走行性能曲線とは?各ギヤにおける車速やエンジン回転数などを表した図【バイク用語辞典:走行性能編】

■後輪駆動力や登坂力、最高速、余裕駆動力などの基本的な動力性能を表示

●搭載エンジンのトルクと動力伝達機構の特性、車両諸元から走行性能曲線図を作成

走行性能曲線図は、横軸車速でバイクが走行するときに受ける走行抵抗、各変速ギヤでの最大駆動力の大きさの車速による変化とその時のエンジン回転数を示します。この性能曲線図の内容を理解すれば、そのバイクの動力性能を読み取ることができます。

動力性能に関する多くの情報を表示している走行性能曲線図について、解説します。

●後輪駆動力を読み取る

走行性能曲線図には、各ギヤ段の後輪の最大駆動力が示されています。駆動力は、後輪のタイヤを回転させるトルクなので、以下のようにエンジントルクから求めることができます。

・後輪駆動力 = エンジントルク × 変速機ギヤ比 × 1次減速比 × 2次減速比 × タイヤ半径

各ギヤ段のエンジン回転、駆動力
各ギヤ段のエンジン回転、駆動力

バイクを動かすためには、エンジントルクそのままでは力不足なので、変速機と減速機を使ってエンジンの回転数を下げてトルクを上げます。エンジントルクは、エンジン出力が同じならば回転数を半分に減速すれば2倍になります。例えば、発進や登坂時には、変速機(トランスミッション)の1速ギヤを使って、大きな駆動力を発生させます。

・エンジン出力 = エンジントルク × エンジン回転数

以上のことから、エンジントルクと変速機のギヤ比がわかれば各ギヤ段の駆動力が求まり、ギヤ段ごとに駆動力が最大となるときの車速とエンジン回転数を図から読み取ることができます。

●登坂力を読み取る

図中に斜めに右肩上がりの湾曲する0%、10%、20%、30%、40%の走行抵抗を表します。走行抵抗は、坂道の勾配を示し、10%とは100m水平に進んだときに垂直方向に10m高くなる坂道の勾配です。このラインに対して最大駆動力ラインが上にあれば、そのギヤでその勾配の坂道を上れることを示します。

各ギヤ段の登坂力
各ギヤ段の登坂力

逆に最大駆動力が走行抵抗ラインの下にある場合は、そのギヤで坂道を登ることができません。この場合は、シフトダウンして変速機のギヤ段を1段下げれば駆動力が高くなるので登ることができます。またある車速で走行中にシフトダウンすると、駆動力が上がるので追い越し加速などで力強い走りができます。

カタログなどで表示される最大登坂力は、坂道発進で登れる勾配角度を、車両諸元から求めています。

最高速と余裕駆動力
最高速と余裕駆動力

●最高速と余裕駆動力を読み取る

平坦路の走行抵抗曲線とトップギヤの駆動力曲線との交点が、そのバイクで出せる最高速になります。

また各ギヤ段の最大駆動力から平坦路を一定速度で走行するときの走行抵抗を引いた残りの駆動力を、余裕駆動力と呼びます。低速ギヤほど余裕駆動力が大きく、高速ギヤでは車速の上昇とともに余裕駆動力は小さくなり、最高速では余裕駆動力はゼロとなります。

余裕駆動力が大きいほど、加速力や登坂力が強くなってアクセルの開きに敏感になります。


最近バイクのカタログには、エンジン性能曲線の表示はあっても走行性能曲線は表示されなくなりました。エンジン性能は直感的に理解しやすいですが、走行性能は変速機や車両諸元など専門的な知識が必要だからでしょうか。

走行性能曲線を理解すると、そのバイクのもつ動力性能に関するさまざまな情報が入手できます。

(Mr.ソラン)