ロータス、2021年シーズン「Super GT」GT300クラス参戦車両とドライバーラインナップを発表

ロータス、2021年シーズン「Super GT」GT300クラス参戦車両とドライバーラインナップを発表

新たにベテランの阪口良平選手がチームに加入

ロータスの輸入総代理店エルシーアイは、2021年シーズンのSuper GTに参戦する「SGT EVORA」のカラーリングとドライバー体制を発表した。今シーズンは「INGING MOTORSPORT」のサポートでGT300に参戦となり、カラーリングは昨年までのホワイト基調から、ブラック&ゴールドへと大胆に変更されている。

ドライバーは昨シーズンに引き続きエースを務める加藤寛規選手に加えて、新たに阪口良平選手が加入。2006年からSuper GTに参戦する阪口選手は、ポルシェ、ランボルギーニ、マクラーレン、ベントレーなど、様々なマシンでの参戦経験を持つベテランドライバーだ。

2021年シーズンのスーパーGTは、4月10日に行われる岡山国際サーキットで開幕戦を皮切りに、全8戦を予定。現時点でマレーシア・ラウンドとタイ・ラウンドの開催が調整中となっている。

新たな体制でGT300に挑む加藤選手と阪口選手に、チーム体制の変遷と今シーズンの意気込みを聞いた。

2020シーズンのスーパーGT

新体制となった今シーズンの意気込みと展望を聞く

1月7日(木)、ロータスの正規代理店であるエルシーアイ株式会社(東京大田区)で、Cars Tokai Dream28のスーパーGTにおける2021年シーズンの体制発表会が開催された。ここに参加したのは、長年同チームのエースドライバーを務める加藤寛規選手と、インギングモータースポーツからスーパーGTに参戦している阪口良平選手の2名。なんと今季はこの2人がコンビを組んで、SGT LOTUS EVORA(以下エヴォーラ)を走らせるというのである。

そしてこれは、ロータス・ファンに取って実は朗報である。なぜならエヴォーラがスーパーGTを走るのは、昨年限りという話も聞こえていたからだ。というのも昨シーズンは、いわば加藤選手のために用意されたスペシャルイヤーだった。Cars Tokai Dream28のチームオーナーであり、2019年にスーパーGTでの活動を引退した高橋一穂氏が、長年苦楽を共にした加藤選手のために一年間、加藤選手の望むパッケージングで闘うことを実現した、まさに特別なシーズンだったのである。

SGT EVORAの新体制発表

参戦中止から一転して2021シーズンも続投が決定

これに対しては加藤選手が、その状況をさらに詳しく説明してくれた。

「確かに昨年は高橋さんによって走らせて頂ける、特別な一年でした。そしてその間に我々も自分たちで、次年度以降のスポンサーを探していたんです。この活動は思ったよりも順調に運んでいたのですが、ただその多くがコロナ禍によって、なくなってしまった。そこで昨年、11月中旬くらいに一度状況を確認し、これ以上高橋さんに無理をさせるわけにはいかないという判断をして、いったん(参戦を)辞めることにしたんです」

これが昨年末にオートスポーツWebでもリークされていた「Cars TokaiDream28活動休止」の、ウワサの真相だったわけである。

しかし事態はここから、思いも寄らぬ方向へと導かれていった。

「確かにいったん、(参戦活動は)辞めることにはなりました。しかしそこでインギングさん、卜部さん(※卜部治久氏。カローラ山口の代表取締役社長であり、インギングモータースポーツのチームオーナー)から『一緒にやらないか?』というお話を頂いたんです」

2020シーズンのスーパーGT

新たなパートナーはインギングモータースポーツ

インギングモータースポーツといえば、長い歴史を持つ有力レーシングチーム。スーパーGTでは昨年#6 ADVICS muta MC86を走らせ、2回のポールポジションと2回の表彰台を獲得している。

「そこで高橋さんに状況を話すと、すぐに会談することになったのですが・・・」

レースに情熱を注ぐふたりのトップ会談、話はまさに即決だったという。

「おふたりで確認事項を出し合って、一時間もしないうちに話が決まって。これにはちょっとびっくりしました。もちろん障害がなかったわけではありません。しかし卜部さんも高橋さんもお互いに歩み寄って、すごくうまく形になったと思います。今年走れることに関しては、本当におふたりに感謝しています」

活動体制としては、インギングモータースポーツのクレジットとなる。そして具体的には、マシンメンテナンスをCars Tokai Dream28として活動していたスタッフが担当し、チーム運営とソフト面をインギングモータースポーツが行う。

