フェラーリF1復活の鍵となる新パワーユニット。2022年の開発を前倒しにして改良図る

 スクーデリア・フェラーリは、2020年のF1パワーユニット(PU/エンジン)はライバルたちよりも劣っていたものの、2021年には大きく進歩するものと確信している。

 2019年にはフェラーリのエンジンは優勢だったが、一部システムの使用を断念せざるを得なくなったことで、2020年にパフォーマンスが低下した。フェラーリは開発リソースのほとんどを2022年に集中させる一方で、2022年に予定していた一部開発を1年前倒しにし、最新パワーユニットに重要な変更を施そうとしている。

 オーストリアのグラーツに拠点を置くパワートレインエンジニアリング会社AVL社において、ウォルフ・ジンマーマンの指揮のもとで続けられている研究開発作業は、開発の初期段階において非常に印象的な成果を上げており、フェラーリはニューマシンに統合する前に、すべての新たなコンポーネントの検証を急いでいる。

 パワーユニットの変更に関して明らかになっていることのひとつは、バッテリー充電効率を改善するため、タービンを昨年型よりも小さくすることだ。2020年にはMGU-Kからのパワーデリバリーが1周持たず、ラップ終盤のストレートの終わりには不足した状態だった。しかしERSに新たなソリューションを用いたことで、ハイブリッドシステムがライバルたちと同レベルに追いつくものとフェラーリは確信している。

 フェラーリはまた、ウェイストゲートバルブによる空力効率向上に期待し、これを引き続き使用。さらに、昨年は非常に細くフラットなエキゾーストに信頼性の問題が発生し苦しんだため、今年はそれを避けるための作業がなされた。

2020年F1アブダビGP シャルル・ルクレール(フェラーリSF1000)
2020年F1アブダビGP シャルル・ルクレール(フェラーリSF1000)

 当初2022年用であったが2021年の投入が計画されているのは、「スーパーファスト」と内部で呼ばれる新しいシリンダーヘッドで、これにより燃料の微粒化と燃焼室内の圧力の面での向上が期待される。ピストンヘッドを再設計し、より軽量の材料を使用することで、パワーユニットの信頼性を落とすことなく効率を向上させ、軽量化を達成する。テストベンチの結果が良好であれば、このソリューションは1年前倒しで2021年シーズンのパワーユニットに導入されるだろう。

 フェラーリは、シャシーの空力面の向上を図る必要もある。昨年型はF1で最もパワフルなエンジンを搭載するとの前提のもとで、最大のダウンフォースをつけることを目指した結果、大きなドラッグに苦しんだ。そのため、2021年に向けて、空力向上を図るため、パワーユニットの冷却システムを完全に設計し直すこととなった。ラジエターのレイアウトを変更したことで、マシンリヤへの空気の流れが改善することを、フェラーリは期待している。

 フェラーリは、2021年型パワーユニットは、メルセデスに並ぶのは難しいものの、ホンダおよびルノーとは同レベルのものになるという自信を抱いている。ただ、今年がF1活動最終シーズンとなるホンダがどこまでパフォーマンスを上げてくるのかについては懸念しているようだ。

 チーム代表マッティア・ビノットは、パワーユニットの向上がアストンマーティン、ルノー、マクラーレンと戦う上で大きな助けになると確信、目標はメルセデスとレッドブル・ホンダに続くコンストラクターズ選手権3位であると発言している。