地震発生でクルマが被害を受けた!その時使えるクルマの補償や手続きは?

■地震でクルマが傷ついた、モノが落ちてきて走行不能に! 津波で流された時には? 地震時のクルマの補償を解説

先日2021年2月13日の夜、宮城・福島では震度6強を観測する地震がありました。地震が発生し、クルマが被害にあったら、その補償はどうなるのか、元自動車ディーラー営業マンで宮城県に住む筆者が、地震とクルマの被害について考えていきます。

●自動車保険は地震被害に対応できるのか

自動車保険証券
地震・津波は自動車保険で対応できない災害です。一部特約もありますが、十分な損害の補填にはならないのが現状です。

2021年2月現在、日本国内で販売している自動車保険では、地震や津波によるクルマの被害を十分に補償してくれる保険サービスはありません。

自動車保険で車両保険を付帯していても、地震や津波、噴火による車両の損害は、保険金を支払わない事由にあたり、クルマが受けた損害を完全補填する方法はないのが現状です。すなわち、地震、津波、噴火によってクルマが傷ついたり、全損しても補償されないことになります。

地震、津波、噴火による災害を想定して、保険会社が特約を用意している場合もあります。「地震・噴火・津波危険車両全損一時金特約(保険会社により名称は異なる)」です。

これは、地震、噴火またはこれらによる津波によって、契約中のクルマが全損となった場合に、最大50万円を一時金として支払うものです。一般的に車両保険を一般条件で契約している際に追加できる特約となり、車両保険金額が50万円未満の場合には、設定された車両保険金額を上限に、一時金の支払いが行われるものとなります。

エンジンルーム
ピラーが複数本破損する、エンジンが壊れるなど、全損と判断される損害には基準が設けられています。

この特約が適用されるのは、あくまでクルマが「全損」と判断された場合です。各保険会社ごとに全損の基準は異なりますので、特約締結時に確認しておきましょう。

あくまでこの特約の目的は、記名被保険者の移動手段の確保等、臨時に必要とする費用を、保険会社が一部負担するという意味合いになるので、クルマを直す、もしくは新しいクルマに取り換えることを目的にしたものではありません。全損扱いにならない、軽微な修理が必要な場合など一時金の支払いができないケースもあります。加入時には確認と注意が必要です。

この地震、噴火、津波の全損一時金特約は、全ての保険会社で取り扱っているものではありません。特約が無く、地震、噴火、津波に対して補償は何もできないとする保険会社も多いので、この補償を必要とするのか否かは、保険会社選びに大きく影響する部分でしょう。

●クルマが被害を受け自走不能に、その時はどうする?

地震、噴火、津波によりクルマが被害を受け、自走不能となった際はどうすればいいのでしょうか。仮に全損している状態では、移動させることで様々な危険が考えられます。基本的には自分で動かそうとはせずに、プロの対応を待ちましょう。JAFなどへ連絡し、対応を待ちます。

特に落下物によってルーフやピラーが変形している状態、津波によって流された、あるいは冠水した状態のクルマでは落下物が動いて怪我をする恐れや、感電、火災の発生など、二次的な被害拡大が考えられます。

カーバッテリー
水没車への対応として、クルマの通電を止めることが考えられますが、無理には作業せず、専門家の’処置を待つことも大切です。

津波によって冠水したクルマは、海水に含まれる塩分がクルマに様々な影響を与えます。一つだけ出来ることがあるとすれば、クルマの電気の流れを止めることです。ショートによる発火を防ぐため、バッテリーのマイナス端子を外し、絶縁処理をしておく程度になります。

むやみやたらにエンジンをかけたり、ライトを点灯させるなどの行為は大変危険です。また、電気自動車やハイブリッドカーなどでは、高電圧のバッテリーやケーブルを使っています。水没した場合には、安全装置が働くようになっているクルマも多くありますが、万が一感電すると重傷、あるいは命を落とすケースも考えられるので、こういったクルマには近づかない、自分たちで処置をしようとしないことも判断としては必要になるでしょう。

まもなく東日本大震災から10年です。当時、宮城県の沿岸部では多くのクルマが津波に流され、甚大な被害を受けました。

クルマの補償に関しては、地震に対する備えが十分できる状態ではありませんが、もしもの時に何をするべきか、どう対処するべきかは、災害が発生したときに役に立ちます。生活に密接にかかわるクルマだからこそ、もしもの時にどうするか、防災知識の一つとして、覚えておいてください。

(文・写真:佐々木 亘)