名門ハルク・プロのエースとなった名越哲平「水野涼に続いて世界に行きたい」/全日本ロード

 2015年に18歳で全日本ロードレース選手権デビューした名越哲平。2019年には、最後のJ-GP2チャンピオンとなり、ロードレース世界選手権Moto2クラスやJSB1000クラスに代役参戦したこともあった。5年の月日が流れ、レーシングライダーとして成長した名越は、トップチームであるMuSASHi RT HARC-PRO. Hondaのエースライダーとして2021年シーズンの全日本JSB1000クラスを戦うことになった。

 名越は、ポケバイからミニバイクを家族チームで姉と兄と共に走り、ロードレースに上がったときに中野真矢氏率いる56RacingからCBRドリームカップを戦った。翌年は、アジアロードレース選手権(ARRC)で開催されていたアジアドリームカップに参戦しランキング3位となった。この年から始まったハルク・プロが運営しているムサシスカラシップの第1期生として参加し、坂田和人氏に指導を受けた。

モトクロストレーニングを行う名越哲平
モトクロストレーニングを行う名越哲平

 この縁もあり、2014年シーズンが終わるころ、中野氏とハルク・プロを訪れた名越は、翌年よりクラブ員としてハルク・プロに入ることになる。

「ハルク・プロには2015年にクラブ員として入ってST600を初めて乗らせてもらいました。そのときは、JSB1000クラスに(高橋)巧さんがエースで、浦本修充さんもいて、J-GP3クラスに水野涼、クラブ員も3人いて、けっこう大所帯でした」

「ロードレースという存在を知り、筑波サーキットによく行くようになったころにハルク・プロのエースライダーとして走っている巧さんを見ていたので、テレビで見ている人のような、雲の上の存在でした。一緒に行動するようになり、JSB1000クラスで勝つことがいかにすごいことなんだと肌で感じるようになって行きました」

「その後、巧さんがHRCに行き、涼がJSB1000に乗るようになってからは、年齢が近いこともあっていろいろ話を聞くことも多かったので、よりJSB1000クラスの難しさが身近なものになっていました」

モトクロストレーニングを行う名越哲平
モトクロストレーニングを行う名越哲平

 2019年にJ-GP2クラスのチャンピオンを獲った名越は、JSB1000に上がりたいとチームに直訴したが、その願いは叶えられなかった。

「CBRが新型になったり、チームの兼ね合いがあったりして昨年はST1000クラスになりましたが、1年しっかり1000ccのスプリントレースをこなして経験を積むことができました。やっとJSB1000クラスに乗ることができます」

 2019年にJ-GP2クラスチャンピオンを獲得し、2020年はST1000クラスでチャンピオンには届かなかったものの4戦中2勝を挙げてランキング2位。高橋裕紀に競り勝ったレースもあり、十分評価できる内容だった。

「今年は、巧さん、涼の後を継いでJSB1000クラスのシートにすわらせてもらうことになりました。チームの雰囲気を作るのもエースライダーの役割ですし、新しくチームに入ってくるライダーの目標となる存在にならなくてはいけないと思っています。鈴鹿8耐に向けてのマシン作りも、エースライダーの手腕にかかって来ます」

「もちろんプレッシャーはありますよ。わがまま言うとエースライダーがいて、セカンドライダーで走れれば気楽なんですけどね。年齢的にも、いま23歳で、今年24歳になりますから“若手”とは呼ばれなくなってくるので、今回エースライダーとして走るチャンスをいただけたので、しっかり結果を残して行きたいですね」

 ホンダCBR1000RR-Rは、昨年フルモデルチェンジし、名越もJSB1000仕様のテストも行っていたが、水野とはライディングスタイルが違うため、データの共有ができなかったと言う。

「僕がセットしたマシンだと涼はうまく乗ることができなかったんです。J-GP2のときも、そんな傾向があったので想定内でしたし、チーフメカの堀尾さんが、その辺を理解してくれているので安心しています」

2021年は全日本ロードJSB1000クラスにフル参戦する名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)
2021年は全日本ロードJSB1000クラスにフル参戦する名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)

 名越にとって、当面の目標は、中須賀克行と清成龍一という速さも実績も併せ持つ強力なふたりになるだろう。

「いきなり勝負できるとは思っていませんが、開幕戦からしっかり表彰台に上がってレースを重ねる毎にトップ争いに絡んで行けるようにしたいですね。ホンダが新たに開始した“Honda Superbike Challenge Program”で涼に続いて海外に行けるように国内で精一杯アピールして行きたいと思っています」

 普段はおっとりと落ち着いた口調で話す名越だが、走り出せば人が変わったように激しいライディングを見せる。ここまで着実にキャリアを積み重ねてきた成果をエースライダーとして発揮できるか注目したいところだ。