SGT EVORAの新体制発表

ミッドシップの優位性にブリヂストンタイヤの供給という朗報

マザーシャシーの中でも唯一のミッドシップマシンであるエヴォーラを走らせる上では、Cars Tokai Dream28の渡邊信太郎チーフエンジニアを中心としたスタッフがそのノウハウを持っている。かつブリヂストンタイヤに関しては、インギングモータースポーツのスタッフが同様にその経験を持ち合わせている。そう、今季からエヴォーラは、ブリヂストンタイヤを装着することとなったのである。

ちなみにドライバー同士としては、加藤選手と阪口選手は共に長いキャリアをもちながらコンビを組んだことはないのだという。

ただ加藤選手いわく「阪口選手の甥っ子の晴南(※阪口晴南。2018年の全日本F3選手権時代、加藤選手が監督を務めるTODA RACINGから参戦している)を面倒見ているときに面識はあったので、現場や電話では何度か話していました。もちろんレースや仕事の現場でも、会いますしね。阪口選手はキャリアもありますし、速いドライバーだと思っています」と、にこやかにコメント。

SGT EVORAの新体制発表

互いに気心の知れたドライバーが初タッグを組む

また阪口選手はジョークを交えながらも、これまでも加藤選手の存在を認めてリスペクトしていたと言う。

「自分はフォーミュラ出身なので、加藤さんがF3を走っている時からその走りは見ていました。昔からストレートが遅いクルマを、コーナーで横向けながら走らせているイメージがあって、それが自分にも目標になっていましたね。パートナーとしては、すごく心強い存在です。ただ(年齢を聞くまでは)もっと若い方かと思ってました!(笑)」

ということで2021年シーズンのスーパーGTは、Cars Tokai Dream28という伝統あるチームがいったん活動を休止する形にはなったものの、それが強力なパッケージングへと進化を果たしたことになる。正直エヴォーラとブリヂストンタイヤのカップリングに関して、これを聞いたライバルチームは心中穏やかではないはずだ。これに対しておふたりはどう思っているのだろうか? 今シーズンへの期待、そして不安を聞いてみると加藤選手は次のように語る。

「エヴォーラに関しては、(阪口選手に)すんなり受け入れてもらえると思っています。これまで尖った部分がないように、セッティングを作り上げて来ましたから。むしろ乗りやすいと思ってくれるはずなので、たとえ今季のテストが(昨年同様に)少なくても、レースで走り慣れて、アベレージタイムを上げていってくれると思っています」

「逆にボクの中での不安は──みんな簡単に(このパッケージングが強いと)言うと思うんですけど(笑)──果たしてブリヂストンタイヤとエヴォーラが本当にマッチングするのか? ということです。同じマザーシャシーである86でも昨年は苦労されていたので、そこがエヴォーラにもすんなりはまるのかはわからない。そこは良平君を頼りにしています。それがうまくいけば、スーパーGTでもフロントランナーの一台になれるかな、と思っています」

加藤選手は「今シーズンは楽しみ」だとしながらも、その構えは至って慎重だ。

SGT EVORAのニューカラーリングを発表

ロータスの栄光を築いたJPSカラーを彷彿とさせるニューカラー

そしてこれを受けた阪口選手は今シーズンへの意気込みを語ってくれた。

「まず期待という意味でいうと、カラーリングが“黒と金のロータス”というだけでもテンションが上がりますね! そしてボクの立場でいうと、ブリヂストンタイヤ、そしてADVICSのブレーキシステムを一年以上かけて開発してきていますので、お互いの持ち場を守って仕事をやり遂げれば、必ず結果がついてくると思っています」

「タイヤに関しては加藤さんの言う通り、どのタイヤを使ってもマシンへの合わせ込みは難しい作業です。でもブリヂストンタイヤはオールマイティさにおいて、ものすごく奥が深いタイヤなので、そこは心強いポイントです。自分としては『ウェイトを積み過ぎたときにどうするか?』という嬉しい悩みができるところまで、シーズンの早い段階でいけるようにしたいです」

世間では緊急事態宣言が発令され、再び世の中の先行きが不透明になってしまった状況ではあるが、カレンダー通りであれば今シーズンのスーパーGTは、4月10日(土)の岡山国際サーキットで開幕する。またそれまでには、何らかの形で公式テストも行われるだろう。

そこで新生SGT LOTUS EVORAが、どのような走りを見せるのか? そのポテンシャルは未知数だが、GT300クラスにおいて最も注目される一台となることだけは間違いないだろう。