BTCC:クプラにスイッチのチーム・ハードが3台体制確定。名門WSRのBMWも3台体制復帰へ

 2021年のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権に向け、長年にわたりシリーズで走らせてきたフォルクスワーゲンCCでの参戦を終え、新型CUPRA(クプラ)へのスイッチを表明しているTeam HARD(チーム・ハード)は、ジャック・ゴフとの新たな2年契約を締結。BTCC随一のスピードを誇る男に新型モデルの開発プログラムを託すと同時に、2020年終盤2戦でCCのステアリングを握ったグリン・ゲディーと、31歳のアーロン-テイラー・スミスをラインアップに加え、クプラ初年度から3台体制を敷くこととなった。

 トニー・ギリアム率いるチーム・ハードは、2013年からフォルクスワーゲンのDセグメントサルーンを投入してBTCCを戦ってきたが、長らく4台体制で戦ってきたマシンも戦闘力不足に苦しんでいることを明かしており、2019年中から「新たなマニュファクチャラーとの参戦を模索している」と語っていた。

 そんなチームで2013年にBTCCデビューを果たしたゴフは、2019年に古巣へ復帰すると古参車種ながら豪雨のシルバーストンで早速の”カムバック・ウイン”を達成した。しかし、厳しい状況を強いられた2020年は4度のポイント獲得に留まり、ランキングも23位に低迷する結果となった。

 その困難なシーズンの渦中で、9月にもスペイン・セアトの高性能車部門クプラとジョイントすることを決めたチームは、すでに優勝戦線への復帰を目指してNGTC規定最新モデルの開発を順調に進めているという。

「チーム・ハードとともに、また2年間戦える機会を得られて光栄に思う。前年度は順調に進んでいたが、2020年は厳しい状況に立たされた。それでも勝利に対するチームの哲学に誤りはないし、ドライバーに自信を持たせてくれる雰囲気は最高だ。これは僕にとって何よりも重要なポイントなんだ」と、FK2ホンダ・シビック・タイプR時代には年間最多予選ポールポジションも記録したゴフ。

「現在、ファクトリーでは新型クプラ・レオンの開発が順調に進んでいる。マシン開発のリードドライバーとして主要な役割を務めることにワクワクしているよ。順調に行けば、間違いなくフロントランナーに返り咲けるだろうね」と自信を見せるゴフ。

「成功への道のりは、多くの時間と労力を要する。そのためにもこの2年契約は重要で、自分自身とチームを勝利に導く作業に集中できるはずだ」

 一方、2021年に向け2番目の契約アナウンスとなった元ブリティッシュGTチャンピオンのゲディーは、2018年にAmD Tuning.comのMG6 GTでやはり2戦のスポット参戦を経験。それ以来のBTCCとなった2020年は、戦闘力に劣るフォルクスワーゲンCCながらスネッタートンとブランズハッチにエントリーし、15位フィニッシュを達成しポイント獲得を成し遂げた。

2019年にチームへ復帰したジャック・ゴフは、同年のシルバーストン戦でカムバック・ウインを達成した
「2019年は参戦機会を逃す手前で救ってもらった。ハイブリッド時代に向けた2年を戦う機会を与えてくれたチームには感謝しかない」とゴフ
「彼のスピードは疑う余地がなく、パートナーもゴフの残留を心から歓迎している」と代表のトニー・ギリアム

■チーム創設40周年を迎えるWSRも3台体制での参戦を計画

「2021年に初めてBTCCにフル参戦できることを心から楽しみにしている」と、意気込みを語ったゲディー。

「前輪駆動マシンから最大限のポテンシャルを引き出すのに苦労すると予想していたから、これは安定したプラットフォームを提供してくれたチームメイトとエンジニアの能力の証だ。シリーズ復帰時にポイントを獲得できたことは素晴らしい結果であり、個人的にとても誇りに思っている」

 そして3台目のドライバーに抜擢されたテイラー・スミスもシリーズ復帰組のひとりであり、2017年以来のフル参戦が決定。アイルランド出身のBTCC優勝経験者は、ここ数シーズンをブランパンGT(現GTワールドチャレンジ)やブリテッシュGTで過ごしたのち、シリーズに対し「近年は傍観者だった立場から見て、BTCCがどれだけ恋しいのかがわかった」と語り、かつてのモーターベース・パフォーマンスやチームBMR、そしてチームBKRでの勝利を再現する意欲に燃えている。

「これは他に類を見ないチャンピオンシップで、トニー(・ギリアム代表)は勝利への情熱に溢れている。周囲にいるとフレッシュな気分になれる人物なんだ。彼がクプラの新プロジェクトに向けて集めた人員は、この業界でも最高峰であり信じられないほどの仕事を成し遂げた。正直言って、これほどシーズンが待ち遠しいと思ったことはないよ!」

 また、2020年はCOVID-19の影響でアンドリュー・ジョーダンが参戦休止を表明した影響で、2台体制でのエントリーとなっていたWest Surrey Racing(ウエスト・サリー・レーシング/WSR)は、チーム創設40周年を迎える2021年に向け、ふたたび3台体制に復帰する計画を立てている。

 2013年王者ジョーダンが開幕直前に去ったことで、エースのコリン・ターキントンとチーム2年目のトム・オリファントの2台に縮小したWSRは、それでもエースがドライバーズランキング2位を獲得し、チームとマニュファクチャラーでは独走でのチャンピオンに輝くなど、BMW330i M Sportのポテンシャルを見せつける戦績を収めた。

「そう、我々は確かに3台体制に復帰するだろう。そのことを、私自身とても楽しみにしているんだ」と語るのは、チーム代表のディック・ベネット。

「ふたたび勝利を目指し、2021年は3つのタイトル獲得を狙って戦う。それが40周年を祝う最高の方法だからね」

2台目のクプラを託されたグリン・ゲディー(左)。カーケア用品のAUTOBRITE Directをメインスポンサーに迎える
2016年にBTCC最後の勝利をフォルクスワーゲンCCで飾っているアーロン-テイラー・スミスもチームに復帰する
2020年体制発表時には3名が並んでいたWSR。まだドライバー発表はないものの、ジョーダン復帰が有力視されている