スーパー耐久シリーズチャンピオンたちが語る、2020年にかけた思いと2021年シーズンに向けた展望

 2021年1月23日に予定していた2020年シーズンの最終戦である第6戦『SUZUKA S耐』大会が新型コロナウイルスの感染拡大に伴い開催断念となり、第5戦オートポリスまでの成績でシリーズチャンピオンが決定した2020年シーズンのスーパー耐久シリーズ。

 異例の形でシーズン閉幕を迎え、2021年シーズンの開幕も迫るなか、ST-X、ST-3、ST-5クラスでシリーズタイトルを獲得したエントラントのチームマネージャーの3人に、2020年シーズンのシリーズタイトルを獲得しての思い、そして2021年シーズンに向けた展望を聞いた。

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■山脇大輔(ST-Xクラスシリーズチャンピオン/Mercedes-AMG Team HIRIX Racing)

「最終戦の鈴鹿を戦うことができなかったのは残念だったなと感じています。ただ、シリーズタイトルを獲れたことはすごくよかったなと思います。オーナーやスポンサーさんに対して、コロナ禍でもやってよかったって少しでも思っていただけたのであればいいなと。オーナーをはじめとするスポンサーさんたちもみなさん大変喜んでいただけたようですので、すごくよかったです」と語った山脇大輔。

「それと同時に、クルマの購入からチームを作るというところからやっていたので、嬉しいのと、正直ほっとしたというのがかなり大きいですね。チームの運営というのを一からやったは初めてでしたが、以前のチームで少し経験はありました。私は普段は会社員ですので、会社での経験とか、アメリカンフットボール選手をやっていたときのチーム作りとあまり変わらず、レース以外での経験も活きたかなと思います」

「開幕前からコロナ禍の影響で海外在住の二人のドライバーが参戦できなくなり、ドライバーを替える必要があったので大変でした。ただ、一方で乗れなくなった二人のために頑張ろうとチームでも話していたので、シリーズチャンピオンという結果が出て、二人も『乗れなかったけど、結果は出してくれたからよかった』というふうに思ってくれていたらいいなと思っていますね」

 ドライバーとして全戦に参戦しつつ、ST-Xクラスに参戦したMercedes-AMG Team HIRIX Racingのチームマネージャーを務めた山脇にとって最も印象に残ったレースが第1戦富士24時間だ。

あの状況(ピット作業中に車両から火災が発生)からリカバリーできたのはすごかったですし、しっかりと準備した甲斐があったかなと。金沢からもスポンサーさんが来ていただいていたので、レースを戦う僕らの姿を初めて見ていただけたので、よかったなというのもあります」

 2020年、結成初年度のスーパー耐久シリーズにてST-Xクラスのシリーズタイトルを獲得したMercedes-AMG Team HIRIX Racingだが、2021年シーズンは海外GTレースへの参戦を検討しているとのことだ。

総合優勝を果たしたHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3(山脇大輔/高木真一/ショウン・トン/根本悠生)
富士24時間で総合優勝を果たしたHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3(山脇大輔/高木真一/ショウン・トン/根本悠生)

■兵頭信一代表(ST-3クラスシリーズチャンピオン/TRACY SPORTS)

「新型コロナウイルスの感染が広がり、今後どうなるのかもわからない状況のなか、ST-3クラスのシリーズタイトルを獲得することができ。大変嬉しいです」とエアーバスター WINMAX RC 350 TWSでST-3クラスのシリーズタイトルを獲得したTRACY SPORTSの兵頭信一代表。

「開幕前はコロナ禍でドライバーたちもクルマに乗れるのかもわからず、参戦できないかもしれないという状況でした。TRACY SPORTSはレースを主体としている会社ですので、2020年の前半は正直仕事もない状態でしたし、かなり不安でした」

 開幕前の厳しかった状況を振り返り、シリーズタイトル獲得の喜びを噛み締める兵頭代表が最も印象に残ったレースが第1戦富士24時間だ。

「長いことトップを走っていましたが、終盤に車輪速センサーが壊れてしまってピットでの修正作業に時間がかかり、順位がひっくり返りました。やはり富士24時間で勝ちたいというのがあったので、悔しいレースではありましたね」

