ハミルトンとの新契約はなぜ1年か。メルセデスF1代表が背景を説明、“フェルスタッペン条項”の存在は完全否定

 メルセデスF1のチーム代表トト・ウォルフが、ルイス・ハミルトンとの新契約の期間が2021年のわずか1年である理由について語った。

 両者の前契約は2020年末までであり、延長は確実とみられながら、正式発表が遅れていた。2月8日、メルセデスはハミルトンと2021年の契約を新たに結んだことをようやく発表した。昨年、メルセデスはF1でのコンストラクターズ選手権とドライバーズ選手権の両タイトルを7年連続で獲得、ハミルトンは自身7回目の王座に就いており、メルセデスは、「F1史上最も成功したコラボレーション」が9年目に突入することを正式に認めた。

2020年F1第14戦トルコGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝、7度目のタイトルを獲得
2020年F1第14戦トルコGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝、7度目のタイトルを獲得

 その契約には、多様性を尊重し受け入れる「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進するための試みに共に取り組んでいくことが盛り込まれているという。メルセデスとハミルトンは、モータースポーツにおけるダイバーシティ&インクルージョン推進をサポートするための慈善団体を共同で立ち上げるということだ。

2020年F1第9戦トスカーナGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)、ブレオナ・テイラーさんを殺害した警官への抗議の意向を示すTシャツを着用
2020年F1第9戦トスカーナGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)、ブレオナ・テイラーさんを殺害した警官への抗議の意向を示すTシャツを着用

 しかし、ドライバー契約の期間が1年間にとどまったのはなぜなのか、そういった驚きの声を受け、ウォルフは説明を行った。コロナ禍で交渉開始が遅れたこと、また自動車業界が電動化などのパラダイムシフトに直面し、2022年のF1技術規則が大幅に変更されるなど、不確定要素が多いことを考慮し、まずは2021年の契約をまとめることに集中し、2022年については後にさらに時間をかけて交渉することに決めたという。

「まず、2022年には大きなレギュレーション変更がある。それに世界情勢、我が社の状況がどう変化するのかも見ていきたい」とウォルフは語る。

「それに、交渉を行った時期が非常に遅かった。シーズン終盤に行われたバーレーン2戦の間に契約について話し合いを行いたいと思っていたが、そのころルイスは(新型コロナウイルス感染症のため)体調が悪かった」

「結局交渉を開始したのはクリスマスの直前だった。できるだけ早くまとめることが重要だったため、2022年についての話し合いを2021年終盤に延期しようと考えたのだ」

「現在、世界中が不確実な状況であり、それがこのスポーツの運営方法に影響し、そこから我々の収入、テレビ放映による収入、スポンサーシップによる収入にも影響が及んでいる」

「ダイムラーとメルセデスは電動化に向けた重要な変革の時期にいて、それは投資を意味する。財政的には、数年前とは全く異なる現実のなかで生きているのだ」

「ルイス、私、メルセデスは、この状況について同じ意見を持っている。見解の食い違いはなかった。2021年の契約を結び、前に進む必要があると感じていた。そして2021年の間に、今度はもう少し早めに時間を見つけて将来について話し合う」

「2022年だけではなく、その先のことも含まれる。それをクリスマスから1月終わりまでの時期にテレビ会議でまとめるということは避けたかった」

2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝
2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)が優勝

 ハミルトンは、一部メディアにおいて“フェルスタッペン条項”と呼ばれる新チームメイトについての拒否権を契約条件に含めることを要求したと、先週伝えられた。ウォルフはそれについても、金銭的な条件についての推測も、すべて事実ではないと、報道を否定した。

「メディアで具体的な条項について報道されていたが、どこから出てきた話なのか分からない。真実はひとつもないのだ」とウォルフ。

「実際に記事を読み、興味深い視点であると感じた。だがドライバーに関する条項についての議論は1秒たりとも行われなかった。それが真実だ。彼はこの8年間、そういった要求をしたことはないし、(ドライバーについては)チームが決定することだ」

「レベニューシェア(利益分配)についての項目があるという報道もあったが、それも根拠のないうわさだ。それについての話し合いをしたことは一切ない」