BTCC:トヨタのトム・イングラムがスピードワークスを電撃離脱「7年間の旅に感謝」

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権で長年シングルカー体制を敷き、トヨタのNGTC規定モデルで戦ってきたSpeedworks Motorsport(スピードワークス・モータースポーツ/SWM)とエースのトム・イングラムは、2021年シーズンに向け「商業上の懸案事項が相反する」ため、契約更新を行わないことを決定。7年間のパートナーシップに終止符を打ち、イングラムがチームを離脱することがアナウンスされた。

 2020年からTOYOTA GAZOO Racing(TGR)のステータスを得て、TOYOTA GAZOO Racing UK・ウィズ・ギンスターズのエントリー名で戦ったSWMは、2014年からイングラムを起用。念願のBTCCデビューを飾ったイングラムは、以降の7シーズンで16勝、2度のインディペンデント・タイトル獲得、そして総合でもドライバーズランキング2位の実績を積み重ねてきた。

 一方、2011年のシリーズ参入からトヨタ・アヴェンシス、カローラBTCCと一貫してシングルカーでの挑戦を続けてきたSWMだが、昨季にはBTCCが2022年の導入を予定する共通ハイブリッド機構の開発協力チームにも指定され、テストベッドとしてコスワース製のシステムを搭載したカローラを走らせるなど、シリーズを代表するトップチームの地位を築いた。

 そんな上昇気流に乗り、インディペンデントの独立系チームからファクトリー体制へと昇格したSWMは、2021年に向けていよいよトヨタ・カローラBTCCを2台体制に拡充する計画だったが、その直前に27歳のエースが離脱するという難しい状況に陥った。

「もちろん、スピードワークスはBTCCで僕の最初のチームであり、彼らとはすぐに家族のような間柄になった」と、この決定に際し改めてチームへの思いを語るイングラム。

「一緒に過ごした長い期間、僕らには特別な思い出がたくさん生まれた。僕らは素晴らしい旅を続けてきたし、お互いに誇りを持って仕事に取り組んできたんだ」と続けるイングラム。

「チャンピオンシップを制覇して旅を締めくくることができれば最高だったが、それはおもに不運な要因から、その機会を逃す結果になってしまった。それでも7年間の良い思い出が消えることはないし、チームとの戦績や成し遂げたことに満足している」

2014年のBTCC昇格以降、一貫してSWMのトヨタ製モデルをドライブしてきたトム・イングラム
2014年のBTCC昇格以降、一貫してSWMのトヨタ製モデルをドライブしてきたトム・イングラム
そのSWMは2020年中盤から共通ハイブリッド機構の先行テスト車両として、カローラBTCCを供出している
そのSWMは2020年中盤から共通ハイブリッド機構の先行テスト車両として、カローラBTCCを供出している

■2021年も「100%グリッドに並ぶことを約束する」とイングラム

 多くのチームが複数台のマシンを投入し、データ確認やセットアップ面で優位に立つ環境のなか、イングラムとチームはこの厳しいシリーズをたった1台で戦い抜いてきた。

「今回の件はシンプルに『次へ行く』と表現できるほど、僕らは理路整然とした関係だった。それは『ドライバーとチーム』の関係性ではなく、ひとつの強固なユニットが一緒に戦っているイメージなんだ」とイングラム。

「これは本当に夢のような境遇で、最初のポールポジション、最初のファステストラップ、最初の表彰台、最初のレースでの勝利、最初のタイトルなど、多くのマイルストーンを達成することができた」

 アヴェンシスに続き、直近の2シーズンではカローラBTCCの開発に従事したイングラムは、1台体制だった難しさだけではなくドライバーとして享受したメリットの面も強調する。

「アヴェンシス、そしてカローラと2台のマシンを開発するのに、SWMのエンジニアと緊密に連携して作業を進めてきた。これらのモデルは、最新のNGTC規定BTCCカーから最高のものを引き出す方法を教えてくれたんだ」

「評価するデータが少ないという点で、1台体制の不利な点は数多くあるが、逆にすべての焦点が僕に向けられ、開発を『正しい』と感じる方向に進めることもできた。それはまさに、ドライバーとして誰もが望む環境なんだ」

 2021年の計画を現時点では明らかにしていないイングラムだが、長年在籍したチームへの感謝を語るとともに、来季も「100%グリッドに並ぶことを約束する」と、近日中の移籍アナウンスに自信を見せた。

「僕らはそれぞれの商業パートナーに対して契約上の義務を負っており、この段階で別離が避けられないほどプロジェクトが成長したということだ。お互いのパートナーがそれぞれの優先事項なのは明らかだからね」

「スピードワークスのみんなともお互いに悪感情はなく、7年も一緒に過ごせた奇跡に『ありがとう』と大いなる感謝を捧げたい。僕らは今後も良き友人であり、今は別のチームのジャケットを着るだけさ」

「もちろん、ここを去るのは悲しいことだが、ドアが完全に閉まっているわけではないし、どちらにとっても道の終わりではないんだ。2021年もBTCCに参加することを100%保証できるし、エキサイティングな新プロジェクトをすぐに発表できる見込みだ。楽しみにしていて欲しい」

2018年までは前期型、後期型とアヴェンシスを走らせ、毎年のようにタイトルコンテンダーとして戦った
2018年までは前期型、後期型とアヴェンシスを走らせ、毎年のようにタイトルコンテンダーとして戦った
「エキサイティングな新プロジェクトをすぐに発表できる見込みだ。楽しみにしていて欲しい」とイングラム
「エキサイティングな新プロジェクトをすぐに発表できる見込みだ。楽しみにしていて欲しい」とイングラム