GOTY開催! 2020-2021シーズンに最も輝いたハイパフォーマンスカーは!? ノミネート車から抜粋した2台をレポート

GOTY開催! 2020-2021シーズンに最も輝いたハイパフォーマンスカーは!? ノミネート車から抜粋した2台をレポート

GENROQ CAR OF THE YEAR 2020-2021からピックアップ!

『GENROQ』がその年の代表的なスーパースポーツ&ハイエンドカーを選ぶ「GENROQ CAR OF THE YEAR(GOTY)」。2020-2021シーズンは世界中が予期せぬ感染症の脅威に揺れるも、各メーカーはそれに屈することなく魅力的なモデルを多数リリースしてきた。その中から厳選した15台を、ステージごとに9人のモータージャーナリストが再評価。激動のシーズンを代表するモデルを吟味する。

ここではGOTYにノミネートされた15台のうち、サーキットで本領を発揮する6台を取り上げた「サーキット編」から、ポルシェ911ターボS カブリオレとアストンマーティン ヴァンテージ ロードスターという、オープントップボディながらも卓越したパフォーマンスを見せる2台に対し、清水和夫と佐藤久実がどうジャッジしたかを抜粋してお伝えする。完全なレポートは『GENROQ』本誌3月号を参照されたい。

GOTY 2020-2021、サーキットテストイメージ

Porsche 911 Turbo S Cabriolet

ポルシェ911ターボS カブリオレ

清水和夫「ターボの進化は今始まった訳ではない。30年の進化を紐解いてみよう」

ポルシェ911は991型後期から3.0リッターターボになり、それまで最高峰の象徴として誇ってきた911ターボの存在がわかりにくくなった。992型911カレラのターボエンジンは燃費向上のために開発されたダウンサイジングエンジンであり、高出力を目的とする歴代911ターボとはコンセプトが大きく異なる。

私とポルシェの長い関係において、911ターボは特別なポルシェである。初めて911ターボと真剣に付き合ったのは1980年代後半のニュルブルクリンク、つまり930時代の某タイヤメーカーのポルシェ承認テストの時だった。当時の911ターボは4速MTでブレーキとアクセルのペダル配置が悪く、足が小さい私は難儀したことを記憶している。そもそもポルシェのエンジニアはニュルではヒールアンドトゥは使わないで走ると言った。一般ユーザーはアウトバーンでヒールアンドトゥは使わないから、というのが理由だ。そして何より苦労したのがターボのタイムラグの大きさだ。驚くほどの大トルクを発生するものの、人を寄せ付けないほどの気難しいドッカンパワーに涙がこぼれそうになった。

最新の911カレラも大トルクを発生するが、911ターボはさらに巨大なトルクを発生する。駆動系からサスペンション、さらにボディへの負荷は非常に大きい。新型911ターボSは最大トルクが800Nmで、0-100km/h加速が2.8秒(スポーツクロノパッケージ)を誇る。991型911ターボSの最大トルクは700Nmだったので、新型は10%以上性能が高まった。このパフォーマンスは地球上で最速の部類に入る。これだけのトルクを持っていると、油断すると直線でもスピンするリスクが増すのでAWD化し、安全性を高めた。

GOTY 2020-2021、ポルシェ911ターボS カブリオレの走行シーン

「ポルシェを信頼して300km/hの世界を瞬間的に味わう」

FSWのストレートはメーター読みで300km/h。歯を食いしばってスロットルを踏み続ける。しかし30年以上ポルシェのブレーキと付き合ってきた経験で言うと、裏切られたことは一度もない。怖いがポルシェを信頼して300km/hの世界を瞬間的に味わう。

ブレーキはその利きと安定性がすごい。もしハンドルから手を離して強いブレーキングをしても直線性は乱れないだろう。リヤエンジンでもこの安定性は911の大きな魅力だ。ストレートエンドで60km/hくらいまで減速して、第1コーナーをターンイン。GT3ほどの切れ味鋭いハンドリングではないが、アンダーステアは気にならない程度なので、無理なくタイトコーナーをターンインできる。

進化し続ける3.8リッターターボには新開発のインジェクターから高圧で燃料をシリンダーに噴射し、シリンダー中心に対して横方向の混合気の渦(スワール)を生成する。この卓越した燃焼技術によって燃焼速度が高まり、高出力が得られる。

GOTY 2020-2021、テストシーン

「ポルシェがどれほどターボエンジンに拘っているのか理解できる」

911ターボのコア技術である大型タービンは997型911ターボから使われているVTG(バリアブル・タービン・ジオメトリー)だ。このタービンはエンジンの回転数に応じて排気ガスの流量を変化させることで、低回転でも十分なトルクを発生できる。30年前に苦しめられたターボのタイムラグは、もはや一切感じない。しかも先代ターボから採用されたダイナミック・ブーストによって、エンジン側のスロットルは開いたまま維持されるので負圧になりにくい。

FSWの名物コーナーである100Rはコーナーリング中のスロットルコントロールが重要となるが安心して攻められた。エンジン出力は燃料の噴射量でコントロールしている。これは最高のレスポンスだと思った。マクラーレンやフェラーリのV8ターボよりもシャープなターボエンジンなのである。

