一般道の後席シートベルトは未だに約60%が非着用!「締めていない」と衝突事故時に起こる危険性はどうなる? 

■事故時に致命傷を負ったり、死亡に至る危険性が高い

ロードサービスを手掛けるJAFは、2020年10月19日〜11月13日の期間に全国887ヵ所で「シートベルト着用状況全国調査」を警察庁と合同で実施し、2021年1月14日にその結果を発表しました。

それによると、運転席や助手席でのシートベルト装着率は一般自動車道(以下、一般道路)と高速自動車道(以下、高速道路)の両方で90%以上と高かったものの、後部座席(以下、後席)では特に一般道路の装着率が40.3%と低く、依然として60%近くが未装着であることが分かりました。

一般道の後席シートベルトは未だに約60%が非着用
シートベルト未装着の後席同乗者が衝突事故にあった場合を想定したJAFの実験模様(出展:JAF)

シートベルトをしていないと事故時に致命傷を負うなどの危険性が高いことは近年よく知られていますが、一般道路では後席の装着率が低いのでしょうか。

●後席の装着率は前席と比べ極端に低い

今回の調査は、一般道路の全国782ヵ所、高速道路などの全国105ヵ所(計887ヵ所)で、各道路におけるシートベルトの装着状況を調べたものです。その結果、まず、一般自動車道の装着率は以下の通りです。

運転者 99.0%
助手席同乗者 96.5%
後席同乗者 40.3%

また、高速自動車道でのシートベルト装着率は、以下の通りです。

運転者 99.7%
助手席同乗者 98.5%
後席同乗者 75.8%

以上で分かる通り、運転席と助手席のシートベルト装着率は前述の通り、一般道路と高速道路の両方で高い割合になっています。ただし、後席では、高速道路が75.8%と前席ほど高くない上、一般道路では40.3%とさらに低い水準になっています。

ご存じの通り、後部座席のシートベルト装着は、2008年に道路交通法で義務化されましたが、いまだに高速道路で24.2%、一般道路では実に59.7%がシートベルトをしていないという結果になっています。

一般道の後席シートベルトは未だに約60%が非着用
後席シートベルトの装着率は一般道路でとくに低い

なお、一般自動車道の後席同乗者のシートベルト装着率を都道府県別に見てみると、ワースト3は1位が沖縄県15.8%、2位が宮崎県19.7%、3位が佐賀県24.4%となっています。また、装着率が最も高い長野県でも59.4%ですが、それでも約40%が非装着です。

●後席シートベルト非装着の危険性

JAFでは、2017年に後席の同乗者がシートベルト非着用の時に、衝突事故に遭うといかに危険かという実験を行っています。

実験の内容は、テスト車両(ミニバン)の前席と後席(2列目)にダミー人形(以下、ダミー)を各2体乗せ、後席運転席側のダミーのみシートベルト非着用に。そして、時速55km/hで車両を壁に衝突させたものです。

結果は、JAFによると

「シートベルトを着用していない後席ダミーは前方に投げ出され、運転席のヘッドレストに頭を打ち付け、さらにシートごと運転席ダミーを押しつぶした」

という衝撃的なものでした。これにより、JAFでは、交通事故の時に、後席でシートベルトをしていないと発生する3つの危険性を以下のように挙げています。

1. 車内の構造物(ピラーやシートなど)に激突し、自らが傷害を負う危険性
2. 運転者や助手席同乗者へぶつかり、危害を加える危険性
3. 窓などから車外に放出される危険性

一般道の後席シートベルトは未だに約60%が非着用
JAFの実験では、シートベルト未装着のダミーがクルマの衝突で前席へ飛び出す結果に(出展:JAF)

このように、後席でもシートベルトをしていないと、まさかの時に致命傷を負ったり、死亡に至る危険性が高いのです。

●後席シートベルトを締めない理由は?

では、なぜ後席同乗者のシートベルト装着率は低いのでしょうか。やはりJAFが2016年に行ったアンケート調査では、後席でのシートベルトを着用しない理由として「シートベルトが使いにくい」という回答が、29.8%と最も高い結果となっています。

また、「後席シートベルトが使いにくい」と答えた人にその理由を聞いたところ、「バックルのかたちが悪く、装着しにくい」が45.7%(1位)、「隣席でのバックルと間違えやすい」が31.9%など、ベルトのバックルに不満を持つ人が多いことがうかがえます。

ほかにも、44.2%が「シートベルトを着用すると締め付け感覚が強く窮屈に感じる」(2位)と答えたり、38.6%「装着が面倒」(3位)など、利用することの窮屈さや面倒さを理由にする人の割合も高かったようです。

確かに、後席のシートベルトは、バックルが座面と背もたれの間に入り込んで見つけにくかったり、間違って隣席用のバックルにタング(金具)を差し込もうとして入らないなど、いろいろとトラブルはありますよね。

シートベルト未装着の後席同乗者が衝突事故にあった場合を想定したJAFの実験模様(出展:JAF)
後席ではシートベルトのバックルに関するトラブルもありがち

特に、普段乗り慣れていないレンタカーやカーシェアのクルマでドライブに行くときなどは、後席の人はなかなかシートベルトが装着できなくて、イライラする人もいるようです。また、クルマのタイプによっては、後席が狭く、シートベルトをするとさらに窮屈に感じることもあるでしょう。

加えて、後席シートベルトをせずもし警察官に捕まっても、高速道路では違反点数1点ですが、一般道路では口頭注意だけで違反点数はなし。反則金も高速道路・一般道路どちらもなしと、罰則が比較的軽いことも、後席のシートベルト装着率が低いことに影響しているのかもしれません。

だからといって、シートベルトをしないことは、前述の通り事故の際にかなり危険です。ドライバーには、乗車の時に後席の同乗者にシートベルト着用を促す責任もあります。

一般道の後席シートベルトは未だに約60%が非着用
後席に高齢者を乗せる場合もシートベルトの装着には配慮が必要

後席に同乗者を乗せる場合、出発前に「シートベルトを締めてね」とか、「締めないと自分だけケガするかもしれないよ」などと呼びかけたり、高齢者などクルマに乗り慣れてない人には、バックルを事前に出してあげるなどの心遣いも大切ではないでしょうか。

(文:平塚 直樹)