【2021年国内ストーブリーグ/ニッサン編】即戦力の補強が急務。複数の外国人ドライバーを起用か

 12月25日(金)に発売されたauto sport No.1544では2021年シーズンの国内ストーブリーグ情報をまとめている。ここでは各メーカーごとにその情報をチェックしていこう。最後はニッサン陣営。2020年は23号車MOTUL AUTECH GT-Rが2勝を挙げるも、全体で見れば厳しいシーズンであり、2021年は戦闘力をあげたいところだ。

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 2020年シーズンもホンダとトヨタに対して水をあけられてしまった感のあるニッサン陣営。23号車MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が2勝をあげ、かろうじてシリーズ6位に滑り込んだものの、3号車CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正)がシリーズ13位、12号車カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹/平峰一貴)が15位、24号車リアライズコーポレーションADVAN GT-R(高星明誠/ヤン・マーデンボロー)に至っては年間獲得ポイントがわずか4点で19位と最下位に沈んでしまった。

2020年スーパーGT第6戦鈴鹿 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
2020年スーパーGT第6戦鈴鹿 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)

 ニッサン陣営は23号車の年間2勝に惑わされることなく、何よりもマシンそのものの戦闘力を上げることが喫緊の課題。エンジンを中心としたハード面の改良と並行しつつ、ドライバーラインアップのよりいっそうの充実をはかりたいと考えているはずだ。

 とはいえ、これまでの実績を踏まえれば23号車のラインアップは不動だろう。2020年にGT500に大抜擢された平峰も良い意味で期待を裏切るパフォーマンスを見せ、また、リザルトこそ奮わなかったものの、千代と高星の決勝中の安定した速さも充分に魅力的だ。

 その一方で、ヨーロッパからは「ルーカス・アウアーがニッサン陣営にラブコールを送っている」という情報がもたらされた。2019年のスーパーフォーミュラにB-Max Racing with motoparkから参戦し、表彰台獲得経験を持つアウアーは、日本のサーキットを知っている。

 また、アウアーは2019年末にニッサン陣営が実施したGT500のオーディションに参加したという情報もある。最終的に2020年シーズンはBMWからDTMに参戦したが、2021年からその車両がGT3となることを受けて「より速いクルマ」を求め、活動の場を日本に移そうと考えていても不思議ではない。

 ほかにも「アウアーと同様にDTMからGT500を目指すドライバーがいる」という噂もあり、いったい何人の外国人ドライバーが起用されるのかに注目したい。場合によっては2020年のGT300でタイトルを獲得したジョアオ・パオロ・デ・オリベイラに白羽の矢が立つこともあるかもしれない。

 ともあれ、ニッサン陣営にとって最大の悩みは、近年、国内トップフォーミュラにレギュラー参戦経験のあるドライバーが皆無であることだ。そういう意味でもホンダから松下を引き抜いて自陣営の貴重な戦力としたいと考えるのは辻褄が合う。

 しかし、パドックでは「GT500で他メーカーに乗るドライバーに、トヨタ/TRDはスーパーフォーミュラのエンジンを供給しない」という噂がある。

 もしも松下がトヨタ/TRDエンジンを搭載するチームでスーパーフォーミュラに乗ろうと考えているのであれば、ニッサンからのオファーを断らなければならない。ただし、2020年と同様にホンダ/M-TECエンジン搭載のB-Maxからスーパーフォーミュラに参戦するのであれば、GT500でニッサンに乗ることはできる。

 もっとも、スーパーフォーミュラのシート争いは最終戦の開催が年末だったこともあり、GT500以上に混沌としている。

 2020年シーズンの結果を踏まえれば、トムスはキャシディに代わって宮田の抜擢が予想されるものの、中嶋一貴は不動。ダンディライアンの山本尚貴と福住仁嶺、インパルの関口雄飛と平川亮も維持されると考えるのが自然だ。

2016年からFDAに加わっていたアレジだが、GP3/FIA F2では成績が振るわず、苦戦していた
2016年からFDAに加わっていたアレジだが、GP3/FIA F2では成績が振るわず、苦戦していた

 その一方で、ヨーロッパからの情報では、かつてフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)に所属していたアントニオ・フォコやジュリアーノ・アレジのほか、ジョーダン・キングやフェルディナンド・ハプスブルグ、ルイ・デレトラら実力派ドライバーが「スーパーフォーミュラに関心がある」ことを表明している。

 純粋に「速くて楽しいスーパーフォーミュラに乗りたい」と日本を目指してくる外国人ドライバーの存在が、間接的にGT500のシート争いに関わってくる──水面下で活発な動きを見せている2021年に向けたシート争奪戦は、例年にないほど静かに、熱い。