「レースには万全の体制では望んでいますが、24時間レースだとこういうことも多々あります。悔しいレースでしたが、やはり思い入れはあります」

 2020年はST-1とST-3の2クラスに参戦したTRACY SPORTSだが、2021年シーズンは2台のレクサスRC350でST-3クラスに、そしてST-1クラスに自社開発のGRスープラでの参戦を計画している。

 シェイクダウンも済んでいるというTRACY SPORTSのGRスープラだが、当初の予定では2020年の最終戦鈴鹿でデビューを迎える予定であった。しかし、鈴鹿大会の中止となったため、2月27日に富士スピードウェイで行われるスーパー耐久合同テストがお披露目の舞台となりそうだ。

「まだ細かいところを詰める必要がありますが、合同テストまでには詰めていこうと思っています。今年はST-1クラスもいきますよ!」と兵頭代表。

 昨今参戦台数が減少傾向にあるST-1クラスだが、TRACY SPORTSのGRスープラの登場により盛り上がることになりそうだ。

ST-3クラスのタイトルを獲得したエアーバスター WINMAX RC 350 TWS
ST-3クラスのタイトルを獲得したエアーバスター WINMAX RC 350 TWS

■梅本淳一代表(ST-5クラスシリーズチャンピオン/J’S RACING)

「2020年シーズンは強かったと思います。全戦表彰台にも上がれていますし、磐石の体制で挑んだ集大成の結果という感じですね。デミオやロードスターと相当激しい戦いを繰り広げましたが、車両特性の違いからコースの得手不得手があるなか、確実にうちが勝てるもてぎも、取りこぼすことなく勝てました」と、自らもドライバーとしてJ’S RACING☆FITのステアリングを握り、ST-5クラスのシリーズタイトルを獲得したJ’S RACINGの梅本淳一代表。

「表彰台に上がれないかなという厳しいレースでも、ストラテジーがうまくいって表彰台に上がれたので幸運もあったと思います。第2戦SUGOや第3戦岡山は本当にギリギリでしたが、最終的に全戦で表彰台に乗ることができました」

「実は有効ポイント制というのをあまり理解してなくて(笑)。第5戦オートポリスで3位に入ったときにシリーズチャンピオンが決まったと思っていたのです。なので後から、最終戦の鈴鹿でライバルのロードスターにポール・トゥ・ウインを決められたらチャンピオンの権利を失うことに気がついて、かなり焦りました」

「鈴鹿はホームなので、ポールポジションは獲れなくても、絶対に表彰台に上がれるという自信はありました。しかし、456号車のロードスターがポール・トゥ・ウインを決めたらうちは決勝で3位までに入らないとタイトルを獲れないという状況でしたので、プレッシャーはありました。なので、ニューエンジンを投入して磐石の体制で最終戦を戦うぞと準備していました。最終戦が中止になり、シリーズタイトルを獲れた嬉しさもありますが、寂しさも感じています」

 そんな梅本代表が最も印象に残ったのは第1戦の富士24時間レースだ。

「J’S RACINGとしての富士24時間最高位となる2位に入れたというのが大きいです。2019年は開始12時間までトップを走行して、そこからトラブルが出たという悔しい経験もありましたので」

 2020年シーズンのST-5クラスのシリーズタイトルを獲得したJ’S RACINGだが、2021年シーズンはST-Zクラス参戦に向けてトヨタGRスープラGT4をオーダーしている。ST-Zクラスへの挑戦に伴い、これまで主戦場としてきたST-5クラスからはシリーズタイトル獲得をもって“卒業”となった。なお、GRスープラGT4の納車まで時間を要するため、2021年シーズンは早くても後半からの参戦となりそうだ。

ST-5クラスのタイトルを獲得したJ’S RACING☆FIT
ST-5クラスのタイトルを獲得したJ’S RACING☆FIT