レクサスのSUVファミリーに「ラグジュアリー」はあるか? 渡辺慎太郎が3台を一気試乗し再確認!

レクサスのSUVファミリーに「ラグジュアリー」はあるか? 渡辺慎太郎が3台を一気試乗し再確認!

Lexus LX/RX/UX

レクサス LX/RX/UX

初代RXはプレミアムSUVのパイオニア

いまでこそ、オフロードの走破性などそっちのけのSUVばかりになってしまったけれど、かつてはSUVといえば道なき道をも突き進む、ちょっと泥臭いイメージが当たり前のように浸透していた。ところがそういう本格的SUVが市中を走る姿を見てなんとなく格好いいと思い、必ずしもアウトドア派ではない人たちが日常のアシとして買い求めるようになる。

すると自動車メーカーは、「要するにああいう格好をしていればよいわけで、オフロード走破性を備えるためにわざわざラダーフレームやデフロックを用意しなくてもいいのか」となり、乗用車ライクなSUVという発想が生まれる。これにどこよりも早く手を着けたのがレクサス(=トヨタ)であり、初代RX(=ハリアー)がその発祥とされている。

現在のレクサスはRXを中心に、上にLX、下にNXとUXという4モデルのSUVを展開している。今回はNXを除く3台にあらためて試乗した。NXを外したことに他意はありません。試乗会の時間の都合でそうなっただけ。北米ではRXがもっとも売れているそうだけれど、日本の道路環境ならサイズ的にはNXのほうがちょうどいいだろう。おそらく、レクサスのSUVの中で次にフルモデルチェンジを控えているのはNXだろうから、現行NXは成熟の域に達した1台と言える。

レクサス UX200 “version C”のフロント

解せぬ“存在の軽さ”

UXはレクサスの中でESと同様に、発表後にいつのまにかすぅーっと存在感が薄くなってしまったモデルである。レクサス初のコンパクトSUVであるだけでなく、実はこれも思ったほど話題にならなかったのだけれど、2019年にはレクサス初のBEVとしてUX300eが登場、2020年からとりあえず限定135台の販売をスタートしている。

“ブランド初のBEV”ならば、メルセデスがEQCを、アウディがe-tronを、そしてポルシェがタイカンを大々的にプロモーションしてきたように、レクサスとしてもUX300eをもうちょっとどうにかすればよかったのにと自分なんかは思ってしまう。そもそも、なぜ故にこんなにもUXというクルマにスポットが当たらないのか、正直よくわからない。乗ってみて「これはちょっと」というのなら理解もできるが、決して悪くないどころか個人的にはむしろよく出来ていると感じている。

レクサス UX200 “version C”のコクピット

サイズも価格も合理的

例えばボディサイズ。全高は機械式駐車場でも臆することなく突っ込んでいける1540mmである。都市圏のマンションにお住まいの方にとって“1550mm超え”というのは本当に鬼門で、そもそもいわゆる“ハイルーフ対応”のスペースは数が少なく、その上に月極料金は割高のところがほとんどだからだ。全幅も1850mm以下に収まっているし。“収まっている”といえば価格も最廉価モデルは397万3000円で400万円以内にどうにか収まっている。

プラットフォームはトヨタのGA-C、俗に言うところの“Cプラ”を使う。これはCH-Rなどと共有で、ホイールベースもCH-Rと同値である。こう書くと「なんだ中身はCH-Rか」とか「それなのにCH-Rより200万円も高いのか」など、四の五の言いたくなるのも分からなくはない。

レクサス UX200 “version C”のリヤビュー

小型高級SUVの金字塔たれ

でも両車を比較してみると、CH-Rのガソリン仕様のエンジン排気量は1.2リッターだがUXは2.0リッター、ハイブリッドのエンジンもCH-Rは1.8リッターだがUXは2.0リッターと、パワートレインは別物である。何より、実際に運転してみればその差は歴然だ。NVの処理はUXのほうが積極的に行われており、隣のTVの音が聞こえてくるビジネスホテルのような安普請な感じはなく、乗り心地を含めてCH-Rよりずっと上質な室内空間に仕立てられている。

一方で、レクサスのラインナップのひとつとして見ると、上質の追求はまだ道半ばかもしれない。サイズ感や価格はもっとも親しみやすいモデルだと思うので、都市型SUVに留まらず、いっそ小さなラグジュアリーSUVという金字塔になって欲しい。

レクサス RX 450h “F SPORT”のフロント

レクサスSUVの中心選手、RX

初代から販売していた北米では、RXはいまでもレクサスを代表するモデルであり、レクサス全体の中でもトップシェアを誇る。だから日本よりも北米のほうがRXに対する期待は大きいかもしれない。3列シートの7人乗りが追加されたのも、北米市場からのたっての要望だったそうだ。

2015年にデビューした現行モデルは、これで4代目にあたる。当初からガソリンとハイブリッドの2本立てだったものの、2017年にはそれまで「RX200t」と呼んでいたモデルを「RX300」にあらためている。RX300もRX450hもそれぞれ2WDと4WDが用意されていて、RX300は前後の駆動力配分を100:0から50:50の範囲で可変するシステムを、RX450hはリヤを独立したモーターで駆動させる「E-Four」を採用している。

しかし実際には前輪駆動の2WDのほうが売れているという。2WDのほうが安いし、軽いから燃費もいいという極めて堅実で現実的な選択であるとは思うのだけれど、昭和生まれのおっさんからすれば「この風体でヨンクじゃないのか」となるのも事実である。

