勝田貴元、WRCモンテカルロ総合6位の好発進。フルアタックで臨む次戦の走りにも注目

 勝田貴元が、トヨタ・ヤリスWRCを駆っての2度目のラリー・モンテカルロ出場で総合6位に入り、2年連続でポイントを獲得した。前年のモンテカルロでは総合7位。WRCでのキャリアベストを更新したことになる。果たして、この1ポジションアップはどれくらい評価されるべきものだろうか?

 ステージでの走りを分析する前に、貴元が置かれている状況を理解しておく必要がある。今年、彼はヤリスWRCで全戦に出場するが、マニュファクチャラーエントリーではない。そのため、事前のテスト日数はワークスの3人よりも少なく、モンテカルロに関しては直前のテストに参加できなかった。

 さらに、今年からタイヤがピレリのワンメイクに変わった。それにもかかわらず、テストでターマック用のスリックタイヤで走るチャンスが一度もないまま本番に突入。今年はコロナ禍でシェイクダウンも設定されなかったことから、ぶっつけ本番に近い形で初日の2本のステージに挑むことになった。

 グリップレベルを知らない貴元はこの2本のステージをタイヤの特性を理解するためのものと位置づけ、やや慎重に走行。軽微なスピンもあって、初日は総合11番手と大きく遅れた。

 2日目は午前中にステージとタイヤの状況を確認し、再走ステージとなる午後の2本でペースアップ。ここで刻んだ5番手、4番手のタイムがモンテカルロでの現在の貴元の実力と言える。

 4番手だったSS7は21.62kmのステージで、ベストタイムのセバスチャン・オジエとは13.9秒差。比較的距離の長い、濡れたターマックステージで、オジエと1kmあたり0.64秒差なら、決して悪くはない。ちなみに、エバンスはミスなく走るも、貴元より約2秒遅かった。

 昨年と同様、今回も貴元のモンテカルロでのメインターゲットは走行経験を積むことであり、昨年はリタイアしたラリーが多かったことから完走がマストだった。その課題をこなしつつ、トップ5以内のステージタイムを3回刻んだことで、昨年よりも確実に進化していることを証明した。

 ただ、モンテカルロのようなトリッキーなターマックラリーで表彰台を狙うレベルにはまだない。序盤にペースが上がらないか、行きすぎてしまう傾向も見受けられる。1軍のシートを狙うのであれば、そのあたりを改善していかなければならないだろう。

 モンテカルロで上位争いをしながらミスなく最後まで走るのは非常に難しく、ティエリー・ヌービルやオット・タナクといったトップレベルの選手たちも、リタイアを何度も繰り返しながらスキルを高めてきた。モンテカルロは依然最難関のラリーであり、トップ5の敷居は高い。

 貴元が今年一番力を発揮できるであろうイベントは、中止されたスウェーデンに替わり急きょカレンダーに加わった第2戦アークティック・ラリー・フィンランドだろう。豊富な積雪が見込まれる北極圏のこのスノーラリーについて、本誌前号掲載のインタビューでは「(開催されれば)いまの自分に合っている」とも話していた。フルアタックで臨んだときの内容とリザルトに注目だ。

ラリーらしい“攻めの走り”を見せる勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)
ラリーらしい“攻めの走り”を見せる勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)
勝田貴元のペースノート
勝田貴元のペースノート