開発と製造を行う“1年で一番大変な時期”を迎えたF1。本当の挑戦は「マシンをどう進化させていくか」

 F1の通常のレースシーズンは3月中旬から11月下旬または12月の上旬までだ。チームにとっては過酷なスケジュールだが、1年で一番過酷な時期ではない。最も大変な月は、チームが来たるシーズンに向けて新しいマシンの開発と製造を行う1月と2月だ。

「もし製造チームで働いているならば、1年のすべての月で忙しく仕事をすることになるが、本当にお金を稼ぐのは1月と2月だ。1年で一番大変な時期だよ」とマクラーレンF1チームのプロダクションディレクターを務めるピアーズ・シンは説明した。

「計画上ではやるべきことはたくさんあり、現在は特定の分野においていくつかの課題がある。しかしそれがF1というものだ。もし何の問題もないというのなら、おそらく積極性が足りないのだろう。もしすべてのことが簡単で単純であるのならば、それはパフォーマンスを発揮できていないということかもしれない。なぜなら限界を突破しようとしていないということだからだ」

 2021年のマクラーレンのマシン『MCL35M』は、2月15日に発表される。つまりマシンはその日までに、少なくとも完全に組み立てられ、トラックに向かう準備ができていなければならない。

「本当の挑戦は発表のためのマシンを製造することだけではない。そこからできるだけ早くアップグレードして、マシンをどう進化させていくかということにある」とシンは語った。

「重要なのは、必要のないものに時間やリソースを費やさないことだ。もし発表時のスペックのパーツを作りすぎれば、最新の仕様にアップグレードするために使うことができたかもしれないキャパシティを無駄にすることになる」

 FIAの衝突テストを通過することは、新たなシャシーの誕生において重要な節目だ。MCL35Mのシャシーホモロゲーションの過程は、レギュレーションが変わらなかったことと新型コロナウイルスにより、これまでとは異なるものになった。

「シャシーのホモロゲーションは常に非常に大きな節目だ。チームの多くの人々にとって、不安で心配な時期だ。妻が双子を出産したときのことを思い出すよ。唯一の違いは、ホモロゲーションは毎年行われるということだ」

「必須の衝突テストもまた違う。テストは12月に行われた。過程はそれほど違わないが、新型コロナウイルスの規制により、FIAは実際に衝突試験の現場に来て確認することはできなかった」

「その代わりに、我々はカメラとライブリンクを設置しなければいけなかった。そうすることで彼らはすべての機器を見ることができ、すべてのプロセスを厳密に追跡することができた」