911ターボと付き合ってきた30年余りを振り返ると、ポルシェがどれほどターボエンジンに拘っているのか理解できる。その真価は電動化時代も不変ではないだろうか。

 

GOTY 2020-2021、アストンマーティン ヴァンテージ ロードスターの走行シーン

Aston Martin Vantage Roadster

アストンマーティン ヴァンテージ ロードスター

佐藤久実「サーキットでは操る楽しみを実感、一般道では上品な佇まいが魅力の1台」

アストンマーティンのラインナップの中で、唯一リアルスポーツカーに位置付けられるのが「ヴァンテージ」。そして、待望のオープンモデル「ヴァンテージ・ロードスター」がようやく日本に導入され、今回、サーキットでそのパフォーマンスを試すチャンスを得た。とはいえ安全性も鑑み、トップはクローズドのままで試乗した。

ソフトトップを収めるため、クーペからリヤセクションのデザインが変更されている。また、クーペと同様の性能とするため、リヤダンパー、アダプティブ・ダンピング・システム、電動パワーステアリング、そしてドライブモードセレクトがリセッティングされているという。全自動のトップを備えるが、クーペからの重量増は60kgに抑えられている。

搭載されるパワーユニットはクーペと同じ4.0リッターV8ツインターボエンジンにZF製8速ATが組み合わされ、最高出力510ps、最大トルク685Nmを発揮する。

GOTY 2020-2021、テストシーン

「シビアさや過敏さはなく、人の感覚に対して“リニア”なセッティング」

AMG製エンジンをベースとするが、特にサーキットでレブリミットまで回し、限界域で走ると「チューンド・バイ・アストンマーティン」であることが明確に感じられる。例えばサウンド。乾いた響きで、トップをクローズドにしていてもヘルメットを被っていても耳に届く。ソフトトップならではの楽しみだ。そしてアクセルレスポンスも優れるが、シビアさや過敏さはなく、人の感覚に対して“リニア”なセッティングとなっている。エンジンに限らずだが、最近はハードウェアを変えなくてもソフトウェアのチューニングによってクルマの特性やキャラクターが大きく変わるのをしばしば実感する。

クーペのヴァンテージに初めて乗った時は、ここまでやるか、というくらい締め上げられたサスペンションセッティングに驚いた。快適性はギリギリ確保され、かなりハンドリングを優先していた。クーペのデビューから多少時間が経っているので、ランニングチェンジによる改善がロードスターに落とし込まれているのかもしれない。さらに、ロードスター独自のチューニングも施されたということで、良い意味で角が取れた感じがする。

サーキットで走ると、コーナリング時はそれなりにロール感があり、クーペほどソリッドな印象ではない。でも、それはイヤな動きではない。グリップ限界も高いが、コーナリングでリヤのグリップを失っても唐突な動きはなく、ハイパワーでありながらコントロール性は良い。リヤにトランスミッションを搭載するトランスアクスル方式を採用することで前後重量バランスに優れるのもハンドリングの良さに貢献しているのだろう。

GOTY 2020-2021、テストシーン

「目新しさはなく、やや荒削りな側面もあるが、明らかに操る楽しさはある」

ヴァンテージ ロードスターももちろん、様々な電子制御を用いているが、基本のシャシー性能を高め、ジオメトリーを適正にし、制御の介入を極力少なくするというのがアストン流。だからクルマに乗せられているという感覚ではなく、自らクルマを操っている楽しさがそこにはある。正直、そのハンドリングはオーソドックスなFRの挙動で、目新しさはなく、やや荒削りな側面もあるが、明らかに操る楽しさはある。一般道での上品さとの二面性、これもアストンの魅力だ。

そして、ユーザーは常に新しいものを求めているとは限らない。例えばファッションでも、流行の先端を行く人もいるが、自分流の定番を好む人もいる。イギリスはまさに「トラッド」の本場。流行はあっても奇をてらったところはない。そんな、新しさの中にも伝統を大事にしているのも、イギリスブランドらしい。

ヴァンテージ ロードスターは、サーキットもこなせるが、もしもサーキットメインならクーペをチョイスした方が良いだろう。やっぱりロードスターはほどほどのペースでオープンエアを堪能しながらワインディングを走る方が似合うし、本領を発揮できる。

PHOTO/市 健治(Kenji ICHI)

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ 911 ターボS カブリオレ

ボディサイズ:全長4535 全幅1900 全高1301mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1710kg
エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:3745cc
最高出力:478kW(650ps)/6750rpm
最大トルク:800Nm(71.4kgm)/2500-4000rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前255/35ZR20 後315/30ZR21
0-100km/h加速:2.8秒
価格:3180万円

アストンマーティン ヴァンテージ ロードスター

ボディサイズ:全長4465 全幅1942 全高1273mm
ホイールベース:2704mm
車両重量:1628kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3982cc
最高出力:375kW(510ps)/6000rpm
最大トルク:685Nm(69.8kgm)/2000-5000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前255/40R20 後295/35R20
0-100km/h加速:3.8秒
価格:2159万9000円

【問い合わせ】
ポルシェ カスタマーケアセンター
TEL 0120-846-911

アストンマーティン・ジャパン・リミテッド
TEL 03-5797-7281