【松下信治インタビュー】ニッサン移籍の大きな決断と「今までいなかった」星野監督の愛情

 2月13日、オンラインで開催されたモータースポーツファンイベントで、2021年のスーパーGT GT500クラスに参戦する4チームの陣容を発表したニッサン陣営。イベント終了後、autosport webでは2021年シーズンよりニッサン陣営に移籍し、GT500クラスデビューを果たす松下信治にインタビューを行った。2021年のニッサンGT-RニスモGT500に乗った感想やニッサン陣営の印象、そしてホンダからニッサンへのメーカー移籍という大きな決断について話を聞いた。

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Q:まだテストの段階ですが、2021年型GT-Rに乗った感想と手応えを教えてください。

「(今まで主戦場としてきた)フォーミュラよりもGTマシンは車重が2倍近く重たいのが一番の違いですよね。車重が重たいということはブレーキの制動距離も伸びて、コーナリングスピードも結構落ちるので、オーバードライブしないように走ることが課題でした」

「車重が重い分、やはり違和感はあります。でもテストを重ねていくうちに慣れていくので、開幕までにしっかりと、自分の手足と繋がっているような感覚になるよう、取り組んでいる状況です」

Q:今はいろいろ制限が多くて難しい状況ですが、開幕に向けてどのように体調管理をしていますか?

「ジムでのパーソナルトレーニングのほかに、ランニングや自転車、球技など、さまざまなアウトドア・トレーニングをしています。ジムで身体を鍛えるだけではなく、レーシングドライバーは身体と目と頭の連携が大切だと思っているので、アウトドアのスポーツを心がけてやっています。もちろん、怪我はしたくないので、安全な範囲で取り組んでいます」

Q:今年の目標、またはどんなシーズンにしたいか、抱負をお聞かせください。

「目標は優勝です。どんなシーズンにしたいかという点に関しては、やはりスーパーGTのファンのみなさんが見ているなかで、『あっ、このドライバー凄いな!』と思っていただけるような、アグレッシブで目立つドライビングがしたいですね。そういう走りをみせることで、自分の名前も覚えていただけると思っています」

「そして将来に向けて、レーシングドライバーとしてワールドワイドな活躍もしたいと考えています。そういう意味でも、GT500最初のシーズンは大事な年になると思うので、おもいっきり若さ……もう若くはないですが(笑)、ルーキードライバーという意味での若さを発揮したいですね」

Q:ニッサンへの移籍は大きな決断だったのでしょうか?

「もちろん、自分のキャリアを左右する上で一番大事な決断は、こういったメーカー移籍のことだと思います。自分にとってのベストな環境について、自分なりにいろいろと考えました」

「やはりGT500という速いクルマに乗って、速いドライバーたちと勝負して、そこで勝ちたいというのがレーシングドライバーとして当然だと思いました。その思いに対して、僕の望む形で今年チャンスを頂けたので、それは素直に嬉しかったです。GT500という場所で活躍して、さらに上を目指したいと思っています」

「もちろん、ファンのみなさんの期待にも応えたいですし、いちプロドライバーとして、自分の名前を残すことが、プロとしての仕事だと思いますので、そこも意識して頑張りたいですね」

Q:ニッサン陣営のメーカーとしての印象を教えてください。

「今までホンダに長くお世話になってきましたが、ホンダとニスモの違いというと、ニスモの方がレースに関しての歴史が長く続いているという感じです。もちろんホンダも歴史はありますが、モータースポーツ部のような部署は、ホンダでは何年かに1回は異動で担当が代わったりするので、その度に毎回フレッシュな体制になる感じでした」

「ニスモに関しては、長年レースを見てきた人たちがモータースポーツを統括しているので、本当に“レース屋”さんという印象はありますね。ですのでドライバー経験がないエンジニアやスタッフの方でも具体的なクルマの話が通じるし、そういう部分で意気投合、意思疎通ができるのが、違いかなと思います」

Q:今年からカルソニック IMPUL GT-Rに所属することになりましたが、星野一義監督、平峰一貴選手について事前に持っていた印象と、実際に一緒に仕事をして印象の違いなどがありましたら教えてください。

「僕はもともと本山哲さんのチームでレーシングカートをやらせていただいていたので、星野さんのお名前は子供の頃から知っていました。速さと勝利にこだわる人で、中途半端な走りをしていたら怒られるというか、クビになっちゃうくらいの勢いのあるチームです。僕は追い込まれる環境が好きなので、そこに自分がいられることはすごくありがたいことだと思います」

「星野さんにはものすごく愛があって、たとえば攻めてクラッシュしても『そんなのいいよ』と。速さのためならリスクを冒してでも、という人で、そういうこと言える人は今まで僕の周りにいませんでした。そういう意味でも、ドライバーとして『おもいっきりやれるな』というのは感じているので、そこは甘えて……。ガンガン攻めていこうかなと思っています」

「平峰選手に関しては小さい頃から知っているので、どういう人間かはわかっていますし、違和感とかもないですね。僕は今年GT500ルーキーですけど、彼もまだ2年目ですから、GT500に関してはお互いにチャレンジャーだと思います」

「チャレンジャーふたりで、ニッサンの先輩方もいらっしゃるなか、他メーカーにも勝たなければいけません。ふたりの若さというか、アグレッシブさを走りで出して、お互いを高めあえるのではと感じています」

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 メーカー移籍という大きな決断をし、スーパーGT GT500クラス参戦を果たす松下信治。GT500参戦2年目の平峰と闘将星野一義監督の元でどのような戦いを繰り広げられるのだろうか。松下、そして平峰の若さとアグレッシブさが溢れる走りを、第1戦岡山から楽しみにしたいところだ。

白いヘルメットの松下信治がドライブするTEAM IMPULの12号車GT-R
白いヘルメットの松下信治がドライブするTEAM IMPULの12号車GT-R
TEAM IMPULの平峰一貴/松下信治
TEAM IMPULの平峰一貴/松下信治