ロータス エヴォーラ スポーツ410試乗! 「ポルシェ・イーター」の実力を911カレラと比較する 【Playback GENROQ 2018】

ロータス エヴォーラ スポーツ410試乗! 「ポルシェ・イーター」の実力を911カレラと比較する 【Playback GENROQ 2018】

LOTUS EVORA SPORT410 × PORSCHE 911CARRERA

ロータス エヴォーラ スポーツ410 × ポルシェ911カレラ

“個性”と“王道”の2台

打倒ポルシェ911を掲げるロータス エヴォーラが大幅な進化を遂げた。中でもスポーツ410はカーボンを多用したことでなんと70kgもの軽量化に成功。公道でもサーキットでも如何なく性能を楽しめるGTスポーツとして実力を高めたのだ。迎え撃つは圧倒的なスタビリティとハンドリングを楽しめる911カレラ。両者のポテンシャルを確かめるべく、ロングツーリングの旅に出た。

ロータス エヴォーラ スポーツ410とポルシェ911カレラの走行シーン

「今ではずいぶんと離れた場所にいる両者だが、昔から似た者同士の好敵手だ」

日本人はそもそもロータスびいきである。風吹裕也の愛車がロータス ヨーロッパだったことが大きいのかもしれないが、それ以前に小さく非力だが賢くすばしっこいものが、図体の大きな怪力自慢をきりきり舞いさせるというストーリーが好きだ。柔よく剛を制す、あるいは義経弁慶の判官贔屓のようなものである。ポルシェにしても自らの名前を冠した自動車メーカーとしてのスタートは、オーストリアの寒村の小さな小屋からだった。今や世界に知らぬものないスポーツカーの大看板も草創期はロータスと同じく、他のクルマ(VW)をベースに改造した軽量スポーツカーで名を上げたのである。今ではずいぶんと離れた場所にいる両者だが、昔から似た者同士の好敵手だ。

2009年に発売されたエヴォーラは、エリーゼよりもふた回りほど大きい2+2、ATも用意されているロータスのいわばフラッグシップモデルである。エリーゼ/エキシージのホイールベースは2300/2370mmだが、エヴォーラは2575mmと伸ばされてそこに“非常用シート”を割り込ませた。当初は280psだったV6スーパーチャージャー付きのトヨタ製ユニットは順次増強され、エヴォーラ スポーツ410に至っては、ミッドシップされるエンジンはモデルナンバーの通りに「エヴォーラ400」に比べて10psパワーアップ、416psと420Nmを生み出す。

ロータス エヴォーラ スポーツ410のエンジン

「パワーアップより重要なのは約70kg軽量化されている事実である」

トルクも10‌Nmアップしているが、それよりも重要なのは約70kg軽量化されている事実である。もともと軽量なロータスをさらにシェイプアップするのは、言うほど簡単なことではない。目に見えるボディパネルはすべてカーボンファイバー製であるうえに、+2の後席まで撤去されている。狭いとはいえ後席が備わっていたことがエヴォーラの特徴だったのに・・・、と堅いことを言う人はロータス・ファンにはいないということなのだろう。その結果エヴォーラ スポーツ410のカタログ上の車重は1325kgに引き下げられたが、実は車検証記載の重量は1390kgとなっており(オプションとなるエアコンやカーナビが装着されていることが理由だろう)、同じく車検証上1450kgの911カレラとそれほどの大差はない。

ただし数値以上に軽く感じるのは、もちろんミッドシップに加え、ルーフやエンジンフードなどをカーボン製にして重心を下げてあるおかげだろう。切れ味鋭く、狙い通りにコーナーをトレースするハンドリングはロータスの面目躍如である。フロント19/リヤ20インチのタイヤはミシュラン・パイロットスポーツカップ2だが、これはご存知のように専用ではないがサーキット走行重視のタイヤなので、とにかくくれぐれも雨の日は注意されたい。

ロータス エヴォーラ スポーツ410のインテリア

「切れ味鋭いコーナリングの410、弱点が見当たらない完璧な911」

2年前にいわゆる991 II型にマイナーチェンジしたポルシェ911カレラは、自然吸気の3.4リッターから3.0リッターツインターボ・フラットシックスにエンジンが換装されたことが最大のトピックだ。ベーシックなスタンダード・カレラとはいえ、今や最高出力と最大トルクは370ps/450Nmに達している。ポルシェの非凡なところは、日常使用を難なく、というよりむしろセダンにも増して快適便利にこなし、一方でスポーツカーのお手本としての運動性能をも身につけている点だ。GTとしての能力も極めて高く、一方でショールームストックのままでサーキットも走れる(ブレーキが顎を出したりしない)。そんなクルマはポルシェの他には存在せず、そのバランスが911の真骨頂である。それは今でも変わっていないと思う。そこに果敢に挑戦しているのがロータスだ。

