完成まで2年以上を費やしたワンオフモデル「パガーニ ゾンダ キリュウ」とは? 【Playback GENROQ 2016】

完成まで2年以上を費やしたワンオフモデル「パガーニ ゾンダ キリュウ」とは? 【Playback GENROQ 2016】

Pagani Zonda Kiryu

パガーニ ゾンダ キリュウ

魅惑のワンオフ“ゾンダ”

唯一無二の存在として知られる究極系スーパースポーツ、パガーニ。すべてがハンドメイドによって製作されるだけに、ワンオフはほぼ常識だ。その中でもこの1台は特別。ゾンダをベースにした孤高の1台を紹介する。

パガーニ ゾンダ キリュウのリヤビュー

「オーナーの息子の名前を与えて誂えられた世界で1台のワンオフ」

また1台、特別なパガーニが誕生した。その名も「ゾンダ“希竜”」。オーナーの息子の名前をそのままサブネームとして誂えられた、世界で1台のワン・オブ・ワンのスペシャルなパガーニである。

ベースとなったのは、ゾンダF ロードスター。それ自体、非常にスペシャルな存在であるわけだが、さらに特別な仕様に仕立てられている。

最大の特徴は、ルイス・ハミルトンの所有で一躍有名になった限定車760シリーズと同じスペックのパワートレインを積むこと。

ノーマルのゾンダF ロードスターのパワースペックが650psだったから一挙に110psアップのエンジンを手に入れたというわけだ。併せてトランスミッションもコンベンショナルな3ペダルMTから2ペダル6速セミMTとした。

パガーニ ゾンダ キリュウのエンジン

「1台として同じ仕様のスペシャル・ゾンダは存在しない」

ゾンダシリーズでセミMTを採用したのはゾンダ チンクエが最初だ。外観もスペシャルで、基本、760系のワンオフモデルたちと同じ手法でデザインされているが、その大本になったのも、ゾンダ チンクエである。ゾンダ チンクエとは、ゾンダRの過激なスタイリングに惚れ込んだ香港のパガーニディーラーがクーペ、ロードスターそれぞれ5台限定で造らせたゾンダで、随所にRを意識したエアロパーツが加えられ、元のゾンダFが“おちついて”みえるほど、アグレッシブなスタイルへと変貌を遂げていた。

一連のワンオフ・ゾンダや760シリーズも、チンクエの文法に則ってデザインされているが、そこはカスタムオーダーに強いパガーニのこと、それぞれにオーナーの希望が散りばめられており、2台として同じ仕様のスペシャル・ゾンダは存在しない。すべてがワン・オブ・ワンといっても過言ではないのだ。

このキリュウは、ロードスターベースであるということだけでも貴重で、カーボンパネルとクロス(!)で構成されるトップを開けると、エアインテークとシャークフィンが屹立してみえ、独特の景色をみせる。シャークフィンは、760系になってから考案されたデザインだ。ちなみに760を名乗るロードスターは世界に1台で、キリュウは760こそ名乗らないけれども、同等のスペックを持つロードスターだから貴重であることに違いはない。

パガーニ ゾンダ キリュウのインテリア

「メーターはマックス400km/h表示。見ているだけで心が踊る」

ブルーカーボンのペイントもスペシャルで、単にカーボン地が透けてみえる通常のカラーカーボンペインとではなく、見る角度によってカーボン地が消えたり現れたりする特殊な塗装である。パガーニで今、大人気のペイントオプションだ。

その他、金属パーツはオーナーの希望に従って、ほとんどすべてブルーアルマイトとされた。インテリアのコーディネーションもそれに準じたものとなっている。ドアを開けると、そこにはウアイラと同じチタンカーボンのボディ骨格が見える。メーターはマックス400km/h表示。見ているだけで心が踊る。

オーナーがこの個体を正規輸入元であるビンゴスポーツを通じてパガーニ本社へ発注したのは、2013年のこと。それから完成までに約2年半を要した。もっともワンオフに限らず、最近のウアイラでもオーダーを凝りに凝るユーザーが増えており、注文から納車までの期間は、伸びる傾向にあるらしい。

パガーニ ゾンダ キリュウとパガーニのラインナップ

「日本にはスペシャルなゾンダがキリュウを含め3台も上陸済み!」

ご存知のように、パガーニ社の最新モデルはウアイラで、もうそろそろ予定の100台の生産を終える。ウアイラのバリエーションモデルが3月のジュネーブ・ショーにて発表されるわけだが、今どうしてゾンダベースのスペシャルモデルがこうして日本上陸したのだろうか。

実はパガーニでは、ゾンダFをベースとしたエボリューションプランを、特別なカスタマーに限って受け付けている。たとえば、貴方がもう既にパガーニからゾンダFを過去に買っていて、ウアイラを買い、ウアイラ後継も既にデポジットをうっている、という熱烈なパガーニファナティックであれば、手持ちのゾンダFを本社に持ち込んで、スペシャルなワン・オブ・ワンを発注することが可能ということである。

こうしたパガーニ本社によるスペシャルプランを聞きつけた人たちが一斉に動いたからだろうか、スーパーカーマーケットにおけるゾンダF、同ロードスターの価値は今、うなぎ上りになっているらしい。何しろ、両ボディタイプ併せても生産台数は50台。その希少性は元々高く、アップグレードプランの存在がその価値をさらに押し上げたと言っていい。現在、ゾンダFの取引相場は軽く2億円を超えている。

日本には既にそんなスペシャルなゾンダがキリュウを含め3台も上陸済みというから、これまた驚くほかない。他の2台にもぜひ本誌にご登場いただきたいものだ。

REPORT/西川 淳(Jun NISHIKAWA)
PHOTO/森山俊一(Toshikazu MORIYAMA)

※GENROQ 20160年 3月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。