タイトル候補のカミッシュがチーム・ダイナミクスを電撃離脱。シェドンが古巣復帰へ/BTCC

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権で地元ホンダのファクトリー支援チームとして活躍を演じるTeam Dynamics(チーム・ダイナミクス)は、2018年の加入以来8勝を記録し、毎年のようにタイトル戦線に加わって来たダン・カミッシュのチーム離脱を発表。同時に、元エースとしてシリーズ3冠を誇るゴードン・シェドンの復帰をアナウンスした。

 そのシェドンがWTCR世界ツーリングカー・カップ転向を決意した2018年からNGTC規定ホンダ・シビック・タイプRのシートを獲得し、3年間で30回以上の表彰台を獲得して来たカミッシュだが、2年連続の最終戦決着でLaser Tools Racing(レーザー・ツールズ・レーシング)の新王者アシュリー・サットンや、チームBMWの宿敵コリン・ターキントンらに敗北。ランキング3位となった2020年を最後に、チームからの電撃離脱が決まった。

 そのカミッシュ自身、2020年は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で例年より3戦も少ないシーズンだったにも関わらず、ドライバーズ選手権で334点とキャリアハイを記録するも、在籍4年目“3度目の正直”に挑戦することなくトップチームのシートを失う結果となった。

「僕にとっては本当に残念な決定だが、3年前にチャンピオンシップに参加することを許可し、僕の可能性を信じてくれたダイナミクスに感謝しなければならない」と、いの一番にチームへの謝意を述べたカミッシュ。

「彼らがいなかったら、BTCCでこれほどの“大ブレイク”を果たして、自分がやったことを実現することは不可能だっただろう」と続けるカミッシュ。

「僕らは今回“例外的な条件”で別れることになった。そして僕は今後も彼らと連絡を取り合うつもりだ。この先の未来に何がもたらされるかは、決して誰にもわからないんだからね」

 ダイナミクスのチームマネージャーを務めるジェームス・ロジャースも、FK8型シビックにカミッシュを乗せ続けることができない現実に「心から失望している」と、彼らの離別が不可抗力な要素によるものだと認めた。

「ダンは明らかに、我々ダイナミクス・ファミリーの一員であり、今後もそうであり続けるだろう」と語ったロジャース。

「我々は新たな2021年シーズンに向け、ダンをチームの一員としてキープするために懸命に努力してきたが、残念なことに別れを告げなければならなくなった。彼の成功と、近い将来の再会を心から信じている」

 カミッシュ離脱をアナウンスした数日後の3月5日金曜に、チームは2021年を戦う最初のドライバーを発表し、2017年以来の復帰となる“Flash(フラッシュ/シェドンの愛称)”ことゴードン・シェドンとの契約合意を明らかにした。

2018年からNGTC規定ホンダ・シビック・タイプRのシートを獲得し、3年間で30回以上の表彰台を獲得してきたダン・カミッシュ
2019年はタイトルまで残り2周のところでブレーキトラブル。2020年も王座へあと一歩と迫りながら、ランキング3位となっていた
2021年のBTCCグリッド上の空きシートはほぼ埋まりつつあり、カミッシュの今後の動向にも注目が集まる

■古巣復帰のシェドン「シビックのドライバーズシートに戻るのが待ちきれない」

 マット・ニールとの名コンビで2017年までチームの顔としてBTCCを戦い、2012年、2015年、2016年と3度のドライバーズチャンピオンに輝くシェドンは、2018年よりアウディスポーツに加入しWTCRへと転向。TCR規定のアウディRS3 LMSをドライブしてきた。

 しかし、2020年はそのアウディがWTCRのプログラムを打ち切ったことで本格的な活動の場を失っていたシェドンは、ニールのサイクリング事故による離脱の穴を埋める形で、2020年序盤のテストで久々にNGTCシビックのステアリングを握っていた。

「そのFK8シビックのドライバーズシートに戻るのが待ちきれない気分だよ!」と、古巣復帰の喜びを語ったシェドン。

「WTCR転向後も僕はずっとチームと連絡を取り合っており、マットが怪我をした2020年の初めにテストの打診を受けた際には、すぐにマシンに飛び乗ったよ。それは素晴らしい気分だった。FK8型の新しいクルマをドライブしたのは初めてだったけど、ピットレーンがオープンになった瞬間すぐに体に馴染んだよ」と続けたシェドン。

「僕は昨季のチャンピオンシップにも目を光らせていたし、非常に競争が激しいのは理解している。でも僕の戦いへの決意はかつてないほど高く、彼らとの勝負に全力を尽くすつもりだ」

 現在42歳のシェドンはBTCC通算48勝を挙げており、これは今でも歴代トップ5にランクインする戦績でもある。僚友として長年その活躍を見て来たニールも、元チームメイトの復帰を歓迎するコメントを残した。

「もちろん、フラッシュを僕らのクルマに戻すのは素晴らしい決断だ! 彼はチームを知っており、僕らの働き方も知っているんだからね」と続けた、2005年、2006年、そして2011年BTCC王者でもあるニール。

「彼は昨季のテストでペースを失っていないことを証明済みだし、この復帰にもノープレッシャーだろう。フラッシュにはいつだって、素晴らしい戦績を期待してしまうのは当然だよね」

 シェドン起用をアナウンスしたチーム・ダイナミクスだが、もう1台のドライバーズシートに54歳のニールが座り“黄金タッグ復活”となるかは明らかにしておらず、2020年シーズン終盤には「今後のキャリアについて再考したい」と、引退も匂わせていたニールが続投となるかは不透明のまま。パドックでは2021年に向け『チーム・ダイナミクスはまったく新しいラインアップを採用する』との見方が広まっている。

2018年からWTCRに転向し、アウディRS3 LMSで戦って来た“Flash”ことゴードン・シェドン
FK2型で戦った2017年以来のBTCC復帰となるシェドンだが、FK8型は2020年序盤にテストを経験している
黄金ペアとしてチーム・ダイナミクスを牽引したマット・ニール(左)とのコンビ復活か、それとも……