軽量化を突き詰めて後席も取り去ってしまったということで覚悟していたのだが、乗り心地については心配するほどスパルタンなものではなかった。もちろん硬いけれども、ビシッというハーシュネスは抑えられており、フラットなので高速道路でも我慢は強いられない。ただし、薄いカーボンファイバー製シートだけは再考をお願いしたいところだ。アルカンターラのトリムは施されているものの、ごく薄いカーボン製一体式バケットシートは軽量化のために前後スライド以外一切の調整機構なし。上半身のサポートはまずまずだが、座面部分の前後長が短くサイドサポートも不足しているためにコーナリング中に足を支えるのが難しい。リラックスしてロングドライブをすることなどロータスには求められていないかもしれないが、GTとして位置づけられているからには、もう少しだけ快適なシートが欲しい。

ロータス エヴォーラ スポーツ410とポルシェ911カレラのリヤスタイル

「今時これほど直接的な剥き出しの裸足感覚を楽しめるクルマはない」

とはいえ今時これほど直接的な剥き出しの裸足感覚を楽しめるクルマはない。操作系はすべてがダイレクト、シフトはこすれ合う金属製のロッドを前後に動かしている実感に溢れている。それに比べれば、911カレラは軽く操作できるが、いかにもケーブル式のMTというポクポクした手ごたえで、変に力を入れてシフトすると望んでいないゲートに入りそうになる。

実用上の問題は後方視界と斜め後方視界だ。そもそもルーバーの下2列ぐらいはキックアップしたリヤスポイラーに遮られており、わずかな隙間から覗き見る感じである(カーナビを装着するとリヤビューカメラは備わる)。もうひとつ問題があるとすれば、剥き出しの素肌感覚を楽しむ値段が1344万6000円であることだ。

エアコンとカーナビを加えるとさらに65万円ほど必要だから1400万円。ポルシェ911カレラの1244万円より高くなる。いや、実はこの7速MTカレラの価格はほぼ1500万円に達する。スポーツクロノパッケージ32万7000円、LEDヘッドライト47万1000円など、例によって“裸”の状態ではなかなか売ってくれないのがポルシェだ。そうそう5万5000円の電動可倒式ドアミラーも忘れてはいけない。このぐらいサービスしてくれても良さそうなものだが、ポルシェはきっちり徴収するのだ。

REPORT/高平高輝(Koki TAKAHIRA)
PHOTO/森山俊一(Toshikazu MORIYAMA)

【SPECIFICATIONS】

ロータス エヴォーラスポーツ410

ボディサイズ:全長4390 全幅1850 全高1240mm
ホイールベース:2575mm
車両重量:1325kg
エンジンタイプ:V型6気筒DOHCスーパーチャージャー
総排気量:3456cc
圧縮比:10.8
最高出力:306kW(416ps)/7000rpm
最大トルク:420Nm(42.8kgm)/3500rpm
トランスミッション:6速MT
駆動方式:RWD
サスペンション:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール(リム幅):前235/35ZR19(8J) 後285/30ZR20(9.5J)
最高速度:305km/h
0-100km/h加速:4.2
燃料消費率(JC08モード):-
CO2排出量:-
車両本体価格:1344.6万円

ポルシェ911カレラ

ボディサイズ:全長4505 全幅1835 全高1295mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:1450kg
エンジンタイプ:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:2981cc
圧縮比:10
最高出力:272kW(370ps)/6500rpm
最大トルク:450Nm(45.9kgm)/1700-5000rpm
トランスミッション:7速MT
駆動方式:RWD
サスペンション:前マクファーソンストラット 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール(リム幅):前235/40ZR19(8.5J) 後295/35ZR19(11.5J)
最高速度:295km/h
0-100km/h加速:4.6
燃料消費率(JC08モード):11.4km/L
CO2排出量:190g/km
車両本体価格:1244万円

※GENROQ 2018年 1月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。