レクサス RX 450h “F SPORT”のコクピット

プラス1列のこさえ方

2017年には3列シートのRX450hLが登場。てっきりホイールベースを伸ばしたのかと思いきや、伸ばしたのはリヤのオーバーハングのみだった。2列目シートはワンタッチフォールディング式になっているとはいえ、ホイールベースは同値なので当然のことながら3列目シートへのアクセスは良好とは言えない。

北米からのリクエストにより早く商品化する必要があったとはいえ、乗降性のみならず、ホイールベースの外にあるリヤのオーバーハングが長く(重く)なるというのは、ヨー慣性モーメントの観点からは決して褒められたものではない。次期型では最初から3列シートを考慮したボディ設計にするべきである。

2020年のモデルではパーキングサポートブレーキやブラインドスポットモニターが全車に標準装備となり、安全装備の充実が図られた。ハイブリッドのRX450hにはオプションで、AC100V/1500Wのアクセサリーコンセントが追加設定されている。2020年も各地で自然災害が多発したけれど、こういうオプションの需要は今後増えていくに違いない。

レクサス RX 450h “F SPORT”のリヤビュー

ライバルがしのぎを削る激戦区

RXは2019年に本格的なマイナーチェンジを受けており、乗り心地や直進安定性などが大幅に改善されている。そのときは「ずいぶんよくなったなあ」と喜んだが、今回久しぶりに試乗したら「あれ?こんなもんだったっけ」となった。これはおそらく、ライバル達もまた年次改良の手を休めておらず、どんどん良くなっているからだと推測できる。

RXと同じように、メルセデスのGLEやBMWのX5はいずれも両社のSUVの中核をなすモデルであり、その成熟度にはエンジニアの気合いすら感じる。RXには価格面で圧倒的なアドバンテージがあるのが幸いだが、それだけにいつまでも頼っているわけにはいかないと思う。

レクサス LX570のフロント

LXはレクサス唯一のオフローダー

LXはレクサスのSUVの中で唯一、“本物”のSUVである。それもそのはずで、中身はご存じの通りトヨタ ランドクルーザーだからだ。以前、ランドローバー本社へ取材に出向いた時、併設された世界一過酷と言われるオフロードテストコースを最後まで走り切れたのは、ランドローバーの各車以外にメルセデスのGクラスとトヨタのランクルだけだったと聞かされた。

その言葉を実証するように、中東をはじめとする道路事情がよくない地域でのランクルの信頼度はめちゃくちゃ高い。中東といえば、パーティの参加者全員にクルマをお土産に渡すような桁違いな富裕層がゴロゴロいて、「もっともっと高級なランクルが欲しい」という要望にLXは応えているわけである。

レクサス LX570のリヤビュー

レクサスのバッジを冠する以上、静粛性や乗り心地はそれなりのレベルにする必要があって、確かにランクルよりも快適性は向上している。試乗中、助手席にカメラマン、後席に編集のM女史が座っていたが、彼女が「室内は静かなのにおふたりの会話がほとんど聞こえません」と漏らした。おそらく吸音材/遮音材の類が人の声までも遮っていたのだろう。ラダーフレームのランクルの静粛性を高めるのがいかに大変なことなのかを、意外な方法で知ることになった。

REPORT/渡辺慎太郎(Shintaro WATANABE)

PHOTO/北畠主税(Chikara KITABATAKE)

【SPECIFICATIONS】

レクサス UX200 “version C”

ボディサイズ:全長4495×全幅1840×全高1540mm

ホイールベース:2640mm

トレッド:前1560 後1560mm

車両重量:1470kg

エンジン:直列4気筒DOHC

総排気量:1986cc

最高出力:128kW(174ps)/6600rpm

最大トルク:209Nm/4000 – 5200rpm

トランスミッション:CVT(無段階変速機)

駆動方式:FWD

サスペンション形式:前マクファーレンストラット 後ダブルウィッシュボーン

ブレーキ:前ベンチレーテッドディスク 後ディスク

タイヤ:前後215/60R17

車両本体価格:397万3000円

レクサス RX 450h “F SPORT”

ボディサイズ:全長4890 全幅1895 全高1710mm

ホイールベース:2790mm

トレッド:前1640 後1630mm

車両重量:2130kg

エンジン:V型6気筒DOHC

総排気量:3456cc

エンジン最高出力:193kW(262ps)/6000rpm

エンジン最大トルク:335Nm/4600rpm

フロントモーター最高出力:123kW(167ps)

フロントモーター最大トルク:335Nm

リヤモーター最高出力:50kW(68ps)

リヤモーター最大トルク:139Nm

システム最高出力:230kW(313ps)

トランスミッション:電気式無段変速機

駆動方式:AWD

サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後ダブルウィッシュボーン

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:前後235/55R20

車両本体価格:783万円(テスト車:850万5400円)

レクサス LX570

ボディサイズ:全長5080×全幅1980×全高1910mm

ホイールベース:2850mm

トレッド:前1645 後1640mm

車両重量:2680kg

エンジン:V型8気筒DOHC

総排気量:5662cc

最高出力:277kW(377ps)/5600rpm

最大トルク:534Nm/3200rpm

トランスミッション:8AT

駆動方式:AWD

サスペンション形式:前ダブルウィッシュボーン 後トレーリングリンク

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤ:前後275/50R21

車両本体価格:1135万6481円(テスト車:1195万9281円)

【問い合わせ】

レクサス インフォメーションディスク

TEL 0800-500-5577