TCRオーストラリア開幕戦:デビュー戦のホールズワースが完勝。アルファ勢が席巻

 初年度となった2019年以来の開幕を迎えたTCRオーストラリア・シリーズは、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップで優勝経験を持つリー・ホールズワース(アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR)が、レース1でポール・トゥ・ウインを飾り見事なデビュー戦に。続く2レースともにアルファロメオが制し、イタリア製モデルが週末を席巻する結果となった。

 新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響により、度重なる日程変更の結果チャンピオンシップ自体がキャンセルされていたTCRオーストラリアが、ようやく2年目の開幕を迎えた。

 その舞台となったシモンズ・プレインは、オーストラリアの休日を活用する変則的なスケジュールで開催され、1月24日の日曜に2回の公式練習、続く25日の月曜に予選とレース1が争われ、さらに火曜にも残る2ヒートが実施されている。

 直前の合同テストを経て、開幕のイベントには全18台のマシンとドライバーが集結。そのうち、RSCの前身となるVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの経験者と現役組は6名で、注目はWalkinshaw Andretti United(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/WAU)所属、チャズ・モスタートの開幕戦ゲスト参戦。『バサースト1000』制覇の実績も持つ男は、チームメイトのルーク・キングとともにMelbourne Performance Centre(メルボルン・パフォーマンス・センター/MPC)のアウディRS3 LMSをドライブする。

 また、古豪Garry Rodgers Motorsport(ギャリー・ロジャース・モータースポーツ/GRM)はグリッド上に7台ものマシンを送り込み、2台のアルファロメオに加え、2台のルノー・メガーヌR.S.TCR、3台のプジョー308TCRを走らせる。

 そんな顔ぶれを揃え、同国南部タスマニア島を代表するトラックで幕を明けた1戦は、初日からアルファロメオ勢が速さを見せる意外な展開となり、初日のセッション双方でホールズワースがトップタイムを記録。開幕直前にTickford Racing(ティックフォード・レーシング)のレースシートを失い、Ashley Seward Motorsport(アシュリー・シュワード・モータースポーツ/ASM)に新天地を提供された男が、失意を晴らす快走を披露した。

「クルマは“箱から出したばかりの新品”だけど、最初からかなり良い感触だった」と上々の出だしに安堵の表情を浮かべたホールズワース。

「ただ全体のタイムが接近し拮抗した状況だから、明日の予選は本当に厳しいものになるだろうね」

 しかし、昨季のVASC『バサースト1000』でフォード・マスタング・スーパーカーをドライブし、暫定ポールポジションを奪っている実力者は、迎えた予選でも最速の座を誇示して全体計時予選、トップ10シュートアウトともにトップタイムを記録。

 コース上に雲が出ることを察知して、タイヤ温度管理のため早めにトラックインするベテランらしい判断も功を奏し、GRMのジョーダン・コックス、ASMのチームメイトであるジェイ・ハンソンを従え最前列を奪取してみせる。これでアルファロメオがトップ3を占める結果となり、RSC現役組のアウディ、モスタートがセカンドロウ4番手に滑り込んだ。

R1のスタートで飛び出したGRMのジョーダン・コックスだったが、ここは大ベテランに先を譲ることに
リー・ホールズワース(アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR)が、変則日程の週末で公式練習、予選、R1と完全制圧し、パーフェクトなデビュー戦を送った

■アルファロメオ勢が表彰台独占、かと思われたが……

 迎えた月曜レース1でも、ホールズワースは落ち着いたレース運びを見せ、スタート直後にはフロントロウ2番手にいたコックスに首位を明け渡すものの、そのまま背後を追走。6周目のターン6で同じジュリエッタのインサイドに飛び込むと、首位奪還に成功しそのまま最大時間を迎えた20周をトップチェッカー。自身のデビュー戦を勝利で飾る完璧なレースを披露した。

 また3位には終盤のバトルでモスタートを追い落としたハンソンがフィニッシュラインをくぐり、アルファロメオ勢がポディウム独占……と思われたが、この際の接触でアウディをスピンさせた罰則として10秒が加算され、ASMもう1台のアルファは7位に後退。代わって初代王者ウィル・ブラウンの後継としてHMO Customer Racing(HMOカスタマー・レーシング)に加入した、ジョシュ・ブチョン(ヒュンダイi30 N TCR)がデビュー戦で3位に昇格している。

 明けた最終火曜日の2ヒートもアルファロメオ勢が席巻する勢いを見せ、アクシデント多発の荒れた展開となったレース2は、ポールシッターを出し抜いたGRMのアーロン・キャメロン(ルノー・メガーヌR.S.TCR)が序盤のレースを支配していく。

 しかし、黄旗やセーフティカー導入によるリスタートなどでペースが乱されたか、首位ルノーの背後に同じくGRMのコックス、そしてポールシッターのホールズワースが追走すると、重圧に押されたルノーが14周目のヘアピンでワイドラン。これで4番手だったモスタートのアウディにまで先行され、コックスがアルファロメオでうれしいシリーズ初優勝を飾った。

 その勢いのまま最終ヒートのレース3も、コックスがライト・トゥ・フラッグの快走を披露し、連勝を飾って選手権リードを手にする結果となった。

 無事に再開を果たしたTCRオーストラリア・シリーズ。続く第2戦も島しょ部での開催となり、2月19~21日の週末に世界的な名門トラック、フィリップ・アイランドのグランプリコースで争われる。

火曜のR2では、コックスがリベンジしてシリーズ初優勝。R1を接触で落としたチャズ・モスタート(右)も表彰台に上がった
R3では首位勢が悠々クルージングも、最終ラップではブレーキトラブルによる大クラッシュも発生している