmは物理的に走れないわけです。見極めたい部分に焦点を絞って、やっていくしかありません。

──バーレーンというテスト場所のメリット、デメリットは?

田辺TD:今日は34度という気温でしたが、年間を通してここまで暑くなるレース週末は滅多にない。ハンガリーは同じくらい暑いですが、湿度はずっと高い。そうすると冷却的な条件も変わってきます。そんなふうにシーズン全体を見据えた時には、ちょっと実態に合わない。ただ一番高い温度条件で、冷却性能の素性を見られたのは大きいメリットですね。毎年バルセロナでは、寒い寒いと言いながらやっていました。そこでは暑い条件でどうなのか、なかなか確信が持てないわけです。もちろんシミュレーションや過去のデータで、精度良く推量はできる。とはいえ今回のように実際に確認できたのは、大きな成果でした。

 自由にテストできた時代には、わざわざ暑い場所まで行って走り込みをしました。それができない今は、効率よくやるしかない。その意味でも、ちょっとトラブルは出ましたが、いい形でテスト初日を終えられました。2チームのメリットも活かせましたね。片方でトラブルが出ても、もう1チームの走り込みでデータが取れますから。

ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト1日目 ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)

■「角田は着実に走れている。学習能力が非常に高く、心配はしていない」

──新PUになるとやはり耐久信頼性が大きな課題かと思いますが、その部分の感触は?

田辺TD:まだ139周と111周というレベルですから、耐久信頼性というレベルでは何ともいえない。まだほんの一歩を踏み出したばかりですからね。ただマイナートラブル、何でこんなトラブルが出るの? みたいなものはありませんでした。その意味では、いい形で初日を走り切れました。

 先ほど言ったように3日間で6000kmは走りきれないとはいえ、残り2日間でできるだけ距離を稼いで、その後はベンチでテストを重ねて、年間の耐久性の見通しを立てていければと思っています。

──燃料系のトラブルは、車体側の問題だったと思いますが、チームによれば少し前から出ていて、だましだまし走っていたような印象でした。そのまま続けるとPU側に問題が出る恐れがあって、走行を止めたのですか?

田辺TD:燃料を使うのはエンジンですからね。途切れてしまうような症状のまま走り続けても、よくない状況だった。燃料系というのは非常に複雑なシステムで、もし内部システムがトラブルの原因だったりすると、ガスバッグ(燃料タンク)交換も視野に入れて、ものすごく解決に時間がかかる。それできちんと解析して、明日以降に備えることにしたのだと思います。

──角田選手のテスト初日を、どんなふうに見ましたか。

田辺TD:徐々にペースを上げながら、着実に走れていると思いました。テスト中はモニターで実際の走りを見ているわけではないのですが、ラップタイムの動きとかを見ているといい感じかなと。ヒヤッとするような場面も、なかったんじゃないかと思います。非常にポジティブな初日だったかと。

──ルーキーで準備不足も当然あると思いますが、そういう姿勢を聞くと期待が膨らみます。

田辺TD:もちろん100%の準備はむずかしいと思いますが、アルファタウリが古いクルマまで持ち出して、新人ドライバーのためだけにあれだけの走り込みをしてくれた。今季F1デビューするルーキーのなかでは、かなりいい体制でシーズンに臨めると思います。

 一方で角田くん自身の能力、マインド面も含めてですね、それが整っているからこそ、F3、F2から順調にF1に上がってこれた。その意味で期待はしてますが、過度の期待はせずに、アルファタウリの車体とPU性能を100%発揮してくれることを望んでいます。F2ではタイヤの使い方が非常に旨かったと聞いてますが、F1の異なるコンディション、彼にとっての未知のサーキットでどこまでできるか。そこもどんどん学んで、吸収して行ってほしいですね。学習能力は非常に高いですから、心配はしていません。

田辺豊治(ホンダF1テクニカルディレクター)
2021年F1プレシーズンテスト1日目 田辺豊治(ホンダF1テクニカルディレクター)
角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト1日目 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト1日目 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト1日目 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト1日目 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2021年F1プレシーズンテスト1日目 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

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